アニメやドラマの中で、颯爽と事件を解決に導いていく「探偵」。こんな夢膨らむ「探偵」という仕事ですが、それでは私たちが探偵になるには、どうすればよいのでしょうか?また実際に探偵とはどんな仕事をしているのでしょうか?
そこで、この記事では探偵になるために必要な資格、具体的に探偵になる方法、実際の探偵の仕事内容や報酬など、探偵に憧れる人の知りたい情報をギュッとまとめて解説していきます。
様々なコンテンツで取り上げられる「探偵」ですが、実際にはどんな仕事をして、どうすれば探偵になれるのか、憧れだけでなく実際の「探偵」という職業を知っていきましょう。
- 探偵の仕事とは?
- 探偵になる具体的な方法
- 探偵になる前に知っておきたい資格・年収・仕事内容
まずは知っておきたい、探偵ってどんな仕事?
探偵とは、相談者から受けた依頼に対して、聞き込み・張り込み・尾行などを行い事実の調査を行う仕事です。具体的な調査内容としては、
- 浮気調査
- 身辺調査・素行調査
- 人探し・家出人調査・失踪者捜索
- ストーカー調査
- 盗聴・盗撮調査
- いじめ・ハラスメント調査
など、行う調査は多岐にわたっています。こうした仕事内容のため、漫画やドラマなどで知られている「探偵」とは異なり、実際の「探偵」は、私たちの身近な悩みを相談できる仕事ということができます。
またドラマや漫画などの世界では、「探偵」が殺人事件や刑事事件を華麗に解決するっといったシチュエーションも多いですが、実際には日本の探偵がこうした事件にかかわることはほぼありません。つまりフィクションの世界での「探偵」のイメージと、実際の「探偵」の仕事は、大きく違うということがいえます。
探偵になるために必要な資格はあるの?
日本の場合、実は探偵になるために特別必要な資格はありません。
イギリスやアメリカなどの他の外国では、探偵になるには専用のライセンスが必要になる国もありますが、日本の場合は学歴・性別・資格なども特に必要なく、「欠格事由」さえ当てはまらなければ、思い立ったその日から探偵を名乗ることも可能です。
ただ「探偵」を名乗ることは、誰でもその日からできるとしても、実際に探偵として働くためには、色々な知識や経験が必要となります。それでは具体的な職業として探偵になるには、どんな方法があるのでしょうか?
探偵になる具体的な方法とは?
探偵になるためには以下の4つの方法があります。
- 探偵事務所に入社し探偵業務を行う
- 探偵事務所を自分で開業して探偵業務を行う
- 本業は別に持ち、副業として探偵の仕事を行う
- 探偵学校に入学する
それではそれぞれの方法を具体的に見ていきましょう。
探偵事務所に入社する
探偵事務所に入社するためには、求人サイトやハローワークなどで入りたい事務所の求人広告を見つけ応募する方法が一般的です。この時すべてではありませんが、多くの探偵事務所の要項には、
- 普通自動車免許(ペーパードライバー不可)
の取得が必須なところが多くなっています。
また経験者優遇を掲げている事務所が多い反面、学歴や職歴などについては特に記載がなく、志があれば誰でも合格できる可能性があるのも大きな特徴といえます。
探偵事務所を開業する
探偵として働くには、個人で探偵事務所を開業し探偵業務を行う方法もあります。
個人で探偵事務所を開く場合は、特に資格などは必要ありませんが、必要な手続きとして、探偵業法に基づき事務所を開く前日までに、最寄りの警察署経由で公安委員会に「探偵業届出証明書」を提出し、受理される必要があります。(参照:「探偵業の業務の適正化に関する法律」法令検索より)
ただ開業については特に資格や、難しい手続きなどの心配はなくても、素人の探偵に仕事を任せたいと思う人はなかなかいませんし、また宣伝していくとしても実績が積みあがっていない場合は経営は難しくなってしまいます。
このため多くの個人営業をしている探偵事務所は、前職が警察関係であったり、探偵事務所での実務経験があるなど、知識やスキルを身に着けてから独立し開業するというスタイルが一般的です。
本業は別に持ち、副業として探偵業務を行う
探偵の働き方の中には、本業を別に持ち副業として探偵業務を行ったり、バイトで探偵業務を行う人もいます。
フリーランスで行う場合は、開業する場合と同様に「探偵業届出証明書」が必要となります。ただバイトのような、探偵事務所などから依頼されて業務を行う場合は、探偵調査補助などの仕事があり、一般的に時給は1100円~1500円程度で募集が行われています。
探偵のバイトの募集は、こちらも一般的に求人サイトを経由することが多く、その他の申し込み方法としては、希望する探偵事務所の公式サイトなどの求人情報に応募する方法があります。
こうした副業感覚で行う人は、単純にお小遣い稼ぎで業務を行う人から、本業は別に手堅く持ち、いずれ探偵事務所を起業したいと思っている人が実務経験を積むために行うものまで様々です。
探偵学校に入学する
探偵になる最後の方法として、「探偵学校」に入学する方法があります。探偵学校とは、探偵を養成する専門学校のことを指し、具体的には「講習」と「実技」で以下のような指導が行われます。
- 証拠を確保するための機材の扱い方
- 尾行・張り込みなどの基礎講習
- 調査報告書の制作方法
- 盗聴器発見などの講習
- 探偵業法や法律などの講習
探偵学校に入学を希望している人の多くは、独立開業を志していたり、探偵事務所への就職を目指しています。また探偵事務所自体が学校を開いていることも多いため、探偵学校に通うことはスキルを身に着けるだけでなく、探偵になる大きな方法の一つといえます。
こうして探偵になるための具体的な方法を見ていくと、入りたい探偵事務所に就職を決めるだけでなく、様々な方法があることがわかります。探偵という仕事は、学歴・性別・年齢などの縛りも少ないため、こうした具体的な方法を見ていくだけでも、自分に合ったなり方を探すことができます。
探偵になるために持っておきたい資格とは?
