不倫の慰謝料に税金はかかるのか?税金が発生するケースとしないケースを徹底解説

不倫の慰謝料には税金がかかるの?

不倫相手に慰謝料請求をして、無事に支払ってもらえたとしても「税金」がかかったら全額は手元に残りません。では、慰謝料に税金がかかる可能性はあるのでしょうか?

結論からお伝えすると、慰謝料には基本的に税金はかかりませんが、例外的に課税されるケースもあります。

今回は不倫の慰謝料と税金の関係について、原則的な取扱いと例外的に税金がかかるケースにわけて解説します。
これから慰謝料請求する方は、是非参考にしてみてください。

慰謝料には税金がかからない!その理由とは…?

不倫や浮気の慰謝料は数百万円になるケースも多々りますが、基本的に慰謝料は課税対象とならないため、税金がかからないケースがほとんどです。

税金が発生するケースとは

そもそも税金はどういったケースで発生するのか、理解しましょう。

税金にはいろいろな種類があり、基本的に何らかの「利益」を得たときに発生します。

    • 給与や事業で収益を得られたら「所得税」
    • ものを無償でもらったら「贈与税」
    • 物を売って利益を得たら「譲渡所得税」
    • 価値のあるものを相続したら「相続税」
    • 所得に応じて所得額の約10%を払う「住民税」

以上のように税金は基本的に利益を得たときに発生します。

また、不動産に関しては「取得」したときに「不動産取得税」がかかり、不動産を所有していると毎年「固定資産税」を払わねばなりません。

慰謝料を受け取っても「利益」はない

慰謝料を受け取ったら「利益を得た」とはいえません。たしかに慰謝料は数百万単位のお金を受け取るので、利益があるようにも思えますが、慰謝料のような「損害賠償金」は、基本的に「利益にならない」と考えられています。

損害賠償金とは

損害賠償金とは、不法行為の加害者が被害者へ支払う賠償金です。

不法行為が行われると、被害者にはいろいろな損害が発生します。たとえば身体を傷つけられたら「治療費」や「休業損害」、「慰謝料」が発生するでしょう。物を壊されたら修理費用や買い換え費用が必要になります。

そして、不倫された被害者は大きな精神的苦痛を受けるので、その精神的苦痛が「損害」となります。

こうした損害の賠償金は「被害者に発生したマイナス損失を穴埋めするためのお金」です。
被害者にしてみれば、不法行為によってマイナスになった分を賠償金で補填してもらっただけですよね?つまり、賠償金を受け取っても「以前の状態に戻してもらえるだけ」であり、「得をした(利益を得た)」ことにはなりません。

利益を得ていないので税金はかからない

慰謝料を受け取ったとしても「精神的苦痛」という損害の穴埋めをしてもらっただけなので、被害者に利益はありません。
よって不倫や浮気の慰謝料を払ってもらったとしても「利益」がないので課税対象にはならないのです。所得税も贈与税もかかりません。安心して受け取りましょう。

例外的に慰謝料に贈与税がかかる場合

慰謝料を受け取ったとき、例外的に税金がかかるケースがあります。

次に例外的に慰謝料に税金がかかるケースを紹介します。

慰謝料の金額が過大な場合

慰謝料には「相場の金額」があります。たとえば不倫の慰謝料であれば、100~300万円程度が相場となるでしょう。

相場とおりの慰謝料が払われたのであれば被害者に利益はありません。

一方で、相場を著しく上回る慰謝料が支払われたら、被害者は「本来よりも大きな利益を得た」結果になってしまいます。そこで「相場を著しく上回る部分」に課税されてしまう可能性があるのです。

この場合にかかる税金は「贈与税」となります。
贈与税は、無償で財産をもらったときに発生する税金です。慰謝料をもらいすぎた場合、「お金」という財産を無償でもらうので、贈与税の課税対象となります。

慰謝料がいくら以上だったら贈与税がかかるのか?

気になるのは「慰謝料額がいくら以上だったら課税対象になるのか?」という問題でしょう。

この点、税務署によって明確に「〇〇円以上」と基準が設定されているわけではありません。「社会通念上相当な金額を超える場合」というぼんやりとした基準しかないのです。

これは、慰謝料の金額がケースバイケースであり、すべての事案に統一した基準額を設定するのが困難だからです。
たとえば不倫の慰謝料でも、不倫の悪質さや期間、夫婦の婚姻期間、不倫相手の収入や資産状況などによって大きく金額が変わってきます。慰謝料がいくら以上だったら贈与税がかかるのかについては、個別的な検討が必要といえるでしょう。

