浮気調査費用は相手に請求できる?認められるケースや請求額の相場を解説

浮気調査費用は相手に請求できる?認められるケースや請求額の相場を解説

パートナーの浮気が疑われる場合、証拠収集によって慰謝料請求や離婚、話し合いを有利に進める必要があります。証拠は自力で集められるものの探偵に依頼するのが一般的です。

探偵に浮気調査を依頼した場合、スムーズに調査が進む一方で調査費用が発生してしまうというデメリットもあります。このような浮気調査にかかる費用はパートナーや浮気相手に請求可能です。浮気調査にかかる費用を相手に請求できれば負担の軽減が可能です。

この記事では浮気調査費用を相手に請求できるケースや請求額の相場について解説します。

この記事を読んでわかること
  • 浮気調査費用を損害賠償として請求できる条件
  • 浮気調査費用を浮気相手に請求した判例
  • 浮気調査費用の請求が認められた場合の相場

浮気調査費用を相手に請求できるかどうか

浮気調査費用を相手に請求できるかどうか

浮気調査にかかった費用を相手に請求できるかどうかは状況によって異なります。

ここでは、相手に浮気調査費用を請求できるケース、請求できないケースについて解説します。

相手に請求できるケース

浮気調査費用を相手に請求できるのは、探偵による調査が妥当であった場合です。具体的には次のようなケースが該当します。

  • 証拠が不足していたため探偵調査が不可欠だった
  • 配偶者が浮気を否定していて、自力で証拠収集が困難だった
  • 探偵報告書が決定打となり、不貞行為を立証できた

このようなケースは浮気との因果関係が認められるため、相手への慰謝料請求が可能です。

相手に請求できないケース

相手に浮気調査費用を請求できるケースに対して、次のようなケースでは請求が認められない可能性があります。

  • 配偶者が既に浮気を認めており、証拠を追加で取得する必要がないのに調査を行った
  • すでに確実な証拠がそろっているのに高額な追加調査を依頼した

上記のようなケースでは、調査費用と浮気との因果関係が否定され、請求は棄却される傾向にあります。​

また、不貞行為の有無について争っていなかった場合、浮気調査の費用を相手に請求できないのが一般的です。

判例からみる相手に請求できる浮気調査費用

判例からみる相手に請求できる浮気調査費用

浮気調査費用のうち、どれくらいの額が相手に請求できるかは状況によって異なります。

ここでは過去の判例をベースに次のようなケースについて解説します。

  • 全額の請求を認めたケース
  • 調査費用の一部を認めたケース
  • 調査費用が認められなかったケース
  • 慰謝料の増額要素として考慮されたケース

全額の請求を認めたケース

過去には、次のとおり浮気調査費用の全額請求を認めたケースがあります。(※1

  • 東京地裁平成31年1月31日判決(欠席裁判)
  • 東京地裁令和2年8月11日判決
  • 東京地裁令和2年12月17日判決

東京地裁平成31年1月31日判決(欠席裁判)

東京地裁平成31年1月31日判決では、不倫相手に対して浮気調査費用の全額賠償義務を認定しました。

原告はパートナーの不貞行為の有無を確認するために探偵に調査を依頼しました。これに対して裁判所は「調査は不貞の証明に不可欠であり、金額も高額とはいえない」と判断し、調査費用21万6,000円の調査費用の賠償を命じています。

東京地裁令和2年8月11日判決

東京地裁令和2年8月11日の判決では、合計72万7,964円の浮気調査費用の賠償を命令しました。原告は3回もの浮気調査を実施していましたが、裁判所は「調査費用は不貞行為と相当因果関係がある損害」として全額の請求を認めています。

東京地裁令和2年12月17日判決

東京地裁令和2年12月17日の判決では調査期間が1日だけだったものの、裁判所が賠償を命令しています。短期間の調査であっても、不貞の確信に有効だったと判断され、相手の主張を退けています。

