探偵は、パートナーの浮気調査や行方が分からない知人の調査など、さまざまな調査をサポートしてくれる存在です。しかし、なかには悪質な詐欺行為をする探偵もいます。
悪質な探偵に依頼してしまうと、法外な料金請求や違法な調査によるトラブルなどにつながりかねません。
そのため、事前にどのような探偵が詐欺行為をするのかの特徴や被害に遭った際の対処法などを把握しておきましょう。
この記事では、詐欺行為をする探偵の特徴、被害に遭わないための探偵の選び方などを解説します。
- 詐欺をする悪徳探偵の特徴
- 探偵詐欺の被害例
- 探偵詐欺にあった場合の対処法
詐欺行為をする探偵の特徴
詐欺行為をする探偵の特徴として以下が挙げられます。
- 探偵業の届出が未提出
- 違法な調査の実施
- 調査報告書の未提出
- 契約書の未締結
- 過度な成功率を誇る
上記のような特徴がみられるのであれば、該当の探偵への依頼は控えましょう。
探偵業の届出が未提出
日本で探偵業に従事するためには、探偵業務を開始しようとする日の前日までに、開始届出書を管轄する警察署を経由して公安委員会に提出しなければなりません。(※1)
しかし、届出が未提出の探偵事務所も存在するため、注意が必要です。法的に届出が行われていない探偵事務所は、業務の信頼性が低く、詐欺行為をする可能性があるでしょう。
違法な調査の実施

詐欺行為を働く悪質な探偵は、合法的でない方法を用いて調査を行うことがあります。例えば、個人情報を不正に取得したり、プライバシーを侵害したりする方法で調査を実施します。
これらの調査方法は違法であり、依頼者にも法的なリスクが及びかねません。
調査報告書の未提出
探偵に調査を依頼した場合、調査結果を報告書としてまとめ、依頼者に提出するのが一般的です。しかし、悪質な探偵は報告書を提出しない、または内容が不十分であることがあります。
報告書は、調査の結果を証拠として残すために非常に重要です。報告書がない、もしくは不完全なものが渡されると、調査の結果が正当なものであるかどうかを確認することができません。
契約書の未締結
探偵に調査を依頼する際、契約書の締結が欠かせません。契約書は、サービス内容や料金、納期などを明確に記載した文書であり、後のトラブルを避けるために必要不可欠です。しかし、悪質な探偵は契約書を交わさずに口頭でのみ契約を結び、料金やサービス内容について後から変更を要求することがあります。
契約書がない場合、後で料金や条件を変更されても証拠がないため、トラブルを回避することが困難になるでしょう。
過度な成功率を誇る
探偵が「100%の成功率」「絶対に解決する」といった過度な成功率を謳っている場合、信頼性に欠ける業者である可能性があります。
探偵業務においては、調査結果が予測できない場合や、解決に時間がかかる場合もあります。成功率が極端に高いという宣伝は、実際の成果と異なることが多く、集客のための取り組みと考えられます。
詐欺行為をする探偵に依頼した場合の被害
詐欺行為をする探偵に依頼した場合、次のような被害に遭いかねません。
- 個人情報を漏えいされる
- 追加料金や法外な調査料金を請求される
- 求めている結果を得られない
個人情報を漏えいされる

