夫や妻、家族、または職場など、どんな場所でも起こりうるモラハラの被害ですが、被害を受けた人は、環境が改善されたとしても心に大きな傷を抱えてしまいます。
モラハラ加害者からの精神的な暴力がなくなったのに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症してトラウマがフラッシュバックしてしまい、今までの日常生活を送ることが難しくなることもあるのです。
では、モラハラ被害者が後遺症から立ち直り、自分らしい生活をするためにはどうすれば良いのでしょうか?
この記事では、被害者を苦しめるトラウマを乗り越え、あなたらしい生活を送るためのポイントについて解説していきます。
目次
トラウマのメカニズムを知ろう!

モラハラ被害に限らず、失恋・別れ・裏切り・災害など、人は予期せぬショックが加わったときに精神的な負担を抱えます。
通常であれば、時間が経過するとそのショックは和らぎます。その理由は、徐々に記憶が薄れていくからです。ショックだった場面、状況の記憶が薄れることによって、精神的苦痛が減少するのです。
しかし、トラウマというものは厄介で、時間が経てばたつほど、精神的負担(心の苦しみ)が大きくなってしまうことがあります。
通常であれば記憶が薄れるはずなのに、トラウマの場合は時間が経っても当時の記憶を鮮明に思い出し、フラッシュバックに苦しめられるのです。
しかし、実は『当時の記憶を鮮明に思い出している』というわけではありません。なぜならトラウマも日々アップデートされているからです。
トラウマとして嫌な記憶を思い出すたび、「こんな経験はもうしたくない」「ぜったいに戻りたくない」と嫌な記憶である認識を付け加えて、新しい記憶として上書き保存をしています。
ということは、この認識を少しずつ変えていく訓練をすれば、トラウマの記憶を『トラウマ』として認識しなくなるということ。
とはいえ、それができないからこそ、あなたを苦しめる記憶となっているはずです。
次の項目では、モラハラ被害者がトラウマを乗り越えるための方法、手順を具体的に解説していきます。
モラハラ被害者がトラウマを乗り越える方法

まず、モラハラ被害のトラウマを乗り越えるために、あなたにしていただきたいのが「あなたは悪くない」という認識を持ってもらうことです。
モラハラ被害者は、加害者から長期的な精神的苦痛を与えられたことによって「自分が悪いからダメなんだ」と思い込んでしまいがちです。しかし、あなたにどんな欠点があろうとも、強い言葉や態度であなたを威圧する方が悪いのは間違いありません。
まずはトラウマを乗り越えるためにも、自分が被害者であることを認識を持つことが重要です。そして、被害者という認識を持つことが、あなたらしい生き方を取り戻す近道になります。
ステップ1.トラウマを忘れようと思わないこと

- モラハラ上司に言われた言葉を思い出してしまった。
- 配偶者による心ない言葉がフラッシュバックしてしまった。
モラハラ被害から逃れることができても、あなたを苦しめるトラウマがフラッシュバックしたとき「忘れよう、思い出さないようにしよう」と願うのは自然なことです。
しかし、実はこの『思い出す』行為はあなたの防衛本能によるもの。もう二度と同じような経験をしないため、脳が強制的に記憶を呼び起こしているのです。
また、思い出すたび「思い出さないようにしよう」と紐づけてしまうと、さらに「嫌な思い出」だと認識してしまいます。
だからこそ、思い出してしまったときは、一旦そのトラウマを受け入れ、「自分にとって辛かった記憶である。けれどもう危害を加える人はいない」と脳に認識させてあげることが重要です。
ステップ2.自分の気持ちを言葉にしてみよう

「モラハラを受けて辛かった、悲しかった」という気持ちを心の中で整理してみませんか?
たとえばモヤモヤしてしまったときに、紙とペンを用意してみてください。
- どうしてモラハラをされて辛かったのか
- どんな言葉が辛かったのか
- なぜそんな言葉を浴びせられたのか?
悲しい気持ちを言葉にしていくことで、気持ちの整理をするができます。そして、そもそもあなたが加害者から理不尽な暴力を受けていたことは明確です。
心にもモヤっと残っている気持ちを言葉にして、現在は解決していることを脳に認識させてあげましょう。
ステップ3.客観的視点を養おう

「頭ではわかっているけれど、気持ちが追いつかない」という場合は、客観的視点を養うトレーニングをおすすめします。
たとえばトラウマが蘇ってきたとき、あなたが主体の記憶として思い出してしまいますよね。悲しい、辛いという感情も蘇ってくるでしょう。
こんなときこそ、客観的視点で考えてみるのです。
あなたでもなく、加害者でもなく、第三者の立場になって当時の様子を思い出してみましょう。
するとあなたは紛れもなく被害者であり、理不尽な暴力を受けていたことがわかるはずです。
難しいときは友人や知人など、本当の第三者に意見を求めることもオススメします。
まとめ
モラハラ被害のトラウマを乗り越えるためにも、悩みを一人で抱え込まないようにしましょう。
苦しい、寂しいと思ったら友人や知人、家族に相談してもいいのです。相談機関やカウンセラーに打ち明けても良いのです。
誰かに気持ちを共有することで、第三者の意見を取り入れることができ、トラウマ克服へ一歩近くことができます。
あなたの毎日が、自分らしく、居心地のいいものとなるよう願っています。