旦那の借金が発覚した時、その事実を冷静に受け止め、適切な対処をすることが大切です。しかし、隠れた借金の全貌を自力で調べるのは非常に困難で、旦那に気づかれるリスクも伴います。
この記事では、旦那の借金を自力で調査する方法から、より確実な探偵への依頼のメリット、さらに妻の返済義務や債務整理など、旦那の借金問題解決のために知っておくべき情報を網羅的に解説します。
- 旦那の借金の調べ方
- 旦那の借金を自分で調べるリスク
- 旦那に借金があった場合の対処法
旦那の借金を自力で調べる方法
旦那の借金を自力で調べる主な方法は次のとおりです。
- 借用書やATMの利用明細など物理的な証拠を集める
- 不動産登記簿謄本から担保の有無を調べる
- 信用情報機関に問い合わせをする
いずれの方法で調べる場合であっても、旦那に調査の事実を悟られないことが大切です。
借用書やATMの利用明細など物理的な証拠を集める

旦那の借金を自力で調べるのであれば、借用書やATMの利用明細など、物理的な証拠を収集してみましょう。物理的な証拠は借用書、ATM利用明細以外にも以下が挙げられます。
- 督促状
- 催告書
- 銀行口座の通帳
- インターネットバンキングの取引履歴
- ローンカード
- クレジットカードの利用明細
また、旦那の勤務先によっては社内融資を導入しているケースがあります。社内融資とは企業が従業員に対して行う融資制度です。旦那が社内融資を利用しているのであれば、給与から返済額が天引きされている可能性があるため、給与明細も確認してみましょう。
なお、人によっては金融機関からの借金だけでなく、個人から借金しているケースもあります。もし旦那の口座に見慣れない個人名の入金履歴がある場合は、旦那がその個人に借金をしている可能性があるでしょう。
不動産登記簿謄本から担保の有無を調べる
旦那が不動産を所有している場合、不動産が借金の担保になっているかどうかを調べることで、金融機関からの借入の有無を確認できます。不動産が借金の担保になっている場合、その情報は法務局で取得できる「不動産登記簿謄本(全部事項証明書)」に記載されています。特に、登記簿謄本の「乙区」の欄には、抵当権や根抵当権といった担保権が設定されているかどうかが明記されています。
抵当権や根抵当権とは、住宅ローンなどを組む際に、金融機関が不動産を担保にとるために設定する権利です。
所有している不動産が抵当に入っているかどうか調べるには、不動産の正確な所在地(地番)を確認したうえで、固定資産税の納税通知書や売買契約書などを確認しましょう。
次に、不動産の所在地を管轄する法務局の窓口で、不動産登記簿謄本(全部事項証明書)の交付を申請します。インターネットを利用して、法務局のオンライン申請システムから取得することも可能です。不動産登記簿謄本を確認することで、隠していた借金の存在が明らかになることがあります。
信用情報機関に問い合わせをする
旦那が金融機関や貸金業者から借金をしている場合、その情報は信用情報機関に登録されています。信用情報機関とは、個人の信用情報、具体的にはクレジットカードやローンの契約内容、返済履歴などを管理している機関です。日本には主に株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC*の3つの信用情報機関があります。
CICは主にクレジットカード会社や信販会社が加盟し、JICCは主に消費者金融やクレジットカード会社が加盟しています。KSCは主に銀行や信用金庫が加盟しています。これらの信用情報機関に問い合わせをすることで、旦那の借入履歴、現在の借入残高、返済状況などを確認できる可能性があります。ただし、配偶者であっても、本人の同意なしに信用情報を開示請求することはできません。旦那の同意がある場合にのみ、開示請求が可能です。
開示請求の方法は、各信用情報機関のウェブサイトから開示請求書をダウンロードし、必要事項を記入して、本人確認書類と手数料を同封して郵送する方法や、一部の信用情報機関ではインターネット上から開示請求も可能です。
自力よりも探偵に調査を依頼するのがおすすめ

配偶者の借金調査では、感情的に追及するよりも専門家による冷静な調査が求められます。探偵は金融機関の動きを合法的に追跡し、証拠を裏付ける資料を集められるため、自力調査より信憑性が高まるでしょう。
探偵に調査を依頼するメリットは次のとおりです。
- 相手に気づかれずに詳細な情報を得られる
- 個人情報保護法に配慮して調査を進められる
メリット1. 相手に気づかれずに詳細な情報を得られる
探偵へ依頼するメリットのひとつは、旦那に気づかれずに客観的な借金データを収集できる点です。張り込みや聞き込みなどの身辺調査のほか、独自のネットワークを使って借金の有無を調べ上げます。
探偵に依頼すれば、借金しているかどうかだけでなく、「どこでお金を使っているのか」「なぜ借金しているのか」なども把握できるでしょう。
メリット2. 個人情報保護法に配慮して調査を進められる
借金調査では、個人情報保護法を含むプライバシー規制を理解したうえで手続きを進める姿勢が欠かせません。探偵業法の届出を済ませた事務所は、調査目的を正当化し、必要最小限の個人データのみ照合する原則を守ります。
また、調査員もプライバシーを遵守するのが一般的なため、調査や借金の事実を漏えいすることはありません。
旦那の借金は妻も負債する?