探偵になるためには、日本の場合は特に資格などは必要ないとのことでしたが、それでは「必須」ではなくとも「持っていたら有利」となる資格などはあるのでしょうか?
運転免許
自動車の運転免許は探偵になるからには、ほぼ必須と考えてもよい資格です。
探偵の仕事の大きな割合を占める、尾行や張り込みでは長い時間を周りに怪しまれることなく息をひそめて機会をうかがう必要があります。例えば長時間、調査対象の家を張り込む場合はその近隣に立って張り込みを行ってしまうと、近隣から不審者として通報されたり、周りから顔を覚えられてしまい不審がられる可能性があります。
その点車であれば、長時間停車していても怪しまれにくく、また外で張り込みを行うより体力的にも温存が可能です。
また普通自動車だけでなく、バイクなどの2輪車の免許も尾行時に小回りが利く点などから、持っていると有用な資格ということができます。
一級探偵調査士検定
必須の資格ではありませんが、取得していると一定の技術を持っていることを示すことができる民間資格です。
「日本探偵業協会」が主催している資格検定で、年1回しか開催されておらず、1次試験は筆記で90%以上の正解率で、2次試験の実技に進むことができます。
2次試験では「尾行・張り込み・調査書作成・カメラ・写真・ビデオなどの取り扱い」といった探偵に必要な業務スキルをみていき、その後に講習会も行われます。
筆記の正答率も高くなっていますが、2次試験の実技については一朝一夕で合格できるものではなく、また3年間の有効期限付きとなっているため、この資格を有しているだけで、ある程度探偵としての知識とスキルが身についていることを示すことができます。
探偵業管理者検定
こちらも必須の資格ではありませんが、上記と同じ協会が行っている探偵業の中でも「管理者」向けの民間資格です。
ただこちらの資格の受験は、まず上記の一級探偵調査士検定に合格している必要があり、こちらも年1回だけ開催されている資格試験です。
1次試験は一級探偵調査士検定と同様に筆記試験となっていますが、こちらは正答率が95%とかなり難易度が上がっており、筆記を合格した者は、2次試験の面接試験に進むことができます。
こちらの資格も3年間で更新が必要となり、この資格を有することは探偵のスキルだけでなく、探偵を束ねる立場で正しい法令知識や内部監査能力を有しているという証明になります。
この他にも、探偵の民間資格には「探偵業務認定試験」や「適正調査士・適正調査管理士」などがあります。
どの資格も探偵を行う上で必須ではありませんが、資格を有しているという事実で、探偵業法やその他関連法令に対しての一定の知識と、探偵業を行う上での必要なスキルを有しているという、客観的な証拠にもなるため、顧客からの安心を得ることや探偵としての就職の際に役立てることができます。
探偵の具体的な仕事内容とは?
