興信所とは?探偵事務所との違いと失敗しない選び方

「浮気調査をお願いしたい…」「行方が分からない家族の消息を知りたい」こうした悩みを抱えた時、興信所や探偵事務所を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、興信所とはどんなところか?また探偵事務所との違いはなにか?失敗しない興信所・探偵事務所の選び方について詳しく解説していきます。

あまり身近な場所ではないからこそ、正しい知識を得たうえで、失敗しない事務所選びを学んでいきましょう。

この記事を読んでわかること
  • 興信所とは?
  • 興信所と探偵事務所の違いは?
  • 興信所の料金や失敗しない選び方とは

興信所とは?

興信所とは企業や個人に対して、信用情報や所在、行動などについて調査を行う会社です。

歴史を紐解いていくと、興信所の起源は元日銀の外山脩造が1892年に発足した「商業興信所」であり、これが日本初の信用調査機関となりました。その後、新しく「東京興信所」が作られましたが、当時日本にこの2つしかなかった興信所は、日銀や銀行グループの出資で作られていたため、主な業務が今とは異なり企業の身辺調査を主としていました。

その後、福岡日日新聞記者を経た後藤武夫が1900年に、民間の信用調査会社である「帝国興信所(現在の帝国データバンク)」を作りました。当初は帝国興信所も企業調査を主としていましたが、次第に結婚調査や雇用調査など個人の調査も並行して受けるようになりました。しかし創業から81年が経った1981年に、社名を「帝国データバンク」と変更してからは業務を企業調査のみとし、現在でも83か所で1700名を超える従業員を抱える企業となっています。

このように興信所の歴史を紐解いていくと、もともとは企業の信用調査のために作られていましたが、時を経るにつれて民間主体の興信所が増え、浮気調査や個人の身辺調査なども取り扱うようになり、現代の興信所の在り方に近づいていきました。

探偵事務所とは?

興信所について分かったところで、次は探偵事務所について知っていきましょう。探偵事務所とは興信所と同様に、個人や企業についての信用情報や所在、行動についての調査を行う会社です。

実は日本で「探偵」という言葉が用いられたのは興信所より早く、時代にして江戸時代ごろから同心(江戸時代の下級役人)や、岡っ引き(警察機構の非公式な協力者)が「探偵方」と呼ばれ、公民問わず捜査活動を行う人を指しました。

その後、日本初の私立探偵といわれているのが、1985年に東京の日本橋に開業した「岩井三郎事務所」で、この事務所では現在の探偵とは異なり、さながら推理小説に出てくるような「シーメンス事件」「花王歯磨き密造事件」など様々な刑事事件を手掛けることになりました。

またこの事務所には、推理作家である江戸川乱歩や日本初の女流探偵・天野光子が勤めていたことでも有名で、乱歩の作品で活躍する明智小五郎は岩井三郎がモチーフだと言われています。


このように興信所と探偵事務所双方の歴史を紐解いていくと、興信所は銀行グループによる企業調査が始まりとなり、探偵というのは元々は警察に似た地道な捜査を主体としていたことがわかります。

そしてこういった始まりの違いやフィクションの世界で植え付けられたイメージから、今でも私たちの中で「興信所と探偵事務所は別」といった印象を持つきっかけになったと考えられます。

興信所と探偵事務所の違いとは?

それでは興信所と探偵事務所の成り立ちの違いが分かったところで、現在の興信所と探偵事務所には何か違いはあるのでしょうか?

実は、現在では興信所と探偵事務所は特に違いはありません。これは2007年に施行された「探偵業法」によるもので、

第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。(引用:「探偵業の業務適正化に関する法律」法令検索より)

と上記のように定義されています。つまり他者から依頼を受けて、特定の人物や会社について聞き込み・張り込み・尾行を行うことを「探偵業務」と呼ぶことになり、こうした活動を主とする「興信所」「探偵事務所」は実質的に同じ職種とされることになったのです。

この法律が制定された背景には、海外とは異なり日本では興信所や探偵事務所などを開設するには特に免許などの資格の必要はありませんでした。このため中には法外な料金を要求する事務所や、不法侵入や私文書偽造など法律に触れる調査の仕方をする事務所が現れることになり、結果依頼者や調査対象者を守る目的でこうした法率が制定されることになったのです。

興信所と探偵事務所どちらに依頼したらいいの?

