「さくら幸子お悩み解決!!」第四弾は、出産を前にエスカレートする夫のモラハラに悩んでいる方からのご相談です。
本来ならば普段以上に夫の支えが必要な時期に、大きなストレスを抱えている相談者さま。表面化しづらい家庭内のモラハラについて、モラハラ化してしまう夫の心理や夫婦間のコミュニケーション術について語っています。

さくら幸子探偵事務所:さくら幸子(橋本登代子)
1976年に札幌テレビ放送にアナウンサーとして入社。 1988年退社後はフリーアナウンサーとして活動。 現在、有限会社ボイスオブサッポロの代表取締役社長で、北海道に関わる各種シンポジウム、フォーラムの司会やコーディネーターを務める。 愛称はトンちゃん。 2010年、自身出演の番組を書籍化した「TONちゃんのほっかいどう大好き」を刊行。

さくら幸子探偵事務所:姉崎一美
1959年生まれ。東京・札幌を拠点にアパレル・美容業界を経て、パーソナルカウンセリングの重要性を追求、構築する。 後に興信・探偵業でさらに深く悩める人の心に触れ、人生に寄り添うアドバイスが評価され相談件数はこの10年で1万件以上。 数多くの契約クライアントを持つ。 気さくな人柄で各種講演、テレビ、ラジオに多数出演。
モラハラは夫婦間でも増えている
さくら(橋本) 今回紹介するのは、夫のモラハラに苦しんでいるという、にゃおさん(仮名)のお悩みです。

はじめまして。現在、第一子妊娠3ヶ月の妻です。
最近、夫からの言動がエスカレートしていて、どうしたらよいかわからず、ここに相談させ ていただきました。
妊娠がわかったときは夫も喜んでくれたのですが、最近では私が思うように動けないことに対してイライラしたり、できないことがあるたびに嫌味を言われたりします。
私も体調が安定せず思うように家事できませんし、夫のセックスも断ります。 その度に嫌味や怒りをぶつけられて辛いです。
また、夫は人前では優しく盛り上げ上手。特に私の両親は夫を信頼しているため、このことを相談できません。
夫からのモラハラがどんどんひどくなっていく気がしており、もしこの先エスカレートして、最悪の場合中絶させられるのではないかと不安で仕方ありません。
私が我慢して、うまくやり過ごしたほうがいいのでしょうか。
それとも何か方法があるのでしょうか。
どのように対応すればよいのか、アドバイスいただけますでしょうか。
さくら 職場などでのモラハラは社会問題として耳にしますが、夫婦間のモラハラも増えているんですか?
姉崎 はい、実は夫婦間のモラハラは表面化しづらいだけで、かなり増加傾向にあります。職場のように周囲の人が介入してくれるケースが少ないうえ、家庭内のことですからどうしても見えにくいんです。周りから見れば「仲の良い夫婦」に映っていても、実際には妻が深刻なストレスを抱えていることも多々あります。
妊娠中の不安を協力すべきはずの夫が増幅させる
さくら にゃおさんは妊娠中ということで、体調も不安定ですし、気分の浮き沈みも大きくなりがちですよね。特に初めての妊娠ならなおさら。それを支えるべき夫からモラハラを受けるというのは本当に辛いでしょうね。
姉崎 そうですね。今回ご紹介した相談者は20代前半。初めての妊娠ということもあって、不安感が強いのに、夫から嫌味やきつい言葉を浴びせられている。これは相当なストレスだと思います。
さくら 妊娠前と同じような生活スタイルを妻に求めるあまり、結果的にモラハラとなって表面化しているのかもしれませんね。
姉崎 そうですね。ご主人自身がまだ成熟していないケースが多い。子どもを持つ心の準備ができていなくて、自分中心だった日常が変わってしまうことを受け入れられないのですね。その結果、「ご飯が作れていない」「家事をいつも通りにしてくれない」といった小さなことに不満をぶつけ、嫌味を言ったり、当たり散らしたりするわけです。
モラハラ夫の心理じは「本当は寂しいし、自信がない」
さくら モラハラをする側は、怒りたくて怒っているというより、自分の不満や不安のはけ口を探しているようにも見えますよね?
姉崎 おっしゃる通りです。モラハラ気質の人って、実は自信がないことが多いんですよ。自己肯定感が低いので、相手を支配しているように見せることでしか自分の存在意義を見いだせない。しかも「外面は良い」という特徴もありますから、周囲は「優しくて面白いご主人」というイメージしか持っていない。でも家に帰ると一転して、妻に厳しい言葉を浴びせるというギャップがあるのです。
さくら 相談者さんも、夫の外面が良くて自分の両親も信頼しているとおっしゃってますね。だから、自分の悩みを共有できず、孤立感を覚えてしまうかもしれません。
姉崎 そうですね。だからこそまずは夫婦間のコミュニケーションを工夫することが大切。モラハラ気質のご主人に対しては、例えばクッション言葉を意識的に使うといいですよ。ビジネスシーンでよく「お手数ですが」「恐縮ですが」といった前置きの言葉を入れますよね。あれは家庭内でも応用できます。
クッション言葉で夫をコントロールしてみる
さくら なるほど。クッション言葉を使うだけで変わるものでしょうか?
姉崎 例えば「疲れて帰ってきたところ申し訳ないけど、手伝ってくれる?」と言ってから家事を頼むなど、ちょっと丁寧に聞くだけで相手が受け取る印象は違います。モラハラ夫に対しては当たり前の要求が逆鱗に触れがちなので、その前にワンクッション置くんです。
我慢で破綻しないためにも言い方を変える
さくら 相談者の方は「私が我慢してうまくやり過ごした方がいいのか」と悩んでいるみたいですね。
姉崎 我慢し続けることは破綻のもとです。言葉を飲み込んで堪えていると、いずれ限界が来ますし、何より胎教にも良くない。ストレスは自分だけでなく、お腹の子にも影響があると考えると、一日でも早く環境を整える必要があります。
だからこそクッション言葉をはじめとするコミュニケーション術を駆使して、「夫にも役割がある」ということを感じさせるといいですよ。そこがうまくいくと、夫が自分から「俺がやろうか?」なんて言い出すようになるケースもあります。
さくら なるほど。生まれてくる子どもを育てるだけでなく、夫も一緒に育てないといけないんですね。