住民票の除票や戸籍附票は人探しに使える?閲覧方法などを解説

住民票の除票や戸籍附票は人探しに使える?閲覧方法などを解説

住民票の除票や戸籍附票は人探しに利用できます。しかし、閲覧するには条件があるだけでなく、得られる情報も限定的です。

この記事では、住民票の除票や戸籍附票を用いた人探しの方法について分かりやすく解説いたします。音信不通になってしまった親族や、行方知れずの友人・知人を探す参考にしてみてください。

この記事を読んでわかること
  • 住民票や戸籍を使った具体的な人探し方法
  • 住民票や戸籍を取得できる人の条件
  • 住民票による人探しが困難な場合とは?

住民票の除票と戸籍附票で分かること

住民票の除票や戸籍附票からは、住所・氏名・生年月日などが分かります。そのため、行方がわからなくなった家族や親せきを探す際に活用できます。

住民票の除票では前住所・住民登録地・転出先住所がわかる

住民票の除票とは、市外に転出した、または亡くなったことにより消除された住民票のことです。住民票の除票には、住民登録している住所(住民登録地)のほか、前住所や転出先の住所も記載されています。

住民票の除票は2019年の制定により、それまで5年だった保管期間が150年に延長されました。2013年3月以前の住民票の除票については消除されているため、交付できません。

戸籍附票でこれまでの住所の変換が全てわかる

戸籍の附票は、本籍地で管理されている文書です。戸籍の附票には、住所の変遷が全て記録されています。そのため、何度も移転している人を追跡するのであれば、住民票の除票よりも戸籍附票の方が適しているでしょう。移転している人が、きちんと住民票を移動させていれば、本籍地で戸籍の附票を確認することによって移転履歴を追うことができます。

住民票の除票・戸籍附票の交付条件と請求方法

住民票の除票・戸籍附票の交付条件と請求方法

住民票の除票や戸籍附票の交付については、請求できる人が限られています。第三者が取得するには、委任状や正当な理由などが必要です。

行方を探している人との関係性から、自分が閲覧できるかどうかを確認しておきましょう。

住民票(除票)を閲覧できる人

住民票の除票を取得・閲覧できるのは、次の条件を満たす人です。

  • 本人
  • 本人と同一世帯の人
  • 任意代理人(本人または同一世帯の人からの委任状を持っている人)
  • 法定代理人(親権者や後見人など)
  • 正当な理由がある第三者

第三者請求ができるのは、次のような場合です。

債権者(金融機関・特殊法人)債権の回収のために必要な場合
債務者(生命保険会社など)債務の履行のために必要な場合
相続手続をする人訴訟手続をする人法令上必要とされる場合
弁護士法令上必要とされる場合
特殊法人公共用地取得のために法令上必要とされる場合
学術研究機関公衆衛生の向上のために特に必要な場合

住民票(除票)を閲覧する方法

住民票の除票を取得・閲覧するためには、必要書類を準備しましょう。

次のような書類が必要です。

本人と同一世帯の人・住民票の写し等請求書
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
任意代理人・住民票の写し等請求書
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
・委任状
法定代理人・住民票の写し等請求書
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
・戸籍証明書、成年後見登記事項証明書など
第三者(正当な理由がある)・住民票の写し等請求書
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
・請求が正当であることを証明する書類

書類を準備できたら、追跡対象者の住所地の自治体の窓口で取得申請をしましょう。取得のためには1通300円が必要です。

戸籍附表を閲覧できる人

戸籍附表を取得・閲覧できるのは、次の条件を満たす人です。

  • 本人
  • 同じ戸籍の名欄に記載がある人
  • 同じ戸籍の名欄に記載がある人の配偶者・直系尊属(父母等)・直系卑属(子等)
  • 本人などから依頼を受けた代理人
  • 正当な理由がある第三者

第三者請求ができるのは、正当な理由がある場合だけであることに注意が必要です。戸籍附票の第三者請求ができるのは、次のような人です。

  • 自己の権利を行使するために必要な人
  • 自己の義務を履行するために必要な人
  • 国または地方公共団体の機関に提出する必要がある人
  • 戸籍附票の記載事項を利用する正当な理由がある人
  • 上記から依頼を受けた特定事務受任者(弁護士等)