旦那が背負う借金は、原則として妻が返済義務を負うものではありません。ただし婚姻期間中に生活費として借入が行われ、利益を受けた場合は例外が生じるため、負債の性質を整理し専門家へ相談して十分確認が必要です。
原則は支払い義務はない
民法761条の夫婦別産制により、配偶者の個別借入は本人が単独で責任を負う扱いです。(※1)家計を支える生活費用でなければ、妻が連帯保証人になっていない限り返済請求は届きません。銀行や消費者金融は契約書面と本人確認資料を基に債務者を特定しているため、戸籍上の配偶者という理由だけで請求書が届く可能性は少ないでしょう。
また、夫婦は互いに資産情報の共有義務を負わないため、債権者が妻名義の預貯金や給与を差押えるには判決や強制執行申立てが必要ですが、債務者以外への差押えは裁判所が認めません。さらに、銀行口座の名義やクレジットカード利用履歴が個人単位で管理されている現状では、共同名義口座を除き妻の資金が借金返済に充てられる可能性は低いでしょう。
そのため、原則として妻が負債を負うリスクは限定的といえます。ただし、夫婦の財産分与をめぐる協議や相続発生時に債務が表面化すると、分与額や遺産分割の計算へ影響を及ぼす点に注意が必要です。
支払い義務が発生するケースもあるので注意
例外として旦那の借金返済の負担が妻に及ぶ場面として、以下が挙げられます。
- 生活費補填名目で旦那が借入していた
- 妻が連帯保証契約や根保証契約へ署名していた
- 夫婦連名の住宅ローンやカードローンを組んでいた
生活費補填名目で旦那が借入していた
民法761条には、夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をした場合、他の者もこれによって生じた債務について連帯する旨が規定されています。(※1)
日常の家事とは、夫婦が共同生活を営むうえで、その資産、収入、社会的地位などに応じて通常必要とされる行為全般を指します。具体的には、食料品や日用品の購入、家賃や光熱費の支払い、子どもの教育費、医療費などが含まれます。
そのため、旦那が生活費補填名目で借金している場合、妻にも支払い義務が発生する可能性があります。
妻が連帯保証契約や根保証契約へ署名していた
妻が旦那の借入に対して連帯保証契約や根保証契約に署名していた場合、その契約内容に応じて妻は法的に重い返済義務を負います。
妻が連帯保証契約や根保証契約に署名していた場合、たとえ借金の目的が生活費と無関係であったとしても、契約に基づき返済義務を負わなければならないので注意が必要です。
夫婦連名の住宅ローンやカードローンを組んでいた
夫婦連名で住宅ローンやカードローンを組んでいた場合、その借金は夫婦の共同債務となり、契約内容に応じて夫婦それぞれが返済義務を負います。
夫婦連名のローンは、多くの場合、住宅購入など夫婦の共有財産を形成する目的で組まれることが一般的です。そのため、夫婦が離婚する際には、住宅などの財産分与と合わせて、これらの共同債務をどのように分担・清算するかを明確に協議し、合意する必要があります。
旦那が返済できなくなった場合でも、契約上の責任として妻が返済を継続する義務が生じます。
借金をした旦那に対してやるべきこと
夫が借金を抱えたと知った瞬間は大きな衝撃ですが、冷静さを保って対応方針を整理すれば家計と夫婦関係の再建は可能です。まず現状把握、本人への聞き取り、専門家への連携を順序立てて実施しましょう。
借金をした旦那に対しては以下のような行動を取りましょう。
- まずは正直に話してもらう
- 貸付自粛制度を提案する
- 返済計画を立案する
- 債務整理を検討する
まずは正直に話してもらう