探偵になるための具体的な方法や、持っておいた方がよい資格をしったところで、次は具体的な「探偵」の仕事を知っていきましょう。私たちが知っている「探偵」と、どう異なるのかを具体的に知ることで、より「探偵」の仕事がイメージできるようになります。
浮気調査
探偵の仕事の中でも。依頼が多いのが浮気調査です。具体的には、
- 聞き込み
- 尾行
- 張り込み
などを行いながら浮気の証拠を集めていきます。聞き込みでは、近隣の住民や行きつけの店など、調査対象に調査をしていることがバレないように慎重に情報を集めていきます。尾行では調査対象が、どのように行動しているかを確かめ、行動履歴を確認していきます。
また張り込みでは、ホテルに入ったところや、自宅で対象者が浮気相手との密会している瞬間などを残すことで、浮気の決定的な証拠を固めていきます。
人探し調査
探偵事務所には、日々様々な人探しについての依頼が入ります。具体的には、
- 行方不明になった家族を探したい
- 旅先であった恩人を探してほしい
- 昔の彼氏、彼女に会いたい
- お金を貸した相手がいなくなったので探してほしい
など、探したい理由や人物はさまざまです。人探しを行う場合は、具体的には浮気調査と同じように聞き込み・張り込みを行い、尾行については住所を特定するためなどに行います。
この他にも人探しでは、探偵事務所独自の情報ソースや有料会員データベース、電話帳などを使ったオープンソースを使って情報収集も行います。また現在ではSNSも居場所特定の大きな手掛かりになることから、こうした情報を分析することで、探したい人物の情報収集を行います。
盗聴調査
専門の機材を使って、家屋の中に盗聴器が仕掛けられていないかの調査を行います。
一般的にこうした依頼は、ストーカーの被害者の方や家の中に不審な点があった場合などに、依頼者が相談に訪れ調査を開始します。
具体的な調査方法は、盗聴器が発する電波(周波数)をキャッチできる機材を使って、自宅内に不審な盗聴器が仕掛けられていないかをチェックしていきます。
近年、盗聴器も小型化や巧妙化が進んでいるため、専門の機材と技術が必要となるこうした調査は、探偵業務の中でも欠かせない調査ということができます。
この他にも探偵が行う調査は多岐にわたっていますが、こうした具体的な調査を見ていくと、探偵の仕事が私たちの生活の「不安」と密接にかかわっていることを再確認することができます。
気になる探偵のお金事情
探偵になるための具体的な方法や、仕事内容などがわかったところで、最後は探偵を目指すなら知っておきたい、大切なお金について確認していきましょう。
探偵の給料はいくらなの?
探偵の給料は月収20万~45万前後と、経験や実力で大きく異なります。実際に大手3社の探偵事務所の求人を見ていくと、
- A社・・・月給18万円~50万円以上可
- B社・・・月給20万円~50万円
- C社・・・年収300万~800万
など、求人広告で大きな収入差を確認することができました。ただ多くの求人では「経験者歓迎」を謡っているものの「未経験者も歓迎」など、初めて探偵という仕事に就く人に対しても多くの探偵事務所が間口を広くとっていました。
またこうした具体的な年収を見ていくと「知識」や「経験」を身に着けることで、収入面でかなりステップアップできる仕事ということもできます。
探偵の開業資金はどのくらい?
探偵業を開業するためには、一般的に約200万程度の資金が必要だとされています。
この資金は主に、調査を行う機材や調査に使う車や諸経費などの探偵業を行う上で最低限必要なものをそろえる資金と考えておきましょう。
探偵業は個人であれば、無店舗・無在庫で始めることができる仕事のため、開業を志す人にとっては比較的始めやすい仕事環境ということができます。
探偵は儲かる仕事なのか?
個人で探偵事務所を立ち上げた場合、実際に儲かる仕事なのか?というのも探偵を目指すために知っておきたいところですよね。
個人経営の探偵事務所の中には、実際に年収が1000万以上という経営者も存在します。ただこうした人は、あくまで探偵事務所がうまくいったケースであり、実際の探偵事務所の数の推移を見ていくと、令和元年では法人1,652、個人4,141、合計6,066となっており、個人事務所が大手事務所の約3倍ほどの数になっていることがわかります。(引用:「探偵業の概況」一般社団法人全国総合調査業協会より)
このデータではこのほかにも、令和元年度の新規と廃業の届出数がのっており、これによると令和元年度の新規届出は712件、廃業は488件となっており、例年同数程度の廃業者が出ていることから、こうしたデータをもていくだけでも、成功者がいる反面、志半ばで探偵を廃業する事務所も多く、開業のハードルは低い反面続けていくのは大変であるということを理解することができます。
こうして探偵のお金事情を見ていくと、自分は大手事務所に入ってバリバリ働く方がいいのか、個人事務所の開業を目指すのか、自分の歩む道を決める一つの指針になるかもしれません。
まとめ
探偵というと、アニメやドラマの中のように派手でカッコいいイメージを持つ人が多い職業ですが、実際に探偵が行う仕事の中身を見ていくと、派手さはなく地道で根気強さがいることがよくわかります。
ただそうした地道な調査は、ドラマや漫画の中と同様に、悩みを抱える人たちに真摯に向き合い、解決へと導くものです。
こうして探偵の具体的な仕事を知っていくと、フィクションの中のようなキラキラとしたイメージとは異なりますが、別の魅力を持っていることに気づくことができるはずです。