不倫・浮気慰謝料の計算方法を解説!請求の際に注意したいポイントは?

浮気の慰謝料請求

パートナーに不倫や浮気されたら、浮気相手に慰謝料請求しようと考えるものです。ただ「具体的にいくらの慰謝料を払ってもらえるの?」と疑問に思う方も少なくありません。
受け取れる慰謝料の金額は高ければ高いほど良いものですが、計算方法がわからないと自分では決めにくいですよね?

今回は、浮気慰謝料の計算方法をご紹介します。合わせて慰謝料請求時の注意点も解説するので、今後慰謝料請求するときには、参考にしてみてください。

目次

慰謝料に法的な「計算方法」は存在しない3つの理由

結論からお伝えしますと、慰謝料には「法的な計算方法」がありません。
一律の計算式によって算定できるものではないのです。理由は以下の通りです。

理由1.慰謝料は目に見えない損害だから

慰謝料は「目に見えない損害」です。

慰謝料とは「精神的苦痛に対する損害賠償金」で、パートナーが浮気をして、配偶者は大きく傷ついたことに対して支払われるものです。

ただ、こういった精神的な苦痛は「病気の治療費」のようにわかりやすく発生するものではありません。

仕事を休んだ場合の休業損害なら「普段の平均賃金」をもとに計算できますが、慰謝料の場合にはそういった算定要素もありません。このように「目に見えない損害」なので、慰謝料には明確な計算式を適用しにくくなっているのです。

理由2.人によって苦痛の感じ方が異なるから

パートナーに浮気されたとしても、すべての人が同じように苦痛を感じるわけではありません。非常に強い苦痛を感じてうつ病になったり自殺したくなったりする方もいますが、ケロっとしている方もいます。

人によって異なる苦痛なので、一律に「計算式」で算定するのは非常に難しいのです。

理由3.状況によって大きく異なるから

ひと言で「浮気」といっても、ケースによって状況が大きく異なります。

  • 婚姻年数
  • 浮気の期間
  • 浮気の態様
  • 嫌がらせの有無
  • 浮気したパートナーや浮気相手の年齢
  • 収入
  • 夫婦間の子どものあるなし

たとえば慰謝料算定の際には、上記項目にある状況すべてを参考にしなければなりません。

しかし「一律の計算式」を適用すると、個別要素の考慮が難しくなるでしょう。「浮気の状況」はケースによって大きく異なるので、慰謝料計算の計算式を策定できないのです。

以上のような事情から、法的な「慰謝料計算式」は存在しません。裁判所で慰謝料を算定するときにも「計算式」を使った基準定立やあてはめは行われていないので、まずは押さえておきましょう。

慰謝料の算定方法

では慰謝料を計算するときには、具体的にどうやって決めれば良いのでしょうか?

慰謝料の「相場」によって算定する

裁判所が慰謝料の金額を決定するときには「相場」によって算定します。相場とは「だいたいこのくらい」という基準金額です。

「だいたいの相場」をもととして、個別の要素を考慮して増減額する、というのが裁判所の普段の慰謝料の決め方となっています。

浮気慰謝料の相場とは

浮気慰謝料の相場は、50~300万円程度です。
裁判所が慰謝料額を判定するときには、上記の範囲で決まるケースが多いと考えましょう。

相場を決める要素とは

「浮気慰謝料の相場は50~300万円」と聞くと「幅が広い」と感じる方が多いのではないでしょうか?
このままでは、実際に自分のケースでどのくらいの慰謝料を請求すれば良いのか判断しにくいでしょう。