借金問題の出発点は、本人から正確な金額と借入先を聞き出す場を整えることです。相手を責め立てず、事実確認を目的と伝え、静かな時間帯に二人だけで向き合えば、防衛的な嘘を減らせます。
家計簿や通帳、明細をテーブルに並べ、見える化しながら尋ねると、自分でも把握していなかった少額ローンまで思い出しやすくなるでしょう。
聞き取りに成功したら、メモを取り、日付と数字を記録し、後の専門家相談で資料として活用できます。また、話しながら感情が高ぶった場合は一度休憩を挟み、水やお茶を飲み、落ち着きを取り戻す配慮が重要です。
家族の将来を一緒に守りたい意図を言葉にすれば、秘密を抱えた罪悪感が軽減され、協力的な態度を引き出せる可能性が高まります。聞き取り後は取得済みの情報を表計算に入力し、借入額をカテゴリ別に区分して一覧化しましょう。視覚的に整理することで、次のステップにうつりやすくなります。
貸付自粛制度を提案する
繰り返し借金を重ねる傾向が見られる場合は、貸付自粛制度の活用を夫へ提案すると再拡大を防ぎやすくなります。この制度は全国銀行協会やクレジット協会へ自ら申請し、一定期間新規借入やカード発行を停止できる仕組みです。申込書と本人確認書類を郵送または窓口提出すれば、信用情報に自粛フラグが付くため、金融機関は審査時に自動で断る運用となります。
依存を断つ心理的抑止力にもなるほか、闇金の甘い勧誘を断る理由として提示しやすい利点があります。手続きは無料で、解除も自己申請制なので、返済が軌道に乗った段階で柔軟に見直せます。しかし、生活費の一時的不足に備え、妻名義の緊急用口座や公的貸付を検討し、家計が止まらないよう準備しておきましょう。
返済計画を立案する
借金の全容が判明し新規借入を止めたら、現実的な返済計画を夫婦で設計する段階へ移ります。まず毎月の可処分所得から生活必需費を差し引き、残額を元本充当に回す方針を定めます。高金利ローンを先に完済させるか、残額の少ない借入を早期に片付けて成功体験を積むか、優先順位を表にまとめ比較すると双方が納得しやすいです。
次に、返済シミュレーションを金融機関のオンライン計算機で確認し、利息総額と完済予定月を可視化すれば目標意識が芽生えます。
債務整理を検討する

借金問題に直面した際、解決策として債務整理が挙げられます。債務整理とは、借金の減額や免除、または返済期間の延長などによって、借金問題を解決するための法的な手続きの総称です。主に任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、自身の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
任意整理
任意整理は、裁判所を介さずに、債権者(貸金業者など)と直接交渉して、将来利息のカットや返済期間の見直しを行う手続きです。
任意整理は交渉により、今後発生する利息をカットしてもらうことが主な目的です。これにより、元金のみを返済していくことになり、返済総額を減らせます。
以下のようなケースでは任意整理が有効です。
- 借金の元金は返済可能だが、利息の支払いが苦しい
- 周囲に知られずに借金問題を解決したい
個人再生
個人再生は、裁判所を介して借金を大幅に減額してもらう手続きです。住宅ローンがある場合でも、自宅を残せる可能性がある点が大きな特徴です。
以下のようなケースは個人再生を検討してみましょう。
- 住宅ローンは返済できるが、それ以外の借金が膨らんで返済が困難になっている
- 自己破産は避けたいが、任意整理では解決が難しいほど借金が多い
- 安定した収入がある
自己破産
自己破産は、裁判所から免責の決定を受けることで、原則として全ての借金の返済義務が免除される手続きです。自己破産が適しているケースとして以下が挙げられます。
- 借金が多すぎて、収入や財産では返済の見込みが全く立たない
- 任意整理や個人再生では解決が難しいほど、借金が膨らんでしまった
- 財産がほとんどなく、処分されるものが少ない
なお、ギャンブルや浪費が主な原因の借金などは、免責が認められない「免責不許可事由」に該当する場合があります。
借金を理由に離婚できる?

民法において、借金だけを理由とした離婚は認められていません。ただし浪費や隠匿が続き婚姻生活維持が難しくなる場合、裁判所が離婚を容認する可能性があります。専門家と早めに相談し証拠を整理しましょう。
借金の額や利用によっては離婚の事由として認められる
民法が定める離婚原因(法定離婚事由)は以下の通りです。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
借金問題は、上記の5番目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが争点となります。単に借金があるという事実だけでは足りず、その借金が夫婦関係にどのような影響を与えているかが重要視されます。
具体的には、以下のような状況が「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められる可能性が高まります。
- 高額な借金
- ギャンブル、風俗、浪費などが原因の借金
- 借金による生活の破綻
旦那の借金は探偵の力を借りて調査しよう
旦那の隠れた借金は、夫婦関係に深刻な亀裂を生じさせます。自力での調査も可能ですが、借用書や通帳の確認、不動産登記簿謄本や信用情報機関への問い合わせは、夫にバレるリスクや法的な制約が伴います。特に信用情報機関への照会は本人の同意が必要です。
感情的にならず、冷静かつ確実に借金の全貌を把握するためには、探偵への依頼が有効な手段です。探偵は独自の調査手法と専門知識で、旦那に気づかれることなく詳細な借金情報(借入先、金額、使途など)を合法的に収集可能です。個人情報保護法を遵守しつつ、客観的で信頼性の高い証拠を得られるため、その後の返済計画の立案や、万が一離婚を検討する際の有力な材料となるでしょう。