借金が返せなくなった。家賃を滞納して立ち退きを迫られている。金銭的に困窮したとき、正常な判断ができず現実や借金から逃れるために夜逃げしてしまう人がいます。
そこでこの記事では、夜逃げした人を自力で探すにはどんな方法があるのか?夜逃げした人を探す際の注意点とは?夜逃げした人は警察や探偵に探してもらうことはできるのか?を詳しく解説していきます。
債権者や連帯保証人なら、相手に夜逃げされてしまうと大きな損害を被ることになってしまいます。理不尽な仕打ちに立ち向かうためにも、相手を見つける方法を知りましょう。
- 夜逃げした人を自分で探す具体的な5つの方法
- 夜逃げした人は警察・探偵に探してもらえるの?
- 夜逃げした人を探す際の注意点
夜逃げした人を自分で探すことは可能?
夜逃げした人を、自分で探すことは可能です。
ただし、素人が自分の力だけで、姿を消す意思がある人を見つけ出すのは、大きな時間と労力がかかります。夜逃げした人を自分の力だけで探したいと思っている場合は、覚悟を持って取り組みましょう。
夜逃げした人を探す具体的な5つの方法
ここからは夜逃げした人を自分で探す、具体的な方法を紹介していきます。
住民票・戸籍附票で特定する
住民票の開示や戸籍附票を申請することで、夜逃げした人の居場所を特定できます。
住民票の申請は通常、
- 本人
- 本人と同一世帯の人
- 本人及び本人と同一世帯の人からの委任状を持つ人
に限られていますが、債権者の場合は高確率で債務者の住民票の閲覧・取得が可能です。借用書・本人確認書類を持参し、窓口で申請しましょう。
戸籍附票は今まで過ごしていた住所が記載されているため、相手が夜逃げ後に住民票を移していれば、戸籍附票を取得することで現在の住所を特定できます。
夜逃げした場合は、住民票の移動などを行わないと思いがちですが、実際に生活をする中で住民票の移動を行っていないと
- 免許の更新が行えない
- 本人確認郵便が届かない
- 健康保険証や児童手当などの公的な手当てももらえない
といった、さまざまな不利益を被ることになります。
最初は居場所を知られることを恐れて移動させていなかった場合でも、1ヶ月、1年と月日が経つことで不利益を被ることが増えると、その際に住民票の移動を行うこともあります。
夜逃げした後すぐに確認するだけでなく、時間がたったときでもあきらめずに住民票の移動がないかを確かめましょう。
簡易書留の送付で特定する
簡易書留を何度も送付することで、住所を特定できる場合もあります。
簡易書留には追跡サービスがあり、確実に相手に郵便を届けたい場合や、高価なもの貴重なものを送付する際に利用される送り方です。
住民票の移動は、夜逃げ先がわかってしまうため躊躇する人がいますが、郵便局の「転居・転送サービス」を使い、旧住所から新しい住所へ郵便物の転送を申請している場合があります。
最初は「宛先に該当人物なし」として郵便が返送されてきますが、何度も送り続けていると、相手の新しい住所が記載されて返送される場合があります。そのタイミングがいつかは判断できないため、諦めずに何度も簡易書留を出すことが大切です。
周囲に聞き込みを行う
夜逃げだけでなく人探しの基本として、周囲への聞き込みを行ってみましょう。
実際にどこに行くと明確に発言していない場合でも、
「次に過ごすなら、暖かい所がいいな…」
「ここはうるさいから、静かなところで暮らしたいな」
など、何気ない発言にヒントが隠されている場合もあります。また友人や親族といった場合は、大切な人を心配させないために、こっそりと住所などを教えていることもあるでしょう。
夜逃げしているのだから、誰にも居場所を教えていないだろうという先入観を持つことなく、できることをやっておきましょう。
SNSで痕跡を追う
本人の利用するSNSに、夜逃げ先のヒントがないかを調べましょう。
例えば、Instagramで夜逃げ後の写真を投稿している場合、背景やお店などから居場所を突き止められる可能性があります。またX(旧Twitter)では返信やリポストを頻繁にしあう相手がいる場合、その相手にコンタクトをとることで、居場所に繋がるヒントが得られる可能性もあります。
夜逃げをするとリアルな友人からは距離を取る必要があるからこそ、SNSのつながりを切れない人も少なくありません。
本人のSNSが特定できているなら丁寧な調査を行いましょう。
夜逃げした状況を振り返る
夜逃げ先を探す場合、相手の自宅に入れる立場であれば残されたものをじっくりと観察しましょう。
- 生活に必要なものを持ち出しているか?