現実の慰謝料の金額計算の際には、上記の一般的な相場に足して、以下のような個別要素をくみ取りながら決めていきます。

夫婦が離婚するかどうか

夫婦が離婚するなら慰謝料の金額は大幅に上がります。

婚姻期間

夫婦の婚姻期間が長くなると慰謝料は高額になります。

浮気前から夫婦仲が悪化していなかったか

浮気前から夫婦仲が悪化していた場合、慰謝料は減額されます。
逆に、夫婦関係の不和の原因が浮気のみであれば、慰謝料は高額になります。

浮気の期間

浮気の期間が長くなると、慰謝料が高額になります。

浮気の態様

  • 頻繁に会っていた
  • 不倫のために生活費を使い込んだ
  • 不倫のために家庭生活を犠牲にした

このような場合などは慰謝料が上がります。

浮気の悪質性

浮気相手が夫婦を離婚させるため、積極的に嫌がらせした場合などには慰謝料が上がります。

家出した

配偶者が家出して不倫相手と同棲したり、妻に生活費を渡さなくなったりすると慰謝料が増額されます。

浮気相手が妊娠、出産、流産したかどうか

浮気相手(女性)が妊娠し、出産や流産すると慰謝料は上がります。

加害者側が反省しているか

浮気したパートナーや浮気相手が反省していない場合、慰謝料は比較的高額になります。

不倫関係を清算したか

不倫関係を清算すれば、慰謝料は比較的下がります。しかし、不倫関係を継続していると慰謝料が高額になりやすい傾向があります。

浮気相手の年収、社会的地位

浮気相手の年収や資産が高い場合、大学教授や教師、医師など社会的地位が高い場合には慰謝料が高額化する傾向があります。

浮気相手の年齢

浮気相手の年齢が高いと分別を求められるので、慰謝料が上がります。

被害者がうつ病になったか

被害者がうつ病になると、慰謝料は高額化する傾向があります。

被害者が退職したか

配偶者の浮気に悩んで被害者が退職したり職を失ったりした場合、慰謝料は高額化します。

被害者側に落ち度がなかったか

夫婦関係が不和になった経緯において、被害者側に落ち度があれば浮気慰謝料が減額されます。たとえば、妻が日頃から夫に対してモラハラ言動を繰り返していた場合、夫が浮気しても慰謝料が安くなる可能性があります。

未成年の子どもの有無、人数

夫婦の間に未成年の子どもがいると、慰謝料は上がります。子どもの人数が多いと、より高額化する傾向があります。

浮気慰謝料を計算するときには、相場の慰謝料を参考にして上記の個別要素を足して、最終的な金額を算定します。

浮気慰謝料計算の具体的な手順は?

次に、実際に浮気慰謝料を算定するとき、手順を解説します。

STEP1 夫婦が離婚するかどうか

浮気慰謝料を計算するとき、まず考慮しなければならないのが「夫婦が離婚するかどうか」です。

離婚するなら慰謝料は100万円以上になりますが、修復するなら100万円を超えることはありません。まずは夫婦が離婚するかどうかでふるいにかけましょう。

STEP2 離婚しない場合には50~100万円で決定する

夫婦が離婚しない場合、慰謝料の金額は50~100万円程度が相場です。

配偶者がうつ病になったか、加害者側が反省しているかなど、その他の要素を参考にその幅で決定すると良いでしょう。

STEP3 婚姻年数によってふるいにかける

夫婦が離婚する場合、次に考慮すべき要素は「婚姻年数」です。
婚姻年数が長いと、その分慰謝料は増額される傾向があります。具体的には以下のような金額帯が相場となるでしょう。

婚姻年数に応じてふるいにかけ、以下の金額帯のいずれになるかを明らかにしましょう。

婚姻年数が1~3年まで

慰謝料の金額は100~150万円程度が相場

婚姻年数が3~10年まで

慰謝料の金額は150~300万円程度が相場

婚姻年数が10年以上

慰謝料の金額は300万円やそれ以上が相場

STEP4 その他の個別要素をあてはめる

慰謝料の金額帯が明らかになったら、上述で紹介した【慰謝料相場を決める個別要素】をあてはめて具体的な金額を算定します。

  • 浮気の期間が長かった
  • 浮気相手に嫌がらせをされた
  • 仕事を辞めてしまった
  • 小さい子どもがいる
  • 相手が家出して浮気相手と同棲した

たとえば上記のような状況を考慮すると、慰謝料が大きく増額される可能性もあります。

慰謝料計算の具体例

では、具体例を用いて浮気慰謝料を計算してみましょう。

事例

Aさんと夫は婚姻年数5年の夫婦です。3歳の子どもが1人います。

夫が浮気して、家を出て行ってしまいました。相手の女性は夫の同僚で、年収は500万円ほどです。

夫が浮気するまでは夫婦は円満で、夫も子煩悩でしたら浮気してから人が変わってしまいました。また相手の女性は妊娠して今後出産するつもりのようです。

Aさんはもともと契約社員で仕事をしていましたが、浮気に悩んでうつ病になり退職してしまいました。
夫は浮気相手と再婚したいようで、Aさんたちの離婚は避けられない状況です。