調査費用の一部を認めたケース

浮気調査費用の全額ではなく、一部のみの請求を認めたケースもあります。例えば、383万円の浮気調査費用のうち、40万円を限度に賠償を認めた判例があります。

パートナーが不貞行為を隠したまま離婚を切り出したために、浮気調査は必要であったと判断しつつも、合理的な手段ではなかったとして一部のみの賠償を命じています。

調査費用が認められなかったケース

名古屋地裁令和元年12月6日の判例(※1)をはじめとして、浮気調査費用の賠償が認められなかったケースもあります。調査費用の賠償が認められなかったケースに共通するのは、次のような理由です。

  • 調査前に既に不貞を立証できる状態にあった
  • 調査が特別な専門性があると判断できない

慰謝料の増額要素として考慮されたケース

慰謝料の増額要素として、浮気調査費用が考慮されたケースもあります。このようなケースは、調査費用を不貞行為と相当因果関係がある損害とは認めてはいません。しかし、高額の調査費用を負担した精神的苦痛として慰謝料増額の要素として扱われています。

浮気調査費用以外に相手に請求できる費用

パートナーが浮気して、慰謝料請求や離婚を申し立てる場合、浮気調査費用以外の出費も発生します。代表的な費用として弁護士費用裁判費用が挙げられます。これらの費用も相手に請求できる可能性があります。

弁護士費用

弁護士費用

弁護士に依頼して慰謝料請求や離婚訴訟を行った場合、その費用を相手に請求可能です。しかし、全額が対象になるわけではありません。

認められた慰謝料額の1割程度を相当額として賠償させるのが一般的です。例えば慰謝料が200万円であれば弁護士費用のうち20万円前後を相手に請求できます。

裁判費用

訴訟に必要な印紙代や郵券などの実費は、民事訴訟法の原則によって敗訴者負担とされます。

しかし、完全勝訴すれば原告が立て替えた裁判費用は全額被告負担となりますが、部分勝訴や和解では按分されるか自己負担になることもあるため注意が必要です。​

治療費や休業損害請求の大半は認められない

パートナーの浮気によって精神的苦痛を感じ、うつ病を発症してしまう人もいます。浮気が原因のうつ病によって通院、休業しても、治療費や休業損害請求の大半は認められないのが一般的です。

治療費や休業損害の請求が認められないのは、浮気との因果関係を証明するのが困難なためです。

治療費や休業損害請求は認められないのが一般的なものの、慰謝料算定の際に考慮される可能性はあります。

浮気調査の費用相場

浮気調査の費用相場

浮気調査費用を相手に請求するのであれば、どれだけの調査費用がかかるのかを事前に把握しておきましょう。

浮気調査の費用相場は10万円~100万円と大きく幅があります。調査費用に幅が生まれてしまうのは、難易度によって費用が異なるためです。依頼者が提供する情報が少ないといったように調査難易度が高いケースでは費用はかさんでしまうでしょう。

相手に請求できる可能性があるのは1.2万~12万円

浮気調査費用が10万円~100万円の場合、全額を相手に請求できるとは限りません。過去の判例では次のように一部の請求だけを認めています。

  • 東京地裁令和3年2月24日:調査費用46万4458円のうち10万円の請求を認める
  • 東京地裁令和2年12月9日:調査費用78万6397円のうち10万円の請求を認める

上記の判例を考慮すると、調査費用のうち12%から20%の請求を認めている傾向にあります。つまり、調査費用相場であれば1.2万円~12万円ほどの請求が認められる可能性があるでしょう。

浮気調査に失敗すると相手に費用を請求できない

浮気調査費用を相手に請求できるのは、あくまで調査が成功した場合です。浮気調査に失敗してしまうと不貞行為(浮気)を証明できないため、相手に調査費用を請求できません。