興信所や探偵事務所でどちらに依頼するか迷った場合は、名前に捉われることなく自分のニーズに合った事務所を選びましょう。

一概に興信所や探偵事務所といっても、料金体系に違いがあったり得意分野があるなど事務所によって特色や得意な調査ジャンルは大きく異なります。このためどちらに依頼するか迷った場合は、名前に左右されることなく、その事務所が得意とする分野は何か?料金体系が自分にあっているか?弁護士の紹介・カウンセリングなど、アフターケアが充実しているか?など、自分のニーズに合っているかで判断しましょう。

また多くの興信所や探偵事務所では、無料相談を取り入れているため「どこに依頼すればいいのかわからない…」といった場合は、まずは複数の事務所で無料相談を行い、その後納得した事務所で依頼をするのが失敗を防ぐコツとなります。また詳しい失敗しない選び方は、下記で紹介していくため合わせて読んでおきましょう。

興信所・探偵事務所に無料相談を行う

興信所ではどんな調査ができるの?

興信所では具体的に、以下のような調査を行うことができます。

  • 浮気調査
  • 人探し・家出調査
  • 身辺調査・結婚調査
  • 企業調査
  • いやがらせ調査
  • ハラスメント調査
  • ペット捜索
  • ストーカー調査
  • 証拠・監視調査
  • 盗聴・盗撮調査
  • 各種鑑定調査
  • 測定調査

興信所では、浮気調査や身辺調査といった興信所として思い浮かべやすい調査だけでなく、いじめの実態を明らかにするいやがらせ調査や、モラハラ・マタハラなど会社の中で横行する大人の嫌がらせに対して調査を行う事務所もあります。

ただし事務所によって、取り扱っている調査が異なったり、保有している機材や依頼に割ける人材も違うため、まずは依頼前にHPで取り扱っている調査について調べたり、電話での相談で軽く質問して自分のニーズに合った依頼ができるかを確かめましょう。

興信所の調査料金はどのくらい?

興信所や探偵事務所に依頼する場合、気になるのが料金の相場です。以下は一般的な調査についての相場となります。

  • 浮気調査・・・10万円~100万円
  • 素行調査・・・10万円~50万円
  • 人探し・家出調査・・・3万円~100万円
  • 結婚調査・・・10万円~100万円

上記が興信所や探偵事務所でポピュラーな依頼の相場となりますが、どの調査でも料金相場にはかなり開きがあることが分かります。これは実はどの調査についても、ケースによって調査内容が大きく異なるため料金を一概にいくらと表記することが困難だからです。

例えば人探しの場合では、

  • 相手の情報がどこまでわかっているか?
  • 相手との関係が親類か?友人か?もっと縁が遠いか?
  • 自分で行方をくらませている可能性があるか?

などにより、調査難易度や適切な料金体系が変わります。この他にも例えば興信所などで最も多い浮気調査では、

  • 浮気の有無についてある程度確証があるか?
  • 浮気をしている日について具体的に予測できるか?
  • 浮気相手について心当たりがあるか?

