探偵と弁護士の仕事内容とは?依頼できる調査の違いを解説

探偵と弁護士の仕事内容とは?依頼できる調査の違いを解説

パートナーの浮気調査や慰謝料請求などを検討している場合、探偵と弁護士どちらに依頼すればよいのか迷ってしまう人もいるでしょう。探偵と弁護士では対応している仕事内容が異なるため、自分のニーズに応じて選ぶのがポイントです。

この記事では探偵と弁護士の違いや両者の連携時の注意点について解説します。

この記事を読んでわかること
  • 探偵と弁護士の役割や仕事内容の違い
  • 探偵と弁護士それぞれに必要な資格
  • 探偵と弁護士が対応できる依頼内容の違い

探偵の仕事内容

一般的に探偵の仕事内容は次のとおりです。

  • 浮気・不倫調査
  • 人探し
  • 素行調査
  • ストーカー対策
  • 企業調査

しかし、すべての探偵が上記のような調査に対応しているわけではありません。探偵に依頼する場合、希望の調査に対応しているかを確認しておきましょう。

浮気・不倫調査

浮気・不倫調査

探偵の仕事内容の代表が浮気や不倫調査です。パートナーの浮気や不倫の問題で悩んでいる依頼者に対して、探偵はパートナーの行動を調査し、証拠を収集する役割を担っています。

浮気や不倫の調査では、依頼者から提供された情報をもとに調査を開始し、証拠として写真録音ビデオなどを提供することが一般的です。探偵は、行動パターンを追跡し、疑わしい行動を記録します。

また、浮気や不倫の証拠は、離婚調停裁判で重要な役割を果たすことが多く、探偵の調査結果は、依頼者にとって強力な証拠となる場合があります。このような調査は、法律的な問題に発展することもあるため、探偵の専門的な知識が欠かせません。

人探し

探偵は、人探しの調査を行うこともあります。具体的には失踪した家族や友人を探すための調査や、借金の支払いを逃れている人を追跡するための調査が該当します。人探しでは、情報収集を行い、追跡調査をすることが多く、探偵はその人の行動を確認し、足取りを追って行きます。

探偵は、SNSやインターネットを駆使して、情報を集めたり、目撃者に聞き取りを行ったりすることで、失踪者を発見する手助けをします。

素行調査

素行調査は、個人や企業が、誰かの行動や行動パターンを調べるために依頼する調査です。個人の素行調査では、パートナーの信用性や職場での行動を調査する場合があり、企業の場合では従業員の行動や業務の不正行為を調べることがあります。素行調査を通じて、疑わしい行動や証拠を収集し、依頼者に報告することが探偵の役割です。

企業においては、従業員の不正行為や情報漏洩、会社の規則違反を監視するために素行調査が依頼されることが一般的です。

ストーカー対策

ストーカー問題に直面している場合、探偵はその調査を行い、ストーカーの行動を追跡して証拠を収集する役割を果たします。ストーカー行為が続いている場合、警察に届け出る前に探偵に調査を依頼することで、証拠を押さえたうえで法的措置を取ることができます。ストーカー対策の調査では、ストーカーの行動範囲を特定し、監視カメラや録音機器を使用して証拠を収集することが一般的です。

企業調査

企業調査は、競合他社の動向や、従業員の不正行為、取引先の信用度を調べるために行われます。企業が抱える問題を解決するために、探偵は調査を行い、必要な情報を集めて報告します。具体的な企業調査の例は、競合他社の経営戦略や取引先の過去の取引履歴、社内での不正行為の調査などです。

弁護士の仕事内容

探偵に対して、弁護士の仕事内容は次のとおりです。

  • 法律相談、法的アドバイスの提供
  • 契約書の作成、内容のチェック
  • 訴訟の代行
  • 離婚問題、相続問題などへの対応

法律相談、法的アドバイスの提供

法律相談、法的アドバイスの提供

弁護士の主な業務のひとつは、依頼者に対する法律相談と法的アドバイスの提供です。日常的に発生する法的な問題に関して、依頼者がどのように対応すべきかをアドバイスします。例えば、契約に関する問題労働問題家族間のトラブルなど、さまざまな状況において、適切な法的判断を提供します。

法律相談では、依頼者の立場に立ち、最適な解決策を導き出すことが求められます。弁護士は、依頼者が抱える問題が法的にどう扱われるかを説明し、実際の行動に移す際の指針を示す存在です。