戸籍附票を閲覧する方法

戸籍附票を取得・閲覧するためには、必要書類を準備しましょう。

次のような書類が必要です。

本人(同じ戸籍に記載がある人)
本人と同じ戸籍に記載がある人
・戸籍証明等請求書
・写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、写真付き住民基本台帳カードなど)
代理人・戸籍証明等請求書
・写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、写真付き住民基本台帳カードなど)
・委任状
第三者・戸籍証明等請求書
・写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、写真付き住民基本台帳カードなど)
・請求の権限が確認できる資料

追跡対象者の本籍地の自治体の窓口で申請します。1通300円が必要です。

条件を満たしていも閲覧できないケースもある

住民票の写しや除票、戸籍の附票といった書類は、配偶者からのDVやストーカー行為、児童虐待などを受けた被害者であれば、加害者である元配偶者の追跡を逃れるために交付を制限できます。(※1

交付制限がかけられている場合、交付条件を満たしている関係者であっても取得・閲覧することはできません。

弁護士に住民票・戸籍附票の取得を依頼できる

弁護士に住民票・戸籍附票の取得を依頼できる

人探しの目的で住民票の除票や戸籍附票を取得・閲覧したい場合、弁護士に依頼することもできます。弁護士は依頼者の権利を行使するためであれば、調査をする権限があります。例えば「訴訟を起こしたいけれど相手の住所が分からない」という場合、住民票の除票や戸籍附票の取得を弁護士に依頼できます。

弁護士に調査を依頼するメリット

弁護士は複雑な手続きに関しての知識と経験を備えています。第三者による住民票の除票や戸籍附票の取得・閲覧についても例外ではありません。

弁護士に依頼すれば、請求が正当であることを証明する書類の準備や取得した写しの提出先の記載など、第三者請求のために必要な事柄も適切に行ってくれるでしょう。

弁護士に調査を依頼するデメリット

弁護士に住民票の除票や戸籍附票の取得を依頼するデメリットは、弁護士報酬が発生することです。自力で行うのであれば実費だけですみますが、弁護士に依頼する場合は着手金や報酬金を支払う必要があります

また、たとえ弁護士であっても、正当な理由がない場合はこれらの書類を取得することはできません。

住民票の除票・戸籍附票でできる人探しの方法

住民票の除票・戸籍附票でできる人探しの方法

住民表の除票や戸籍附票は、対象者の住所を特定できる可能性があるため、人探しに利用できます。それぞれ、どのような人探しができるのか確認してみましょう。

住民票の除票に関連する人探し

住民票の除票を取得して住所を追跡する場合、次のように行うことになるでしょう。

【A市→B市→C市と住所を変遷した場合】

  1. A市で住民票の除票を取得→B市へ転出したことを確認
  2. B市で住民票の除票を取得→C市へ転出したことを確認

住所の変遷を一気に調査することはできないため、そのぶん手間がかかってしまいます。

戸籍附票に関連する人探し

戸籍の附票を取得して住所を追跡する場合、次のように行うことになるでしょう。

【A市→B市→C市と住所を変遷した場合】

  1. 本籍地で住所移転履歴を把握する

追跡対象者の移転する先々を訪ねなくても本籍地で移転履歴を把握できるため、住民票の除票に比べて効率的です。

住民票の除票・戸籍附票で必ず本人の居場所が分かるわけではない

住民票の除票や戸籍附票を閲覧したからといって、必ず本人の居場所が分かるわけではありません。その理由としては、次の2つが挙げられます。

住民票の除票・戸籍附票の情報には限りがある

住民票の除票や戸籍附票を閲覧しても、次のようなケースでは相手までたどり着けないこともあります。

  • 相手が住民票を移す手続きをしないまま引っ越している
  • 住民票の除票や戸籍附票からは電話番号までは分からない

人によっては追跡を免れるため、引っ越す際に住民票をそのままの状態にしていることがあります。その場合は住民票の除票や戸籍附票を取得しても、相手の現住所を知ることはできません。

また、住民票の除票や戸籍附票からは電話番号を確認できません。そのため、相手に直接連絡して接触を図りたい場合は、さらに調査が必要でしょう。

市役所職員に人探しは依頼できない

住民票の除票や戸籍附票を取得できないからといって、市役所職員に聞いて情報を得ようと考える人もいますが、市役所職員に人探しをお願いすることはできません。

市役所職員には、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという義務があります。(※2)そのため、個人情報を教えてくれることはないでしょう。