などの違いだけでも、調査期間・調査人数・調査範囲が大きく異なるため料金が大きく違ってしまうのです。

このためまずは、相場について悩むよりも興信所や探偵事務所など多くが取り入れている無料相談を行い、自分の状況に合わせた料金を算出してもらうのが一番となります。

以下の記事は人探しにおいての費用の記事ですが、興信所や探偵事務所などの料金体系について詳しく解説しているため、費用が気になる場合は合わせて読んでおきましょう。

興信所・探偵事務所の失敗しない選び方とは

令和3年現在、探偵業として公安委員会に届け出ている企業は6,693件にものぼり47の都道府県で割ると、なんと1県に142もの探偵業者が開業していることになります。(参照:「令和3年中における探偵業の概要」より)

地元の企業を選ぶとしても、これだけ多ければどんな点に重点を置いて選べばいいのかわからなくなりますよね。そこでいい興信所と悪い興信所の見分け方を紹介していきます。以下が無料相談までの間に見極められるポイントです。

  • 探偵届出証明書が事務所やHPに明記されているか?
  • 運営年数、取り扱い実績数はどのくらいか?
  • 「成功率100%」「業界最安値」「お金が戻ります」など誇大広告をしていないか?
  • 無料相談の際に丁寧なヒアリングを行ってくれるか?
  • 料金体系や契約書について、疑問点や不審点がないか?
  • 探偵業法に基づく行政処をうけていないか?

まず必ず確認したいのが「探偵業」を営むために必要な、行政手続きを済ませているかという点です。合法的に運営している業者であれば必ず、HPでも公安委員会が発行した探偵業届出証明番号が記載されているため、まずはこの番号がきちんとあるかを確認しましょう。

次に運営年数と、取り扱い件数についてどのくらいかを見ていきます。最近始めた事務所が悪いというわけではありませんが、どんな業種でも人材が育つのには時間がかかります。安心して依頼するためにも、ある程度実績がある会社に依頼するほうが安心を得ることができるでしょう。

この他にも「成功率100%」「業界最安値」「絶対に解決します」「お金が戻ります」「戸籍謄本の取得ができます」など、誇大広告や本来の業務ではできないことを謳っていないかという点も悪質な業者を見分けるポイントとなります。

また無料相談を行っている場合は、直接事務所に出向き現在自分が抱えている悩みについて、どんなヒアリングを行ってくれるか?どんな提案をしてもらえるか?疑問や不安点についての質問に真摯に答えてくれるか?という点も納得できる興信所を選ぶ要素の一つとなります。

また相談後は事務所側から、具体的な調査の提案がされますがその時、

  • 最終支払い金額の提示はされているか?
  • 成功定義について納得できるか?
  • 調査内容・調査人数・調査範囲について明記があるか?
  • 契約解除に関する項目があるか?(違約金の有無・違約金の金額と支払い時期)

などの点を必ず確認しておきましょう。この時、具体的な支払いや成功定義などについて口頭で濁したり、きちんとした契約書を用意しない事務所はその後トラブルに発展しやすいため契約しないでおきましょう。

この他にも探偵業について、違反したことによる行政処分が下っている場合は、管轄する警察署のHPにて業者名・処分日・具体的な処分内容などを確認することができます。違法な調査をしていないかを確認するためにも、自分の依頼したい都道府県の行政処分対象事業者について一度目を通しておくといいでしょう。

興信所や探偵事務所に依頼する金額は、決して安いものではありません。だからこそ依頼する企業に対して受け身になることなく、納得できるまで調査・料金について話を聞き依頼することで、失敗しない興信所を選ぶことに繋がります。

まとめ

日々の生活の中で、あまり馴染みのない興信所という場所。

特殊な場所だからこそ、「興信所と探偵事務所の違いはなんだろう?」「自分の希望を叶えるには、どちらに依頼したらいいのだろう」「興信所ではどんなことを調べることができ、料金はどのくらいかかるのだろう?」と様々な疑問が浮かんできますよね。

分からないことが多いからこそ、依頼するのをためらったり、不安になることが多いかもしれません。ですが多くの興信所では、無料相談を行っており他の人には話しづらい悩みを、安心して話すことのできる場です。依頼するかどうか悩んでいる場合でも、現在の状況をありのままに話せばいいため、悩み事がある場合は依頼するかどうかは後で決め、まずは相談してみることが問題の解決に繋がるかもしれません。

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