子供の家出には、さまざまな理由や心理が隠されています。単なる親への反発心だけでなく、心からのSOSである場合も少なくありません。家出の背景にある理由を理解し、適切な対応を取ることで、子供との信頼関係を築いていきましょう。
この記事では、子供が家出する理由や適切な対応方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 子供が家出をする動機・原因
- 家出した子供の探し方
- 家出から戻って来た子供への対応方法
子供が家出する理由
子供の家出には、以下のような理由があります。心当たりがないか、最近の行動や言動を思い返してみましょう。
家庭への不満がある
家庭に対する不満は、子供が家出をする理由のひとつです。令和4年度の警視庁の調べによると、未成年の行方不明者の原因・動機で最も多いのが家庭関係で、全体の3割以上(9歳以下30.9%、10代36.9%)でした。(※1)

親の過干渉や厳しいしつけ、兄弟姉妹との比較、親同士の不仲、家庭内暴力などは、子供を少しずつ追い詰めます。これらの不満が積み重なり、家は安心できる居場所ではないと感じると、子供は家出という形で現状から逃れようとします。
この場合、子供は強い怒りや絶望感を抱えていることが多く、帰宅を促すには、まずは不満の原因を深く理解し、解決しようとする姿勢を見せなければなりません。子供の話をじっくりと聞き、心に寄り添うことが、信頼関係を修復するうえで重要です。
好奇心が強い
好奇心旺盛な子供は、家出を一種の冒険と考えているケースもあります。とくに小学生や中学生くらいまでは、知らない世界や自由への憧れが強く、普段の生活から少し離れてみたい、という軽い気持ちで家出を決行することもあるでしょう。しかし、家出したものの、すぐに不安や寂しさ、後悔に襲われることがほとんどです。
このタイプの場合、親や家庭に強い不満があるわけではないため、子供自身が現実の厳しさに直面し、自力で帰宅する可能性が高いでしょう。ただし、途中で危険な場所へ行ってしまう可能性も否定できないため、安易に考えず、早急な対処が必要です。
親に甘えている
矛盾しているようにも思えますが、家出は「親にもっとかまってほしい」「自分のことをもっと見てほしい」という、甘えや愛情を求める行動の裏返しであることも少なくありません。家出をすることで、親が自分を必死に探す姿を期待したり、自分の存在を再確認したりする子供もいるでしょう。
とくに下の子が生まれたり、親が仕事で忙しかったりして、かまってもらえなくなったと感じた子供は、甘えたい気持ちから家出をする可能性があります。この場合、子供は心の奥底で親との再会を強く望んでいるため、見つかった際に強い拒絶を示すことは少ないでしょう。しかし、子供の気持ちを無視すると、より過激な形で親の愛情を試そうとする可能性もあるため注意が必要です。
好きな人と一緒にいたい
とくに中学生から高校生にかけての思春期に多いのが、好きな人との関係を深めたいという理由による家出です。親が交際を強く反対したり、門限を厳しくしたりすると、好きな人と一緒にいたいという気持ちから、家出に踏み切る可能性があります。
このような家出の場合、子供は周りが見えなくなり、冷静な判断ができていないケースもあるため注意しましょう。交際相手にもよりますが、トラブルに巻き込まれるリスクもあるため、早急に対応する必要があります。ただし、子供の恋愛感情を頭ごなしに否定するのではなく、なぜ反対するのかを丁寧に説明し、子供の気持ちにも寄り添う姿勢も大切です。
人間関係で悩んでいる
学校や部活、アルバイト先での人間関係の悩みも、家出の大きな原因です。いじめや嫌がらせ、友人とのトラブルなど、精神的に追い詰められる状況が続き、学校や家に居場所がないと感じて、家出という手段を選ぶケースもあるでしょう。
このタイプの場合、子供は非常に繊細な状態にあり、自分の悩みを親に打ち明ける勇気をもてずにいます。親が「どうしたの?」と声をかけても、素直に話してくれない子供も多いでしょう。家出は、子供が抱えきれないほどの悩みを抱えているサインでもあるため、帰ってきたときは優しく対応する必要があります。
子供が家出したときの対処方法
子供が家出したときは、本人や学校に連絡するなど、適切な対処をする必要があります。ここでは、子供の家出への対処方法を紹介しますので、チェックしておきましょう。
本人に連絡する