悪質な探偵に依頼した場合、深刻な被害のひとつが個人情報の漏えいです。探偵事務所は依頼者の個人情報を取り扱うため、守秘義務を厳守しなければなりません。しかし、信頼性に欠ける業者はこの守秘義務を軽視し、依頼者の個人情報を不正に利用することがあります。
例えば、依頼者の名前や住所、調査内容に関連する情報を第三者に漏らす、あるいは他のクライアントに無断で使用することがあるのです。さらに、個人情報が悪用されることで、詐欺や不正利用のターゲットになるリスクも高まります。
追加料金や法外な調査料金を請求される
悪質な探偵は、契約時に提示した料金とは異なる額を請求することがあります。
例えば、「調査が予想以上に難航したため、追加料金が必要」といった理由で高額な請求をされかねません。
また、契約内容に明確な金額が記載されていない場合、業者が後から自由に料金を変更できるようになっていることもあります。このような業者は、料金の詳細をきちんと明示しないため、トラブルが発生しやすいでしょう。
求めている結果を得られない
探偵に依頼する主な目的は、調査結果を得ることです。しかし、悪質な業者は依頼者に対して「調査は終わったが、結果が出なかった」といった理由で、求めていた情報を提供しないことがあります。
詐欺行為を働く探偵は、調査が成功したと偽って報告を提出する場合もあります。このような場合、依頼者は不満を感じつつも、調査内容に納得せざるを得なくなり、最終的には費用だけがかさんでしまうことがあります。
探偵による詐欺被害に遭った際の相談先
万が一、探偵による詐欺被害にあった場合、以下に相談してみましょう。
- 消費生活センター
- 警察
- 弁護士
- 別の探偵
消費生活センター

消費生活センターは、消費者の権利を守るための機関であり、悪質な商法や詐欺に関する相談を受け付けています。もし探偵による詐欺や不当な契約に関するトラブルが発生した場合、消費生活センターに相談することが有効です。専門の相談員が問題の解決方法や、次に取るべき手続きについてアドバイスをくれます。
消費生活センターは全国に設置されているうえに、消費者ホットライン「188」では電話での相談も可能です。
警察
探偵による詐欺被害に遭ったら、警察への相談も検討しましょう。最寄りの警察に被害届を提出すれば、捜査が期待できます。
しかし、警察に被害届を出す際、客観的な証拠が求められる場合があります。証拠を揃えていない状態で警察に相談しても、捜索が進まない恐れがあるでしょう。そのため、事前の証拠収集が欠かせません。
弁護士
探偵詐欺の被害に遭った場合、弁護士に相談することもひとつの手段です。弁護士は、詐欺行為に対する法的なアドバイスや、被害者が受けた損害を取り戻すための法的手続きを代行してくれます。
例えば、契約書に不備がある場合や、過剰な請求をされた場合など、法的な問題に精通した弁護士に依頼することで、問題解決が進む可能性が高いです。
弁護士に相談する際も警察と同様に、詐欺被害の証拠を求められるのが一般的です。
別の探偵
探偵による詐欺行為に遭ったのであれば、別の信頼できる探偵事務所に相談してみましょう。信頼性の高い探偵事務所に依頼することで、契約内容や調査結果について確認を行い、不正行為があった場合の証拠を集めることができます。
別の探偵による調査で詐欺の証拠が集まれば、警察や弁護士への相談に進みやすいでしょう。
探偵による詐欺被害に遭った場合の対応
探偵による詐欺被害に遭った場合、次のような対応を取りましょう。
- 契約書や請求書などの証拠を集めておく
- 探偵とのやり取りを証拠として取っておく
証拠を取っておくことで警察や弁護士に被害相談をしやすくなります。
契約書や請求書などの証拠を集めておく