契約書の作成、内容のチェック

弁護士は、契約書の作成やその内容のチェックを行うことも重要な仕事です。契約書は、当事者間の権利義務を明確にし、将来のトラブルを未然に防ぐために不可欠なものです。弁護士は、契約内容に不明瞭な点がないか、適切な法的規定が盛り込まれているかをチェックし、必要に応じて修正案を提案します。

また、契約書の作成に際しては、依頼者の利益を守るため、法律に基づいて適切な条項を設け、契約の履行に関しても問題が生じないようにします。特に商取引賃貸契約労働契約など、重要な契約においては弁護士のサポートが必要です。

訴訟の代行

訴訟の代行も弁護士の業務です。もし、依頼者が法的な紛争を抱えている場合、弁護士はその代理人として法廷に立ち、依頼者の権利を守るために裁判を進めてくれます。訴訟においては、証拠を集め、法律に基づいて正当な主張を行い、依頼者に有利な判決を得ることが求められます。

訴訟には民事訴訟刑事訴訟行政訴訟などさまざまな種類がありますが、弁護士はそれぞれの分野に特化した知識を持ち、適切な法的手続きと戦略を立てて対応します。

離婚問題、相続問題などへの対応

弁護士は、個人に関する問題にも対応しています。離婚や相続に関する法律問題は非常にデリケートで、感情的な対立が生じやすいため、弁護士による中立的な立場からの助言が欠かせません。

離婚問題では、慰謝料財産分与親権問題など、さまざまな法律的な側面があります。弁護士は、依頼者の利益を最大限に守るため、交渉や調停、訴訟などの方法を駆使して解決を図ります。

また、相続問題では、遺言書の作成遺産分割協議遺産の適切な管理について法的にサポートします。相続人間で争いが生じた場合、弁護士が調整役として、円満な解決を目指してくれるでしょう。

探偵・弁護士に必要な資格

探偵、弁護士としての仕事を進めるためには必要な資格も存在します。特に探偵に依頼する場合、適切な手続きを踏んでいる業者に依頼しましょう。

探偵に必要な資格

日本で探偵を行うためには、特別な資格は必要ありません。しかし、探偵業法に基づく届出が求められます。探偵業法では、探偵業を営む際に、所轄警察署に届け出を行い、公安委員会からの受理を得る必要があります。これにより、探偵業を法的に合法とすることができます。

探偵業の届出を終えているかどうかは、ホームページやオフィスに以下の内容を含んだ標識を掲げているかを確認しましょう。(※1

  • 届出書を提出した公安委員会
  • 届出書の受理番号
  • 届出書を提出した年月日
  • 商号、名称又は氏名
  • 営業所の名称
  • 営業所の所在地
  • 営業所の種別
  • 広告又は宣伝をする場合に使用する名称

探偵に特別な資格は不要なものの、業者によっては積極的に調査員に対して教育を実施しているケースがあります。

弁護士に必要な資格

弁護士に必要な資格

弁護士になるためには、弁護士資格を取得しなければなりません。具体的には司法試験を受験するための資格を得て、試験に合格する必要があります。さらに、司法修習を修了することが条件です。

依頼しようとしている弁護士が資格を有しているかどうかは、日本弁護士連合会 (日弁連) のサイトでの弁護士登録の有無で確認可能です。(※2

探偵に依頼すべきケース

探偵に調査を依頼すべきケースは次のとおりです。

  • 浮気の慰謝料請求のための証拠収集
  • 自分で探し出せない人の捜索
  • 取引先や新入社員の素行調査

浮気の慰謝料請求のための証拠収集

パートナーの浮気や不倫が発覚した場合、証拠の収集は慰謝料請求や離婚を左右する要素です。浮気された側が自分で証拠収集をすると、感情的な面でも難しく、調査結果が不確実になることもあります。

一方、探偵に依頼することで、パートナーが浮気をしている証拠を効率的に収集し、後々の慰謝料請求や離婚において有効な証拠として使用できます。

具体的に探偵は、尾行監視を行い、証拠となる写真を収集してくれるでしょう。調査内容に関してはプライバシーを尊重し、法的にも適正な方法で証拠を集めるため、安心して依頼可能です。