子供の家出に気づいたら、まず本人に直接連絡を取ってみることが必要です。電話やメール、SNSなどを使って、冷静に「心配しているよ」「どこにいるの?」と連絡してみましょう。子供が冷静さを失っている場合でも、親は感情的にならず「怒らないから、話を聞かせてほしい」といったメッセージを伝えることが大切です。
この段階で、子供が返信してくれる可能性もあるでしょう。ただし、連絡が取れても、すぐに居場所を特定したり、無理に帰宅させたりするのは逆効果になるケースもあります。まずは安全を確保しているか確認し、落ち着いて話せる状況になったら改めて連絡を取る約束をする、といった柔軟な対応を心がけましょう。
学校に連絡する
子供が家出したとわかったら、学校にも連絡を入れることが重要です。担任の先生などに相談すれば、学校での人間関係や生活態度に何か異変がなかったか、情報を得られる可能性があります。また、家出の当日や翌日に学校に来ていないか、何か特別な状況がなかったかなど、子供の行方を追う手がかりが見つかるかもしれません。
学校に連絡する際は、先生を問い詰めたり責めたりしないことがポイントです。あくまで「心配している」「何か知っていることがあれば教えてほしい」というスタンスで話しましょう。
友人やその親に連絡する
子供の友人やその親に連絡することも、有効な手段のひとつです。子供が家出をした際、身近な存在である友人を頼る可能性が高いからです。直接、友人宅に身を寄せている可能性もありますし、友人から子供の行方について情報を得られることもあります。
連絡する際は、子供のプライバシーに配慮し、「もし何か知っていたら教えてほしい」と丁寧にお願いしましょう。ただし、友人の親に連絡する場合は、状況を詳しく説明し、協力を仰ぐことが大切です。子供の友人や親を問い詰めるような態度は取らないようにしましょう。
思い当たる場所を探す
学校や友人へ連絡したら、自分でも子供が行きそうな場所を探してみましょう。たとえば、公園やゲームセンター、お気に入りのカフェや図書館などが挙げられます。家出の理由が、ただ単に一人になりたいという心理からくるものであれば、近場で時間を潰しているケースもあるでしょう。
とくに子供が家出をした直後であれば、まだ遠くへ行っていない可能性もあります。家族や親戚、友人にも協力を仰ぎ、手分けして探すことで、発見できる確率が高まります。
子供の持ち物を確認する

子供の部屋や普段使っている持ち物などを確認してみましょう。何を持ち出したかによって、家出の理由や行き先の手がかりが見つかることもあります。たとえば、大きなリュックサックや着替えを持ち出していれば、長期の家出を計画していたかもしれません。
一方、財布やスマートフォンだけを持ち出しているなら、衝動的な家出である可能性が高いでしょう。また、日記やメモ帳などから、なぜ家出したのか、誰と一緒に行動しているか、といった情報を得られるケースもあります。ただし、プライバシーに関わるため、むやみに探るのではなく、あくまで子供の安全確保を目的として行いましょう。
SNSで探す
子供がSNSを利用している場合、投稿された写真や文章から、家出の動機や居場所の手がかりを得られる可能性もあります。とくにリアルタイムで自分の居場所を投稿している場合や、「帰りたくない」「消えたい」といった心の叫びを投稿している場合は、子供の心理状態を把握するうえで重要なヒントとなるでしょう。
ただし、SNSを利用して子供を探す場合は、慎重に進める必要があります。子供の個人情報や家出の状況をむやみに公開すると、悪意のある人物に利用される危険性があるからです。どうしてもSNSで情報を得る必要がある場合は、非公開アカウントで情報収集を行うか、信頼できる人だけに協力を求めるようにしましょう。
警察に相談する
子供の家出が発覚したら、迷わず警察に相談しましょう。警察は行方不明者の捜索のプロフェッショナルであり、家出人の捜索を依頼できます。警察に相談する際には、子供の氏名、年齢、身体的特徴、当日の服装、最後に目撃された場所、持ち物、家出の心当たりなどをできるだけ詳しく伝えることが重要です。
とくに子供の顔写真などを提供すれば、捜索の効率が格段に上がるでしょう。警察は行方不明者届(捜索願い)を受理すると全国の警察官と情報共有を行うため、子供が遠方に移動していた場合でも発見できる可能性が高まります。また、13歳以下の行方不明者の場合、無条件に「特異行方不明者」として処理されるため、迅速に捜索を始めてくれるでしょう。(※2)
家出から時間が経過するほど、子供が危険に巻き込まれるリスクが高まるため、一刻も早い相談が重要です。
探偵に依頼する
警察への行方不明者届の提出と並行して、探偵事務所に依頼するという選択肢もあります。探偵は、警察が捜査の対象としない情報にも深く踏み込んで調査を進めることが可能です。
また、人探しに関する専門的なスキルやノウハウをもっているため、わずかな手がかりからでも子供の居場所を突き止めてくれる可能性があります。ただし、探偵に依頼すると料金が発生するため、事前にしっかりと費用や調査内容について確認しておくことが必要です。
子供の家出を放置するリスク
子供の家出を放置することには以下のようなリスクがあるため、早急に対応しましょう。
犯罪に巻き込まれる
家出をした子供は、身の安全を守る術に乏しく、悪意のある人物に狙われやすい存在です。SNSを通じて甘い言葉で誘惑されたり、出会い系アプリで知り合った人に連れ去られたりするケースも少なくありません。
警視庁の調べによると、令和5年度に福祉犯被害に遭った未成年4,765人のうち、276人(全体の5.8%)が家出中の少年・少女でした。(※3)