探偵に詐欺被害に遭った場合、まず重要なのは契約書や請求書など、関連する証拠をすべて保管しておくことです。契約書には、サービス内容や料金、納期などが明記されており、詐欺の証拠として有力なものとなります。もし業者が契約内容に従っていない場合、契約書を確認することでその不履行を証明できます。
また、請求書にも注意を払いましょう。過剰な請求や不正な料金が記載されていれば、その内容が詐欺行為を裏付ける証拠となります。
特に、事前に説明されていなかった追加料金や不明瞭な料金項目が含まれている場合は、それを証拠として保管することが重要です。
請求書や契約書は、どちらも詐欺被害の対処を行ううえで重要な証拠となるため、必ずコピーを取っておきましょう。
探偵とのやり取りを証拠として取っておく
契約書や請求書だけではなく、探偵とのやり取りも証拠として保管することが重要です。電話やメール、メッセージなどのやり取りは、後々のトラブル解決に役立つ可能性があります。特に、業者が約束したことを守らなかったり、不正な方法で調査を行っていた場合、その証拠が重要な役割を果たします。
メールやメッセージは、やり取りの内容を記録するための便利な手段です。探偵から受け取ったメッセージや自分が送信した内容についても、すべて保存しておきましょう。
悪質な探偵に依頼しない場合のチェックポイント
詐欺を働く悪質な探偵に依頼しないためには、次のようなチェックポイントを押さえておきましょう。
- 契約書の内容を確認する
- 調査結果の報告方法を決めておく
- 相見積もりを取る
- 探偵業の届出を確認する
契約書の内容を確認する
契約書は探偵と交わす重要な書類であり、調査内容や料金、納期などが明確に記載されています。悪質な探偵は、契約書に不明確な点が多く、後から料金を追加することがあります。契約書を交わす前に、必ずその内容を確認し、疑問点があれば業者に説明を求めましょう。
契約書には、調査の具体的な範囲、料金体系、支払い方法などが記載されているはずです。また、万が一の追加料金が発生した場合の取り決めや、キャンセル規定も確認しておくべきです。不明瞭な条項や過剰な料金請求の項目が含まれていれば、その業者は避けたほうが良いでしょう。
調査結果の報告方法を決めておく

信頼できる探偵では、調査が終了した後に必ず報告書を提出することが一般的です。しかし、悪質な業者は調査結果を提供しなかったり、不十分な内容で報告を済ませることがあります。依頼する前に、調査結果の報告方法を事前に決めておくことが重要です。
例えば、調査の進捗を定期的に報告することや、紙面・デジタルなど最終的な報告書の提出方法を確認しましょう。また、報告書の内容が具体的で詳細であることが大切です。報告書があいまいな場合、調査が実施されたかどうかすら確認できない可能性があるため、注意が必要です。
相見積もりを取る
探偵の料金体系はさまざまですが、悪質な業者は高額な料金を請求することがあります。依頼する前に複数の探偵事務所から相見積もりを取ることで、相場を把握し、適正な料金を確認することができます。
相見積もりを取る際には、料金だけでなく、調査内容や報告方法、サポート体制なども確認することが重要です。安すぎる料金を提示する業者も注意が必要ですが、逆に異常に高額な料金を請求する業者もあります。料金が過剰でないか、どの部分に料金がかかっているのかを理解することが必要です。
見積もりと合わせて口コミと実績も確認する
相見積もりと合わせて、依頼を検討している探偵の口コミと実績を確認しましょう。見積もりが適性であっても、適切に調査を実施しない悪質な探偵もいる可能性があります。
そのため、探偵の口コミや過去の実績を確認して、適切な調査を実施してくれるかを事前に把握しておきましょう。
探偵業の届出を確認する
日本の探偵は、法律に基づいて運営されており、業者は所轄の警察に探偵業の届出を行わなければなりません。探偵業法に従って営業していない業者は、違法な業者である可能性が高く、そのような業者に依頼することは非常に危険です。
探偵業者が合法的に営業を行っているかを確認するためには、業者が探偵業の届出を済ませているかを確認しましょう。
探偵業の届出が完了している探偵は、ホームページやオフィスに標識を掲示しています。契約をする前に、下のような内容の標識が掲示されているかどうかを必ず確認しましょう。(※2)
- 届出書を提出した公安委員会
- 届出書の受理番号
- 届出書を提出した年月日
- 商号、名称又は氏名
- 営業所の名称
- 営業所の所在地
- 営業所の種別
- 広告又は宣伝をする場合に使用する名称
探偵詐欺に遭わないように入念に依頼先を選ぼう
探偵を選ぶ際には、詐欺被害を避けるために十分な注意が必要です。契約書の内容をよく確認し、調査結果の報告方法や相見積もりの取得も重要なチェックポイントです。また、探偵業の届出を確認し、合法的に営業している業者を選ぶことが欠かせません。
基本的な確認を行うことで、悪質な業者に依頼するリスクを減らし、安心して調査を依頼することができます。信頼できる業者を選ぶために、しっかりとした依頼先の状況を確認しておきましょう。