慰謝料の算定方法

この事例を元に、慰謝料を算出していくと、以下のようになります。

【STEP1、STEP2】

まずは夫婦が離婚するかどうかでふるいにかけます。Aさんたちはほぼ離婚が確定しているので、浮気慰謝料の相場は100~300万円程度となります。

【STEP3】

次に、婚姻年数によってふるいにかけます。Aさんと夫の婚姻年数は5年なので、慰謝料の金額は150~300万円程度の幅で決まります。「10年で300万円」が相場なので、5年であれば200万円程度となる可能性が高いといえます。

【STEP4】

最後に個別事情をあてはめます。Aさんのケースでは、以下のような事情があります。

  • 相手の女性は働いていて年収500万円
    浮気相手に充分な収入があるので、慰謝料は比較的高くなるでしょう。
  • 浮気が始まる前、夫婦は円満
    浮気前の夫婦関係が円満なので、慰謝料は上がります。
  • 相手の女性は妊娠し、出産予定
    浮気相手が妊娠、出産するので慰謝料は増額されます。
  • Aさんは仕事を辞めてしまった
    Aさんは仕事を辞めてしまい無収入となるので、慰謝料は増額されます。
  •  Aさんはうつ病になった
    Aさんがうつ病になっているので慰謝料の増額要素となります。
  • 3歳の子どもがいる
    未成年の子どもがいるので、増額要素となります。

具体的な慰謝料の金額

一般的な相場としては200万円程度となりますが、上記のように慰謝料の増額要素もたくさんあります。
そこで250万円程度まで増額される余地が充分にあるといえるでしょう。状況によってはもう少し上がる可能性もあります。

肉体関係がない場合の浮気慰謝料

また浮気が疑わしい場合でも、肉体関係があるかどうかわからなかったり、肉体関係を証明する証拠が得られてなかったりする場合も、慰謝料は請求できるのでしょうか?

法律上の「不貞」には肉体関係が必要

一般的に「浮気慰謝料」を請求する場合、配偶者と浮気相手との間に「肉体関係」があるのが通常です。

法律上「不貞(法律用語で不倫、浮気のこと)」という場合、「肉体関係を伴う浮気」を意味するからです。
配偶者が自分以外の異性と仲良くしていても、男女関係がなかったら「不貞」にならず、慰謝料請求もできないのが原則となります。

肉体関係がなくても慰謝料が発生するケース

ただし肉体関係がなくても例外的に浮気慰謝料が発生するケースがあります。それは「社会通念上、不適切といえる程度に親密な関係によって夫婦関係を不和に陥れた」ケースです。

たとえ性交渉をしていなくても、パートナーと異性があまりに親密な関係となれば配偶者は不安を感じますし、不快になって夫婦関係が悪化するでしょう。

夫婦には「平穏な夫婦関係を維持する権利」が認められるので、あまりに親密になるとその権利を侵害する行為として慰謝料が発生するのです。

肉体関係がない場合の慰謝料相場

肉体関係がない場合の浮気慰謝料は、肉体関係がある場合より低額になります。相場としては50万円以下となるでしょう。

性関係を立証できない場合、慰謝料が減額される可能性が高い

実際には夫と浮気相手が男女関係になっていても、「性関係を証明」できなければ「性関係がない」のと同じ扱いにされる可能性が高くなります。

証明できない以上、相手方らは「性交渉していません。プラトニックな関係です」としらを切るでしょう。
そうなると裁判所も「性関係なし」を前提に慰謝料を計算せざるを得ないからです。

