離婚の前に別居したい人がやるべきこと10選!夫婦が離れて暮らすための下準備

別居前にやるべきこと

離婚に踏み切る前に、別居して冷静になりたいと考えていても「別居って何から準備すればいいのかわからない」と、戸惑ってしまいますよね。実は離婚前に別居をする際には、様々な下準備が必要です。

この準備をするかしないかで、離婚後の生活にも大きな影響が出てきます。

今回は離婚の前に別居したいと考えている方に向けて、別居前にやるべき下準備を10つ紹介します。読み合わせながら具体的に別居の準備を進めていきましょう。

離婚前に別居をするメリットとデメリット

まずは、「離婚を前提に別居する」または、「離婚の前に別居をして考えたい」と思っている方に向けて、別居をするメリット・デメリットを解説します。

離婚したいわけではないけれど、別居婚という選択をしたいという場合はこちらの記事をご覧ください。

夫婦が別居するメリット

別居するメリット

離婚前に夫婦が別居するメリットは、離婚原因を作り出せるという点です。離婚したいけれど、相手が応じてくれない場合、別居をすることで婚姻関係が破綻していると認められ、スムーズに離婚できる可能性が高くなるのです。

また、相手が離婚を拒んでいるのにも関わらず、自分の態度を改めようとしなかったり、真剣に向き合ってくれなかったりするのであれば、別居の事実によって離婚に対する本気度を示すことができます。

そのほかにも、なかなか離婚話が進まないのであれば、別居をすることで離婚後の生活がイメージしやすくなるなどのメリットがあります。別居はそういう点で、離婚を加速させるための有効手段と言えるでしょう。

夫婦が別居するデメリット

もちろん、別居にはメリットだけでなく、デメリットもあります。最大のデメリットは別居すると再構築が難しいという点です。

別居をしたことで夫婦関係が良くなり再構築ができたというケースもあるものの、厚生労働省の「同居をやためたときから届出までの期間別にみた離婚」調査によると別居1年未満で離婚届けを提出した夫婦は82.5%となっています。

早く離婚したい人にとっては、希望に感じるデータですが、もしも離婚を考え直したくなったり、再構築をしたくなったりした場合は別居がデメリットに感じるかもしれません。

また、相手の同意なく家を出ていき別居をした場合は、離婚した原因は家を出ていった方にあると見なされ、慰謝料請求や離婚請求を相手からされてしまう危険性もゼロではありません。

夫が同意してくれなくても、別居はできるの?

実は、相手の同意がなく別居を選択した場合、離婚請求・慰謝料請求の対象となる「悪意の放棄」に該当する可能性があります。民法で夫婦は同居して協力する義務が規定されています。そのため相手の許可がなく別居した場合は同居義務違反に該当するのです。

しかし、相手の同意が得られなくても「別居する理由」が正当であれば同居義務違反にも該当しませんし、相手から慰謝料を請求されるリスクは半減します。婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合は、同居義務違反にあたりません。

婚姻を継続しがたい重大な事由

では、婚姻を継続しがたい重大な事由にはどんなものがあるのでしょうか?一般的には以下の事由は「婚姻を継続しがたい重大な事由」とされています。

  • 性格の不一致
  • 暴力・侮辱・虐待(DV)
  • 性生活の不満
  • 同性愛・性交不能
  • 配偶者の親族との不和
  • 過度な宗教活動
  • 犯罪行為による服役
  • 金銭問題

もしも、別居したい理由はこれらに該当するのか不安なときは、別居前に弁護士に確認をとっておくのが良いでしょう。

別居するためのやることリスト10

メリットもデメリットもある別居ですが、別居するにあたって後悔のないように下準備をしておきましょう。別居をするためにやることは大きく10つです。

それぞれのやるべきことを具体的に解説していきます。

弁護士への相談をしておく

弁護士への相談

上述でもお伝えしましたが、相手の同意がなく別居する場合、「悪意の放棄」に該当し離婚請求をされる危険性があります。別居前にご自身の事例が悪意の放棄にあたらないのか確認しておきましょう。

また、別居中でも婚姻費用といって、生活を維持するための費用を請求できる可能性もあります。別居前に弁護士へ相談しておくことで、いざ離婚へ本格的に踏み切るとき、スムーズに話が進みますよ。

【離活】離婚したいと思ったら、いますぐやるべき下準備

別居資金の準備

別居する際は新居を契約したり、家電を購入したりと、何かと費用が必要です。ある程度別居資金を貯めてから、別居に踏み切ることにしましょう。

家電などは新品にこだわらなければ、リサイクルショップで安価に手に入れることができます。

住む場所を見つける

別居先となる場所に、いくつか目処をつけておきましょう。とくにDVなど命に関わる問題で別居する際は、なるべく見つからない場所で新生活を始めたいものです。できれば実家など安全が確保できる場所が望ましいですが、DV問題で別居する際はシェルターが利用できるか相談してみるのも一つの手段でしょう。

子供の保育園、学校の問題を解決する

別居に伴い、子供の転校先を探さなければならない人もいらっしゃるでしょう。とくにお子さんの年齢によっては転校が負担となったり、保育園児の場合は地域によって待機児童問題が出てきたりもしますよね。

待機児童問題の状況や学区の範囲を照らし合わせながら別居先を吟味していきましょう。

離婚する場合の証拠を集めておく

別居をしてしまうと、離婚を成立させるための証拠集めが難しくなります。とくに相手の不貞行為やDV・モラハラなどが原因で離婚を考えているのであれば、同居中にあらかじめ証拠を確保しておく方が、いざ調停で争うことになっても心強いですよね。