一般的な事案の場合

慰謝料の限度額について、不倫相手も被害者も一般的な収入で、不倫期間も5年以内など通常一般のケースを考えてみましょう。

こういったケースでは、慰謝料の法的な相場は100~300万円となります。
その範囲であれば、100%確実に慰謝料は発生しないといえるでしょう。

また300万円を1円でも超えると税金がかかるという意味でもありません。税金が発生するのは「社会通念上相当な金額を超える場合」であり、相場を著しく上回る場合に限られるからです。

たとえば一般的なケースで慰謝料額を3,000万円や5,000万円などと設定すると、課税される可能性が高くなるでしょう。

不倫の慰謝料を払ってもらうときには、高くても1,000万円程度にとどめるようお勧めします。

慰謝料支払いを税金逃れの口実にする場合

珍しい事例ですが、ときにはお金を支払う側ともらう側が結託して、本当は慰謝料ではないのに税金を逃れるため「慰謝料の支払いということにしよう」と悪巧みをする事例があるのです。

たとえばある男性がわけあって友人にお金を渡したいとしましょう。
このとき、普通にお金を渡したら高額な贈与税がかかってしまいます。そこで「妻に不倫された慰謝料」という名目にして、目的のお金を渡すのです。そうすれば、贈与税の課税を逃れられるでしょう。相続税逃れで慰謝料を支払う事例も考えられます。

しかし、不正がバレると当然税金がかかります。
一般より高額な「加算税」や「延滞税」も足されて負担が重くなる可能性があるので、絶対にやってはいけません。

通常の慰謝料には税金がかからない

以上のように、慰謝料を受け取ってもよほどのことがない限り、税金はかからないと考えましょう。
あまりに高額な慰謝料をもらわない限り、税金が発生することはまずありません。「高すぎる金額を設定しない」ことだけ、注意しておいてください。

不倫慰謝料請求の進め方・流れと高額な慰謝料を払わせるためのポイント

不動産を受け取ったらどうなる?

次に慰謝料を現金でもらう代わりに「物」をもらうケースを以下でみていきましょう。

実は慰謝料を物で受け取ってしまうと、税金がかかってくるケースがあります。特に問題になりやすいのは「不動産」を受け取った場合です。

慰謝料代わりに不動産を「代物弁済」するケースがある

不倫や浮気の慰謝料を請求したとき、相手がお金を持っていないけれども「資産」なら持っているケースも考えられます。

そういった場合、慰謝料代わりにその資産を差し出してもらって解決できます。

たとえば相手がマンションを所有していたら、慰謝料代わりにマンションをもらっても良いのです。
このように、お金の代わりに物で支払うことを「代物弁済」といいます。代物弁済も法律上有効であり、違法性はありません。

不動産を受け取ると「不動産取得税」がかかる

不動産を受け取ると、不動産取得税という税金が発生します。

不動産取得税とは、不動産を取得したときにかかる地方税で、贈与された場合だけではなく対価を払って購入した場合にもかかります。不動産を受け取った翌年に自治体から不動産取得税の納付書が届くので、支払をしなければなりません。

慰謝料として不動産を取得した場合にも不動産取得税が課税されるので注意しましょう。
贈与税がかからないケースでも、不動産取得税は払わねばなりません。

不動産取得税の金額

不動産取得税の原則的な税率は、4%です。
ただし2021年3月31日までは、住居建物の不動産取得税の税率が3%に軽減されます。土地についてはさらにその2分の1(1.5%)となります。

原則的な計算方法

不動産の固定資産税評価額×4%

固定資産税評価額は、自治体から「固定資産税」を課税されるときに基準とされる標準額です。実際の市場で売買される価額とは異なるので、注意しましょう。固定資産税評価額は、所有者が自治体へ問い合わせればわかります。

たとえば不倫相手から慰謝料として固定資産税評価額500万円の不動産を受け取った場合には、500万円×4%=20万円の不動産取得税が発生する計算です。

登録免許税がかかる

不動産を取得したら「名義変更」をしなければなりません。
名義変更とは、もともとの所有者の名義から新しい所有者の名義へ書き換える登記です。

名義変更をしないと、いつまでも登記が前の所有者名のままになるので、混乱が生じるでしょう。特に期限はもうけられていませんが、不動産を受け取ったら早めに手続きすべきといえます。

名義変更の際には「登録免許税」という税金がかかります。これは、名義変更の手数料のような税金で、法務局で登記申請する際に支払わねばなりません。登録免許税の金額も、固定資産税評価額を基準に計算します。税率は基本的に2%となっています。

たとえば固定資産税評価額が500万円の不動産を代物弁済されたときには500万円×2%=10万円の登録免許税が必要となります。

このように、不動産を慰謝料代わりにもらった場合「不動産取得税」と「登録免許税」がかかるので、単純計算で「固定資産税額の6%程度」の税金を払わねばなりません。
代物弁済を受けるかどうか検討するときに頭にいれておきましょう。