- PCやスマホなど、居場所特定に役だつ機器はあるか?
- クレジットカードの明細・レシートなどはないか?
- 住宅情報誌・旅のガイドブックなどはないか?
もし生活に必要なものすら持ち出していないのであれば、そもそも夜逃げ先で生活を送る気はない可能性があり、早急な捜索が必要です。
PCやスマホが残っている場合は、検索履歴から失踪直前にどんなことを調べていたのか、何に興味を持っていたのかを知ることができます。レシートやクレジットカードの明細では、飛行機や新幹線といった移動手段になる履歴を探すことで、居場所特定のヒントが得られるかもしれません。
部屋は心情を映す鏡ともいわれるため、残留物をしっかりと確認することで居場所特定に役立つ情報を探してみましょう。
夜逃げのように、相手が自分の意志で行方をくらませている場合、探し出すのには大きな時間と労力がかかります。しかし自分の力だけでも探す方法は色々あるため、諦めることなく試せる方法がないかを考えてみましょう。
夜逃げした人は警察・探偵に探してもらえるの?
夜逃げした人を自分で探す方法を知ったところで、次はそもそも夜逃げした人を警察や探偵で探してもらうことはできるのでしょうか?
警察は夜逃げした人の捜索を行ってくれる?
基本的に、夜逃げした人を警察が探してくれることはありません。
夜逃げで最も多い借金の問題、「債務不履行」は刑事事件ではなく民事事件であることが大きな理由です。一般的に「返す」と約束したお金を返済しないのは、大きな罪に感じられますが民事不介入として警察が動くことができないのです。
例外として、お金を借りてすぐに行方が分からなくなった場合は、最初から返済する気は全くなく、相手を騙す目的だったとして「詐欺罪」となる可能性もあります。
ただし詐欺罪で告訴する場合でも、「返済するつもりだったが、返せずに逃げた」など相手と意見が食い違うことも多く、「本当に最初から返す気がなかったか」を立証するのも大変です。
民事不介入である点・詐欺と立証するのが難しいという2点から、夜逃げした人の捜索について、警察を頼りにすることは一般的には難しいと考えておきましょう。
探偵なら夜逃げした人を探すことは可能?
夜逃げした人を、探偵が探すことは可能です。
探偵は人探しのプロであり、夜逃げした人だけでなく、昔の恋人を探したい、旅先で出会った恩人を探したい、といった少ない情報で相手を探し出す様々なノウハウを有しています。
人探しの料金は10万~100万と幅がありますが、多くの探偵事務所では無料相談を行っているため、もし自分の場合の具体的な料金を知りたい場合は、気軽に相談をしてみましょう。
夜逃げした人を放置しておくとどうなる?