住民票の除票・戸籍附票のほかに人探しをする方法

住民票の除票や戸籍附票を使った人探しが頓挫してしまった場合には、ほかの方法も検討してみましょう。

インターネットで探す

インターネットで探す

インターネットを活用して人探しをする場合は、主に次の2つの方法があります。

  • SNSで相手のアカウントを探す
  • 人探し用の掲示板で情報収集をする

SNSのアカウントを探す場合は、相手の本名のほかにニックネームやよく使っているハンドルネームなどで検索してみましょう。このほか、相手がフォローしていそうなアカウントのフォロワーから探すという方法もあります。

関連記事:人探しに役立つサイト4選!インターネットでの調査方法も解説 https://www.sakurasachiko.jp/column/hito/looking-for-someone-internet/

警察に届け出を提出する

事件・事故に巻き込まれている可能性が高い、緊急性が高い場合は、警察に行方不明者届を提出しましょう。基本的には、行方不明者の住所地または直前まで居住していた住所を管轄する警察署に届け出ます。

行方不明者届を提出できるのは、次の人です。

  1. 親権者、後見人
  2. 配偶者(事実婚を含む)
  3. 監護する人
  4. 福祉事務所の職員
  5. 同居人、雇主など密接な関係を有する者

届け出るときは、行方不明者の写真や行方不明時の状況が分かる資料を準備しましょう。事件性や事故による行方不明(特異行方不明者)と判断されれば、捜査を開始してくれるでしょう。

しかし、一般行方不明者(自分の意思で家出・失踪した人)と見なされた場合、警察は積極的に捜査してくれないことをあらかじめ理解しておきましょう。

探偵に調査を依頼する

自力での人探しに限界を感じた、自分で人探しをする時間や労力がない、という場合は、探偵に依頼することも視野に入れてみましょう。

自力で人探しを行っていると、さまざまな壁にぶつかり、捜査が進展しないこともあるでしょう。例えば、相手が住民票を移さずに引っ越しを繰り返している場合、住民票の除票や戸籍附票を取得・閲覧できたとしても、現住所を特定できません。

また、SNSで相手のアカウントを突き止められたとしても、実際に住んでいる場所までは特定が難しいでしょう。

探偵であれば、人探しに関する独自のノウハウとスキルがあるため、スムーズな人探しを期待できるでしょう。

探偵に住所調査を依頼するメリット

探偵に住所調査を依頼するメリット

探偵に人探しを依頼するメリットは次の3つです。

どのような理由でも調査してくれる

第三者が住民票の除票や戸籍附票を取得するためには、債権の回収などの正当な理由がなければなりません。

一方、探偵事務所であれば、もっと幅広い理由に対して依頼者の相談に乗ってくれるでしょう。小さい頃に離れ離れになった両親や兄弟はもちろん、学生時代お世話になった恩師、忘れられない昔の恋人との再会も可能です。

迅速に調査してくれる

探偵事務所に依頼すれば、契約成立後すぐに捜査を開始してくれます。探偵事務所の調査員は単独でなく複数で動くことが多いため、広範囲での調査を効率的に行えます。

また、探偵であれば、聞き込みや張り込み調査、名簿業者のデータベースを利用した情報収集など、個人では難しい方法での調査も可能です。自力での調査よりも、スピーディーな解決を期待できるでしょう。

無料相談やアフターフォローがある

探偵事務所に人探しを依頼すると、無料相談やアフターフォローによってアドバイスをもらえるのもメリットです。例えば、借りたお金を返さずに行方をくらました相手を探す場合、相手に対する法的措置のサポートも受けられるでしょう。

探偵事務所を選ぶのであれば、どのくらい親身になってくれるのかもポイントです。無料相談などで、サポートが手厚い探偵事務所を選ぶとよいでしょう。

困難な人探しは探偵に依頼しよう

住民票の除票や戸籍附票を利用して人探しを行うことは可能です。相手の現住所を見つけることができるかもしれません。ただし、それらを取得・閲覧できる人は限られています。

また、相手が住民票を移す手続きをしないで引っ越している場合や、閲覧に制限をかけている場合もあるでしょう。その場合には、現住所を探し当てることは困難です。

探偵であれば、さまざまな理由の人探しに対して、まず相談に乗ってくれるでしょう。さらに、独自のノウハウで対象者の居場所を調査してくれます。どうしても会いたい人がいるのなら、探偵事務所に依頼してみましょう。