また、家出先で生活費に困り、窃盗や詐欺といった犯罪に手を染めてしまう可能性もあります。とくに未成年者が家出をした場合、売春や薬物の売買などの犯罪に巻き込まれるリスクも高まるため、早期に対応することが重要です。
事故に遭う
家出中の子供は、精神的に不安定な状態にあり、冷静な判断ができないケースがほとんどです。夜道を一人で歩いていて交通事故に遭ったり、危険な場所を徘徊していて転落したりする可能性もあります。
また、心身の不調から、自殺をほのめかすような行動を取る可能性も否定できません。家出を放置すると、子供の命に関わる重大な事態を引き起こす可能性があることを認識し、適切な対応を検討しましょう。
子供の家出について探偵に相談するときのポイント
前述のとおり、子供を早急に発見したい場合は、探偵に依頼するのがおすすめです。以下、探偵に相談するときのポイントを紹介しますので、チェックしておきましょう。
実績を確認する
探偵に相談する際は、子供の家出捜索の実績があるかを確認しましょう。過去の成功事例や、どのような方法で調査を進めてきたかなどを尋ねることで、探偵事務所の信頼性や実力を判断できます。実績が豊富な探偵事務所であれば、さまざまなケースに対応できるノウハウをもっているため、安心して任せられるでしょう。
丁寧に話を聞いてくれる探偵を選ぶ

探偵との最初の面談では、家出の状況や子供の性格、人間関係など、多くの情報を伝える必要があります。このときに、親身になって丁寧に話を聞いてくれる探偵を選ぶことが大切です。即日対応や安価な調査料金を謳っていても、話を遮る探偵や、一方的な提案ばかりする探偵は避けるべきです。子供や家族の気持ちに寄り添った調査をしてくれない可能性があります。
料金体系を確認する
探偵に依頼する前に、必ず料金体系を確認しましょう。追加料金が発生する可能性はあるのか、成功報酬制なのか、時間制なのかなど、細かく確認することが重要です。また、複数の探偵事務所から見積もりを取ることで、料金の相場を把握できます。
口コミなどをチェックする
探偵事務所のWebサイトやSNSなどで、口コミをチェックすることも有効な手段です。実際に利用した人の声を聞けば、探偵事務所の評判や対応の質などを客観的に把握できるでしょう。ただし、口コミはあくまで参考程度にとどめ、最終的には自分の目で確かめることが大切です。
届出をしている探偵を選ぶ
探偵業を営むには、公安委員会への届出が必要です。届出をしていない探偵は、法律に基づいた適正な調査を行っていない可能性があるため、依頼するのは避けるべきです。探偵事務所のWebサイトなどで、届出番号が記載されているかを確認しましょう。
多くの情報を準備する
探偵に依頼する際は、子供の情報をできるだけ多く準備しておきましょう。氏名、年齢、身長、体重、服装、特徴、最後に目撃された場所、交友関係、SNSのアカウント、家出の心当たりなど、情報が多いほど調査がスムーズに進み、発見できる可能性が高まります。
子供が家出から帰ってきたときはどうする?
子供が無事に帰ってきたら、次のような対応を心がけましょう。
優しく迎える
子供が帰ってきたら、まずは「無事でよかった」と優しく迎えてあげましょう。心配や怒りの気持ちから、つい感情的になってしまうかもしれませんが、子供の無事を心から喜ぶ姿勢を見せることが大切です。家出をした子供は、不安や後悔の気持ちを抱えているでしょう。親からの優しい言葉は、子供に大きな安心感を与え、心を開くきっかけとなります。
すぐに怒らず子供の話をよく聞く

家出の理由を問いただす前に、まずは子供の話をじっくりと聞きましょう。なぜ家出をしたのか、どこに行っていたのか、誰と一緒だったのかなど、子供の言葉に耳を傾けることが重要です。
話を聞くときは非難したり怒ったりせずに、優しく相槌を打ちながら子供の気持ちに寄り添う姿勢を見せましょう。子供が話すのを嫌がるようなら、無理に聞き出すことはせず、子供が話したいと思うまで待つことも大切です。
再発防止の対策を検討する
子供の話を聞き、家出の理由がわかったら、再発防止のための対策を家族で話し合いましょう。家庭内の不満が原因であれば、家族のルールを見直したり、親子のコミュニケーションの時間を増やしたりする必要があります。
また、子供の人間関係の悩みが原因であれば、学校やカウンセラーと連携して、子供が安心して過ごせる環境を整えることが重要です。子供の家出は、親子の関係を見つめ直す機会でもあります。しっかりと子供と向き合い、よりよい関係を築いていきましょう。
子供が家出したときは早急に対応しよう!
今回は、子供が家出する心理や適切な対応方法について解説しました。子供の家出を放置すると、事故や事件に巻き込まれるリスクがあります。家出が発覚したときは、すぐに学校や警察に連絡し、心当たりのある場所を探しましょう。
なかなか見つからない場合は、探偵に相談することも必要です。探偵は人探しに関する専門的なノウハウをもっているため、早期発見につながるケースもあります。危険から子供を守るためにも、早急に対応策を検討しましょう。