贈与税がかかる可能性もある

不動産を代物弁済されたとき、基本的には「贈与税」は発生しません。慰謝料の支払は「損失の穴埋め」であり「利益」にならないからです。

ただ一般的に不動産は高額な資産に分類されます。慰謝料として不相当に高額な不動産をもらったら、相当な金額との差額に贈与税がかかる可能性があるので注意しましょう。

たとえば一般的な不倫の事案で4,000万円の不動産を代物弁済されたら、相場より著しく高額と言われてもやむをえません。1,000万円程度までは許されるとしても、差額の3,000万円程度に贈与税がかかる可能性が充分にあります。さらに不動産取得税や登録免許税もかかるため、税額が高額になるリスクが高いといえるでしょう。

慰謝料代わりに高額な資産を受け取ると税負担が重くなる可能性があるので、くれぐれも注意してください。

慰謝料を受け取ったら確定申告が必要?

慰謝料を受け取ったら、確定申告が必要となるのでしょうか?

慰謝料をもらっても確定申告しなくていい

確定申告とは、所得を得た人が次年度に税金の計算を行って申告書を提出することです。
給与所得者の場合には会社で源泉徴収されるので基本的に不要ですが、事業所得者は自分で確定申告をして納税しなければなりません。

慰謝料は、所得にはならないので確定申告は不要です。

贈与税の申告が必要なケース

慰謝料を受け取ったとき、贈与税の申告も基本的にはしなくてかまいません。
ただし慰謝料の金額が過大で一部に贈与税がかかる場合には、贈与税の申告と納税が必要です。

贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日までに行わねばなりません。

とはいえ、慰謝料を受け取ったときに贈与税がかかるケースは非常にレアです。また課税される金額も明確ではありません。
素人の方が自分で贈与対象額を決めて贈与税の申告をするのは困難といえるでしょう。

また、贈与税には「基礎控除」があるので、贈与と評価される場合でも贈与税がかからなくなる可能性があります。

慰謝料をもらって贈与税の申告が必要かどうか気になったら、税理士に相談してみてください。そもそも贈与税の申告が必要かどうか教えてくれますし、必要なら申告を依頼すると安心できるでしょう。

慰謝料に課税されないための対処方法

不倫や浮気の慰謝料を払ってもらうときには「なるべく税金がかからないように」したいものです。以下では慰謝料に課税されないためのポイントをご紹介します。

過大な慰謝料をもらわない

適正な相場の範囲内なら慰謝料には贈与税がかかりませんが、社会通念上の常識を著しく超えると「贈与税」がかかってしまいます。
通常一般的な収入の方なら、高くても1,000万円以内におさめるのが良いでしょう。

相手が有名人や高額所得者などで、一般とは異なる配慮が必要な場合には、弁護士に相場の金額を確認してみてください。

なるべくお金で支払ってもらう

不動産で慰謝料を受け取ると、不動産取得税などの税金がかかります。車や金、株式などの資産を受け取った場合にも、名義変更の際に手数料がかかったり怪しまれたりする可能性があるでしょう。また後から自分で売却するときに「譲渡所得税」が発生するケースも多数です。

相手に「お金がまったくなくて、どうしても物でしか払えない」など特殊事情がない限り、慰謝料はお金で払ってもらいましょう。

慰謝料に関する合意書を作成する

慰謝料を払ってもらうときには、必ず「慰謝料支払いに関する合意書」を作成しましょう。合意書がないと、外から見たときに「何の理由もなくお金を贈与している」としか受け止められない可能性があるからです。

たとえば不倫相手から500万円振り込まれたとき、後で税務署が「この500万円は贈与されたものだから贈与税を払うように」といってきたとしましょう。慰謝料に関する合意書があれば「このように慰謝料として振り込まれたものなので、贈与税はかからないはずです」と説明できます。一方書面がなかったら「慰謝料です」と言っても信用してもらえず、贈与税を課税される可能性が高くなってしまうでしょう。

相手と慰謝料支払いに関する合意ができたら、以下の内容を書き入れて慰謝料支払いに関する合意書を作成してみてください。

  • 不倫が行われたこと
  • 相手が支払義務を認めること
  • 慰謝料の金額
  • 慰謝料の支払方法、支払期日
  • 作成日付

合意書ができたらお互いが署名押印して2部作成し、相手とこちらとで1部ずつ保有します。このように対策しておけば、万一後から税務署に疑われたときにも堂々と対応できて安心です。

まとめ

浮気や不倫の慰謝料を受け取っても基本的に税金はかからないので、安心しましょう。迷ったときには税理士に相談してみてください。

不倫慰謝料を確実に支払わせるには、浮気の証拠が必要です。自分で充分な証拠集めをできないときには探偵事務所に依頼して現場を押さえる作戦が有効となるでしょう。専門家に相談してリスクを減らしつつ、なるべく高額な慰謝料を獲得してください。