とくに、DVやモラハラなどは家庭内だけで起きる問題なので、別居してしまうと決定的な証拠が取りにくくなると思います。もちろん、精神的・体力的な問題もあるので、証拠が集まるまで我慢する必要はありません。しかし、家庭内の問題で離婚を検討しているのであれば、別居前に証拠を準備しておくと安心です。

また、ご自身で証拠集めが困難な場合は探偵事務所に依頼するのも一つの手段です。とくに不倫問題の証拠は肉体関係があることを証明するものが必要になってきます。

小さなお子さんがいらっしゃる場合、尾行してまで決定的な写真を撮影するのが難しいですよね…。そんなときに役にたつのが探偵事務所です。どうしても、証拠が集められない方は、どんな証拠を集められるのか?費用はどれくらいかかるのかを探偵事務所へ相談してみましょう。

不貞行為の証拠となるものは、こちらの記事にまとめています。

住民票の移動と転送届けを提出する

別居しても、相手とほぼ復縁することはなく、離婚の意思が固いのであれば、住民票の移動と転送届を提出しておきましょう。「別居して少し距離をあけたい…」とお考えであれば住民票の移動はせず、郵便物の転送届だけしておくと便利です。

別居先で新しく保育園を申し込みたい場合は、住民票の移動を求められることもあるので、別居先でどう対応すればいいのか役所で相談しておきましょう。

ただ、離婚が成立するまでは住所異動の履歴が相手にバレてしまう危険性もあります。DVなどの理由で住所を知られず別居したい場合は、住民票や戸籍の交付や閲覧を制限する「DV等支援措置」を使って、閲覧制限をかけておきましょう。

「DV等支援措置」は警察署または、配偶者暴力支援センターへの相談が必須となります。

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相手の財産や夫婦の財産を把握する

別居後、離婚が正式に決まると財産分与を行う流れとなります。夫婦で形成した財産(家や車なども含む)は離婚時に家庭への貢献度を考慮しながら分け与えることができるのです。

どの財産が夫婦の財産となるのか?個人の財産となるのか?を、あらかじめ把握しておきましょう。

離婚時に財産分与する財産の種類は大きくわけて3つあります。

  1. 清算的財産分与(婚姻中に形成した財産を清算する)
  2. 扶養的財産分与(離婚で窮困する配偶者の扶養)
  3. 慰謝料的財産分与(配偶者を傷つけた慰謝料)

とくに婚姻中に形成した財産は、専業主婦であっても分与対象となります。家事をした労力によって、配偶者が働けていたわけですから、専業主婦も家庭への貢献していることになるのです。

一般的には専業主婦でも貢献度は原則50%とされているので、夫と妻で半分ずつに分けられます。相手が話に応じてくれない場合は弁護士に相談して対策をとってもいいかもしれませんね。

バレないように引っ越し準備を行う

別居に反対されているのであれば、配偶者にバレないよう引っ越し準備を行う必要があります。

この場合、大きな家財は運び出せませんし、賃貸契約の都合上、新居に荷物を運べないなどの問題も出てくるでしょう。まずは緊急度の高いものから整理しておくことをおすすめします。

また、最近では気軽に借りれるトランクルームもあるので、一時的に荷物を預けておいてもいいかもしれませんね。

深刻なDV問題で別居をお考えであれば、DVシェルターでの一時避難も検討しましょう。

DVシェルターとは?

DV(ドメスティックバイオレンス)から被害者を一時的に保護するための施設です。原則2週間程度、施設を利用できます。加害者が被害者を探し当てないように、DVシェルターの場所は非公開ですが、公的機関に相談するとシェルターへと繋げてもらえます。

自分の両親や友人に話をつけておく

別居する際は、信頼できる人にだけ話をつけておきましょう。とくに自分の両親には話をつけておく方が、誤解を生みにくいです。

たとえば居場所を口止めしてもらったり、逆に居場所をバラしてしまいそうな人には、別居先を伝えないでおいたりなど。現在の環境に合わせて、ある程度の対策を行っておくと良いでしょう。

収入源を増やしておく

正社員として働いている方、パートに出ている方、専業主婦をしている方、みなさん様々な働き方をされていると思いますが、別居と離婚は予想以上に出費が増えたり、経済的な不安も出てきたりします。

専業主婦の方は別居前に仕事探しを行っておきましょう。また、本業がある方も万が一に備えて、自分で収入源を増やすために副業等をはじめるのもいいですね。

もちろん、初期費用がかかる副業を選ぶ必要はありません。最近ではスマホがあればアンケートなどの副業ができたり、パソコンがあればWebライティングなどの副業ができたりします。

離婚を前提の別居はおすすめできるけれど…

別居をするためには、様々な下準備が必要です。「配偶者と別居したい…」と悩んでいること自体、精神的にも苦しい状態なのに、別居のための準備を考えると気が重くなってしまいますよね。

しかし、別居は離婚を現実的にするために有効な手段です。離婚の話がなかなか進まず、我慢の限界が近づいているのであれば、別居はおすすめできます。

とはいえ、再構築を希望している方には安易に別居をおすすめできません。なぜなら別居をして心を入れ替える人ばかりではないからです。

別居中に浮気をされてしまったり、相手の心が冷めてしまったりする危険性も潜んでいるので、まだ夫婦としてやり直したいと思っている方は、別居の前にもう一度、配偶者と話し合う機会を作ってもいいでしょう。

まとめ

3組に1組の夫婦が離婚をしているといわれていますが、いざ自分が離婚に向けて行動しようとなると、考えることもたくさんあり決心がつかないという人もいるでしょう。また、相手が離婚を拒んでいるのであれば、話も平行線ですよね…。

ここに別居というステップを置くことで、より現実的に離婚へと行動できる可能性がアップします。

今回ご紹介した10つの下準備を参考に、一つずつ問題をクリアしてみてくださいね。