住民票を使った人探し方法とは?閲覧方法と取得条件を解説

音信不通になってしまった息子を探したい…。離婚してからあっていない父の居場所を知りたい…。人探しを行う際、住民票や戸籍の情報を取得できれば、探したい人物の居場所を知ることができるのでしょうか?

そこでこの記事では、役所などに保存されている公的な書類、住民票や戸籍附票を使った人探しの方法を紹介していきます。

この記事を読んでわかること
  • 住民票や戸籍を使った具体的な人探し方法
  • 住民票や戸籍を取得できる人の条件
  • 住民票による人探しが困難な場合とは?

住民票を使って人探しは本当にできるの?

住民票で人探しを行えるか知る前に、まずは住民票についての基本的なことを知っておきましょう。

住民票とは、「住民の居住関係を証明する」ための書類で、簡単に言ってしまえば、そこにその人が住んでいる証明書のようなものです。具体的には以下のようなことが記載されています。

  • 氏名、住所、生年月日、性別
  • 現在の住所に住み始めた日・それを届けた日とその前の住所
  • 世帯主の氏名・世帯主との続柄
  • 本籍地・筆頭者
  • 住民票コード、個人番号(マイナンバー)

基本的に引っ越しをする際には、住民票も移す必要があるため、探したい人物がいる場合は、その人物の住民票を見ることができれば、今どこに住んでいるかを知ることができます。

住民票はどんな人が取得できるの?

それでは例えば、親が音信不通になってしまった子供の居場所を突き止めるために、子供の住民票は取得できるのでしょうか?

実はすでに世帯を分けて暮らしている場合、たとえ両親という血縁であっても、特殊な事情を除いて住民票は取得できません。住民票が取得できるのは以下の人に限られています。

  • 本人
  • 本人と同世帯の人
  • 本人からの委任状を預かっている人

つまり現在の状況が分かっていない人探しにおいて、本人からの委任状をもらうことは不可能のため、住民票を取得することは難しく一般的な状況では住民票を使った人探しは行えないのです。

また住民票を使った人探しには「住民票の除票」を閲覧することで、現在の住所を特定する方法もあります。

住民票の除票とは、死亡や転出を行った際に住民登録が削除された住民票です。こちらは、住民票から除外された個人個人で作成されるため、取得できれば住民票と同様に、探したい人物の現在の住所を特定できる可能性があります。ただし、こちらも住民票と同じように、本人または本人からの委任状を持っている人しか請求できません。

つまり近親者であっても特殊な事情を除いた場合、住民票や住民票の除票で人探しを行うことは難しいのです。

住民票を取得できる特殊な条件とは

それでは先述した、住民票を取得できる特殊な事情とはどういったものがあるのでしょうか?以下に当てはまる場合は、本人や同世帯の委任状がなくても住民票の閲覧が可能です。

  • 債権者や保険会社などの請求のため
  • 遺産相続や訴訟などの連絡のため
  • 弁護士・司法書士・税理士など特定事務受任者など

例えば、お金を貸した友人が突然行方不明になったので住所を探して返済してほしい、離婚した元夫が養育費を払わずに行方が分からなくなったから居場所を突き止めたい、といった場合では、住民票の請求が認められる可能性があります。

そのため、このような事例に該当する場合は、以下のような証拠書類を持ち、市区町村に相談してみましょう。

  • 裁判所の判決文
  • 公正証書
  • 借用書

こうした証拠を元に、役所の人に相談をすれば、第三者でも住民票の取得により探したい人物の現在住所を知ることができる可能性があります。

住民票をなりすましで取得したらどんな罪になるの?

次に本人からの委任状の取得が難しいからといって、委任状を本人に成りすまして記載し、住民票を取得した場合はどうなるのでしょうか?

住民基本台帳法によると、虚偽の申告や不正な手段で住民基本台帳法の写しを取得した場合は、30万円以下の罰金とされています。

第五十条 偽りその他不正の手段により第十一条の二第一項の規定による住民基本台帳の一部の写しの閲覧をし、若しくはさせた者又は同条第七項の規定に違反して、当該閲覧事項を利用目的以外の目的のために利用しー(中略)三十万円以下の過料に処する。(引用:住民基本台帳法 法令検索より

つまり、居場所が知りたいからといって、偽造した書類を提出し住所を割り出してしまうことは違法であり、もしそのことが公になれば法的に罰せられてしまう可能性があるのです。

探偵事務所だったら住民票が取得できるの?

そして最後にもう一つ知っておきたいのが、住民票の取得が自分では難しいことが分かったところで、それではプロに依頼した場合は、住民票の取得をすることは可能なのでしょうか?

これは「探偵業の業務の適正化に関する法律」によると

第6 探偵業務の実施の原則

(2)「他の法令において制限されている行為」には例えば、住民基本台帳法において制限されている行為(例:住民基本台帳を閲覧する行為等)、(中略)ー (引用:探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準より)

となっており、上記の債権回収や、相続問題といった依頼者が特殊な事情を持っている場合を除けば、探偵事務所であっても住民票の取得は許されないといったことが分かります。

こういった事実から探偵事務所のHPなどに、「住民票の取得が可能」などの文言があった場合は、そうしたサービスが行えないはずであるという疑惑の目を持つ必要があるのです。

住民票を以外に役所でできる人探し方法とは?