結局、性交渉がなくても平穏な夫婦関係を侵害したとして、50万円程度の慰謝料しか認めてもらえなくなるリスクが高まります。

浮気慰謝料を請求するときには、必ず浮気の確実な証拠を用意しましょう。
証拠なしに請求すると、多くの場合に1円も慰謝料を支払ってもらえませんし、支払われたとしても50万円以下の低額な金額に抑えられてしまうのが通常です。

自分で充分な証拠を集められない場合には、探偵事務所を使って確実な調査報告書を入手してください。

不倫慰謝料請求の進め方・流れと高額な慰謝料を払わせるためのポイント

浮気慰謝料が発生しないケース

浮気慰謝料の計算方法は上記のとおりですが、一見浮気のように見えても慰謝料が発生しないケースがあります。慰謝料請求できないパターンを2例、ご紹介します。

浮気前から婚姻関係が破綻

1つは「浮気前から夫婦の婚姻関係が破綻していた場合」。浮気慰謝料が発生するのは「浮気によって夫婦関係が破綻した」ことが原因です。浮気によって夫婦関係を破壊されたので、被害者は大きく精神的に傷つき慰謝料請求できるのです。

浮気前から夫婦関係が破綻していたら「浮気によって夫婦関係を破綻させられた」とはいえず、慰謝料は発生しません。たとえば浮気前から別居していた場合、戸籍上の配偶者が浮気をしても浮気相手に慰謝料請求できないと考えましょう。

時効が成立している

浮気が行われた時期があまりに古い場合にも慰謝料請求できない可能性があります。浮気慰謝料などの「損害賠償請求権」には時効があるからです。

浮気慰謝料の時効は「浮気の事実と浮気相手を知ったときから3年」で成立します。つまり「夫が浮気していること」と「浮気相手の素性(氏名や住所など)」を知ったらその後3年以内に請求しないと、慰謝料を払ってもらえなくなるのです。

浮気が発覚して慰謝料を請求したいなら、早めに証拠を集めて内容証明郵便を送りましょう。

不倫の慰謝料請求には時効がある 不倫慰謝料請求権の時効「数え方」と「時効を止める方法」について

自分たちで話し合うときの慰謝料の計算方法

ここまで説明してきたように、浮気慰謝料には法的な相場があります。ただ自分たちで話し合って慰謝料の金額を決めるときには、法的な相場や計算方法にこだわる必要はありません。お互いに納得するなら、いくらに定めてもかまわないのです。

慰謝料を相場より高額にするケース

たとえば浮気相手の収入や資産が高く支払い能力がある一方で、被害者は離婚後子どもを抱えてシングルマザーとして生きていかねばならない状況を考えてみてください。

このようなケースでは、法的な相場より慰謝料を増額しやすいといえます。

相手も納得するなら浮気慰謝料を500万円や1000万円と定めてかまいません。
相場を超えた慰謝料も無効にならないので、強気で交渉すると良いでしょう。

慰謝料を相場より減額すべきケース

反対に、相手の支払能力が低ければ慰謝料を低く抑えられるケースも多々あります。

たとえば浮気相手が大学生や派遣社員で低収入の20代独身女性などで貯蓄も全くない場合、慰謝料額を30万円程度とする事例も存在します。

ただし慰謝料を相場より減額する場合、必ず「相手に本当に支払能力がないのか」確認しましょう。
本当はお金を持っていたり稼ぎがあったりしても、慰謝料を払いたくないので「お金がないです…」などと訴えてくる人もいるからです。だまされないように注意しましょう。

自分たちで浮気慰謝料の金額を取り決めるときには、法的な相場を参考にしつつも状況に応じて柔軟に設定してみてください。

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浮気慰謝料の金額計算で迷ったら法律家に相談を

浮気慰謝料の金額計算で迷いが生じたら、自己判断ではなく専門家のアドバイスを受ける方が安心です。男女問題に熱心に取り組んでいる弁護士に相談してみてください。
高額な慰謝料を獲得するには「確実な浮気の証拠」が必要です。手元の証拠に不安のある方は、探偵事務所に調査依頼の相談をしてみましょう。