自分で夜逃げした人を探す方法、探偵や警察の捜索について知ったところで、次は夜逃げした人を放置していた場合はどんなリスクがあるかを知っておきましょう。
債権者の場合
債務者が夜逃げした場合、債権者はお金を返してもらえなくなるリスクがあります。
借金には最短で5年の時効があり、夜逃げされて何もしないで放置した場合、この時効によって借金がチャラになってしまう可能性があります。
ただし夜逃げされて、居場所がわからなければ相手が逃げ切れるかというとそうではなく、債務者は時効の「更新」と「完全猶予」という制度を利用できます。
具体的に「完全猶予」とは、裁判を起こしたり、支払い督促を行うことで時効の成立を一定期間引き延ばすことができる制度です。「更新」は時効が成立せず中断した場合、またその時点から新たな時効を数えなおすという制度です。「更新」は、裁判の確定、債務承認、強制執行の実行で認められます。
どちらの場合も手続きをすれば、時効で債務者が逃げることができなくなるので、もし夜逃げされた場合は放置するのではなく、何らかの対処を取りましょう。
連帯保証人の場合
連帯保証人には「催告」「検索」の抗弁権が排除されているため、連帯保証人になった相手が夜逃げした場合、債務の肩代わりを求められます。(参照:「民法454条」法令検索より)
具体例をあげると、「催告」とは「まずは債務者に取り立てを行ってください」ということ、「検索」とは「債務者に財産がある場合は、そちらを差し押さえてください」ということです。
連帯保証人になっている場合は、この「催告」「検索」を行ってほしいという抗弁権がないため、債権者から支払いを要求された場合は拒否することができません。
こうした点から、夜逃げした人をそのまま放置しておくと、逃げた人の債務や滞納した家賃といった損害を、すべて被ることになりかねません。
連帯保証人になった相手が夜逃げした場合、夜逃げ相手を探して支払いをさせるか、自分が支払いを肩代わりするかの2択になることを覚えておきましょう。
相手が夜逃げしてしまった場合、債権者の場合でも連帯保証人の場合でも、夜逃げされた側が何らかのアクションを起こす必要があります。
何も悪くないのに、手間ばかりかかるのは腹立たしいことですが、動かなければ更なる損失が出ることを知ったうえで、どう行動するかを考えましょう。
夜逃げした人を探す際の注意点とは?
見つけた場合は慎重な行動を
夜逃げした人を探すときに最も気を付けなければならないのが、再度逃走を図られないようにすることです。
夜逃げした人を探すのは時間と労力がとてもかかる行為です。そのため、見つけた時点で必ず身柄を確保する必要があります。
相手に見つかったことがバレると再度逃走を図られる可能性があるため、しっかりと責任を果たさせるためにも、確実な方法で身柄を抑えて支払いを行ってもらいましょう。
個人で探す場合は時間がかかることを想定しておく
夜逃げした人を自分の力だけで探す場合は、大きな時間と労力がかかることを覚悟しておきましょう。
夜逃げした人だけでなく、人探し全般は小さな手掛かりを一つひとつ辿っていく地道な作業が求められます。通常の人探しとは異なり、相手が行方をくらます気でいる場合は、そもそも現在の居場所で偽名を使って過ごしていたり、極力人と関わらずに過ごしていたりと、人探しの難易度は格段にあがります。
夜逃げした人を自分の力だけで探すことは不可能ではありませんが、時間と労力に見合うかどうかを考える事は大切です。
自分での捜索が無理だと感じたらプロに早めの相談を
夜逃げした人の捜索が難しいと感じた場合、できるだけ早くプロに相談しましょう。
人探しの成功率をあげるカギは、早めに捜索を行うことです。人の記憶は日を追うごとに薄れてしまうため、時間が経つごとに捜索の難易度は上がってしまいます。
探偵事務所に依頼するのは料金がかかりますが、このまま逃げ切られた場合に受ける損害と、探偵事務所に支払う金額を天秤にかけプロに依頼したほうがメリットが大きい場合は、まずは無料相談を行い、迷っている時間をできるだけ短縮しましょう。
まとめ
相手に夜逃げされてしまうと、された側は時間的・精神的に大きく損害を受けてしまいます。
ただ夜逃げされたとしても、早めに逃げた相手を見つけることで、受けた損害を最小限にとどめることは可能です。ネットが広く普及している現在、夜逃げした相手を自分で探す方法は多く存在します。
そしてもし自分で探すことが難しいと感じた場合は、多くの探偵事務所では人探しについて無料で相談を行っています。自分で探すことがいいのか、プロに依頼したほうが良いかはあなた自身の状況で異なりますが、どんな方法があるのか?どんな損害が出る可能性があるのか?など自分の状況を判断することで、取るべき道がみえてくるはずです。