それでは「住民票を使った人探しは難しい」ということが分かったところで、役所で申請できる公的書類を使った人探しの方法は他にはないのでしょうか?

戸籍の附票を閲覧する

住民票以外に役所で行える人探し方法の一つに「戸籍附票の写しを確認する」といった方法があります。戸籍附票とは、本籍地の市区町村においてその戸籍が作られてから、現在に至るまでの住所が記載されているものです。

戸籍附票では、住民票で住所が移るごとに、新しい記載が載っていくためこちらを取得できる条件を満たしていれば、探したい人物の現在の住所だけでなくそこに至るまでの住所も合わせて知ることができます。

戸籍附票は本籍地が近場になくても、郵送で送ってもらえる市区町村も多いため、取得条件を満たしていれば本籍地が遠方の場合でも簡単に手に入れることができます。

戸籍の附票が閲覧できる人の条件は?

それでは住民票と同様に、戸籍附票はどんな人が取得できるのでしょうか?戸籍附票が閲覧できるのは以下の条件に該当する人です。

  • 本人
  • 本人の配偶者
  • 本人から見て直系親族(父母、祖父母、子、孫など)
  • 本人・配偶者・直系親族からの委任状を持つ人

となっています。つまり、住民票の場合は本人と同世帯の人か本人からの委任状がなければ取得できませんでしたが、戸籍附票の場合は本人と直系親族であれば、合法的に戸籍附票を確認することで現在の住所を知ることができる可能性があるのです。

結婚や転籍で戸籍を出ている場合も探せるの?

直系親族であっても、すでに結婚や独り立ちをしていれば、戸籍が分かれています。ただしこういった場合でも、一つ一つ順を追って戸籍を追っていけば、探したい人物の居場所を特定することが可能です。

例えばもし、結婚後音信不通になってしまった子供の行方を知りたい場合は、まずは探したい人物が載っていた直系親族の戸籍附票をとります。

ここには結婚や転籍などで抜けた親族の戸籍が、どこに本籍地を移したかが記載されているため、この情報をもとに次に移動された本籍地で本人の戸籍附票を請求します。

この時に再度転籍している場合でも、取得した過去の戸籍附票には新しい転籍先の住所が載っているため、何度も転籍を繰り返していたとしても根気よく現在の本籍地までたどっていけば、いずれ本人の居場所にたどりつけます。

戸籍は途切れることなく繋がっていくため、時間がかかっても戸籍附票を取り寄せられる間柄であれば、最後に戸籍があった現在住所を割り出すことが可能なのです。

住民票や戸籍附票での人探しが困難なケースとは?

それでは最後に住民票や戸籍附票を閲覧できる場合でも、それを使った人探しが困難な場合にはどんなものがあるのでしょうか?

本人の意思で行方をくらませている場合

住民票や戸籍附票を使った人探しは、あくまで役所に届けているもので調査を行います。そのためもし本人の意思で行方をくらませている場合は、そもそも記載されている住所にすでにいない場合や、引っ越しなどをしても住民票などをわざと移動しないといったことも考えられます。

こうした場合は住民票や戸籍附票だけでの人探しは困難を極めるため、心配なことがある場合は早めに警察などに相談するか、事件性などがない場合は探偵事務所などに早期に相談し、本人を見つけられるようにしておきましょう。

本人が戸籍や住民票の閲覧を制限している場合

住民票や戸籍附票には、閲覧制限をかけることができます。

これはDV被害者を加害者から守るためであったり、虐待被害者を加害家族から守るために制定された手続きです。

この手続きを行った場合は、加害者が被害者の情報を閲覧させないようにするだけでなく、第三者の請求に関しても厳格な審査を要します。このため探したい人物がこういった制度を利用している場合は、たとえ通常の場合は請求できる間柄であっても、住民票や戸籍附票を閲覧することはできず公的な書類から人探しを行うことはできなくなります。

住民票などを取得できる関係ではない場合

住民票や戸籍附票を使った人探しは、親と子、同居人などのあくまで近親者に限った探し方になります。

現在ではプライバシーの観点から、第三者が住民票や戸籍などを取得するのが難しくなっているため、いなくなった恋人を探したい、恩人に連絡を取りたいといった場合だとこの方法を使うことはできません。

また近親者であっても本人の委任状がない場合は、取得できないケースもあるため、こうした場合は別の方法で居場所を特定する必要があります。

まとめ

住民票や戸籍附票を閲覧することができれば、自分で行方をくらませている場合を除いて、簡単に相手の居場所を知ることができます。

だからこそ、自分から行方をくらませている場合や、長期間音信不通になっている場合は、こうした方法が使えなければ、早めに別の方法で見つけられないかを考えましょう。

人探しは時間との勝負です。特に探している人物について心配事がある場合は、警察などへの相談やプロの探偵事務所に依頼するなど、幅広い視野を持って対処を行ってください。

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