自分で探し出せない人の捜索

自分で探し出せない人の捜索

家族や友人が行方不明になった場合、自力で捜索することは困難です。特に家出など、自らの意思で失踪した人の捜索の場合、自力で居場所を突き止められたとしても、相手に気づかれて逃げられてしまう可能性があります。

探偵は、行方不明者を捜索するための専門知識と技術を持っており、効率的に調査を行うことができます。例えば、失踪した家族や友人、借金を踏み倒すために姿を消した人を探す場合、探偵は情報を集め、相手に気づかれないように足取りを追跡してくれるでしょう。

探偵は、インターネットでの情報収集聞き込み張り込みのほか、独自のデータベースを活用して捜索を行い、失踪した人の行方を追います。また、失踪者がどこで生活しているのか、どのような状況かを確認することも可能です。

取引先や新入社員の素行調査

取引先が信頼できる企業であるかどうかを確認したり、新入社員の前職の履歴や職場での行動を調査することは、企業運営にあたって重要です。探偵は、そのような情報を合法的に収集し、依頼企業に提供することができます。

新入社員の素行調査では、過去の勤務先人間関係業務態度などを調べることで、その社員が企業にとってリスクがあるかどうかを確認できます。また、取引先の素行調査では、取引先企業の経営状況信頼性、過去に起こしたトラブルの有無などを調べ、ビジネス上のリスクを軽減するための材料を提供します。

弁護士に依頼すべきケース

探偵に依頼すべきケースに対して、以下のようなケースでは弁護士への依頼を検討しましょう。

  • 法的なトラブルに発展している場合
  • 慰謝料請求、損害賠償請求などの手続きが必要

法的なトラブルに発展している場合

法的なトラブルに発展している場合

日常生活でのトラブルが法的な問題に発展してしまった場合、弁護士に依頼することが必要です。例えば、契約違反交通事故労働問題借金問題などが挙げられます。これらの問題は、場合によっては裁判に発展することもあり、弁護士の専門的な助言とサポートが不可欠です。

弁護士は、依頼者の権利を守るために、必要な法的手続きを正確に行い、最適な解決策を提供します。例えば、契約書に関する紛争が起こった場合、契約内容を精査し、交渉や訴訟の準備を行います。また、もし相手が支払いを拒否した場合、弁護士は訴訟を通じて賠償金を取り戻す手続きを進められるでしょう。

慰謝料請求、損害賠償請求などの手続きが必要

慰謝料請求や損害賠償請求を行う場合も、弁護士の力が必要です。例えば、浮気や不倫パワハラセクハラなどによる精神的苦痛を受けた場合、慰謝料請求を行うためには法的手続きが必要です。弁護士は、依頼者が受けた損害に対する適切な金額を算出し、請求手続きを行います。

また、物的損害が発生した場合の損害賠償請求も、弁護士に依頼することでスムーズに進められるでしょう。交通事故での車両損害や、契約不履行による損失など、法的な権利を適切に行使するために、弁護士は必要な証拠を収集し、相手と交渉を行います。

探偵と弁護士が連携することもある

探偵と弁護士は仕事内容が異なるものの、連携することもあります。例えば、依頼者が探偵が集めた証拠をもとに慰謝料請求や離婚などの法的アクションを希望している場合、探偵は弁護士と連携する可能性があるでしょう。

一方、弁護士も証拠不十分と判断したら探偵に証拠収集を依頼することも考えられます。

連携方法によっては違法性がある

連携方法によっては違法性がある

探偵と弁護士は連携することがあるものの、連携方法によっては違法性が問われかねません。特に、弁護士を紹介する際の見返りとして手数料等を請求することは、非弁行為として違法とされています。(※3

同様に、弁護士が依頼者に探偵を紹介するケースも見返りとして手数料を請求することは認められません。

探偵と弁護士の違いを把握して適切に依頼しよう

探偵と弁護士は、それぞれ異なる専門知識と役割を持っています。探偵は浮気調査や人探し、企業調査など、証拠を収集し、依頼者に有益な情報を提供します。一方、弁護士は法的なアドバイスや訴訟の代行、契約書作成などを行い、依頼者の権利を守ります。

問題が法的なトラブルに発展した場合や慰謝料請求が必要な際は、弁護士に依頼すべきです。逆に、証拠収集が必要な場合は探偵に依頼するのが適切です。両者の特徴を理解し、依頼内容に応じた専門家に相談しましょう。