それどころか失敗したにも関わらず、多くの調査費用を支払う必要があります。返金についてのルールは探偵によって異なるため、事前に契約内容を確認しておきましょう。

浮気調査に失敗するリスクは費用を相手に請求できないだけではありません。次のようなリスクもあります。

  • 相手との関係も悪化する
  • 離婚や慰謝料請求に悪影響がある

相手との関係も悪化する

相手との関係も悪化する

パートナーに浮気調査がバレてしまい、失敗するケースがあります。浮気調査が相手にバレてしまうと関係が悪化しかねません。

浮気調査がバレて関係が悪化すると関係の再構築が難しくなります。そのため、離婚までは考えていない場合、大きな痛手になってしまうでしょう。

離婚や慰謝料請求に悪影響がある

浮気調査に失敗したことで、離婚や慰謝料請求に悪影響が及ぶ可能性があります。例えば、浮気調査がバレてしまうと、パートナーはプライバシー侵害を主張しかねません。その結果、浮気された側にも非があったと思わせるような主張でも通ってしまう恐れがあります。

さらに、浮気調査がバレたことで証拠隠滅を図ろうとするパートナーもいるでしょう。証拠を隠滅されてしまうと、パートナーの浮気を証明するのは困難になってしまいます。

浮気調査に失敗しないためのポイント

必要性がある浮気調査であっても、失敗してしまうと相手に請求できない可能性があります。そのため、浮気調査に失敗しないためには次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 調査対象者に知られないようにする
  • 余裕をもったスケジュールを組む
  • どれだけの調査費用がかかるのか事前に確認する
  • 浮気調査に実績がある探偵に依頼する

それぞれのポイントについて解説します。

調査対象者に知られないようにする

浮気調査に失敗しないためには、調査対象者に知られないようにしましょう。証拠能力の高い写真や映像を押さえるには、対象者に気付かれずに尾行・張り込みを続ける必要があります。

対象者に警戒心を抱かせてしまうと行動パターンが変わり、調査が長期化して費用も膨らみます。さらに対象者に調査が気付かれると、証拠を隠滅される恐れがあります。

余裕をもったスケジュールを組む

配偶者の外泊日や記念日など、浮気の可能性が高い日を中心に調査日程を組むと、少ない日数であっても決定的な証拠を収集できる可能性が高まります。調査期間が短縮されれば、請求可能額を超える高額な費用負担を防げます。

調査に必要な情報を可能な限り提供する

高額な浮気調査費用を抑えるのであれば、余裕を持ったスケジュールを組むだけでなく、調査に必要な情報を可能な限り提供しましょう。例えば次のような情報を提供するのが有効です。

  • クレジットカードの利用明細
  • ホテルの領収証
  • 浮気相手に関する情報(顔や名前、職場など)
  • 浮気相手が良く立ち寄る店

どれだけの調査費用がかかるのか事前に確認する

どれだけの調査費用がかかるのか事前に確認する

探偵と契約する際は、契約書に次の事項を必ず書面で明示してもらいましょう。

  • 調査の目的・手法
  • 実施期間
  • 基本料金・サービスの範囲
  • 追加料金が発生する条件や金額

調査結果の報告方法や報告頻度、証拠写真の提供形式、個人情報の取り扱い方針についても具体的な説明を受け、書面で確認することもポイントです。特に途中解約の可否や返金基準はトラブルの温床になりやすいため、契約書に明記されているかどうかを必ずチェックしましょう。

加えて、担当調査員の経験年数保有資格を確認し、適切な体制が整っているかを見極めることも重要です。少しでも疑問が残る場合は、契約を結ぶ前に納得できるまで質問し、不安要素を解消してから依頼しましょう。

浮気調査に実績がある探偵に依頼する

浮気調査に失敗しないためには、過去に豊富な実績を誇る探偵に依頼しましょう。実績のある探偵であれば、調査対象者にバレるリスクや調査にかかる時間の軽減につながります。探偵のホームページや口コミサイトを参考に、浮気調査の実績が豊富な探偵を選びましょう。

実績に加えて、次のような点も探偵選びの参考にしましょう。

  • 探偵業の届出をしているか
  • 行政処分が下されていないか
  • 誇大な広告を出していないか
  • 無料相談に対応しているか

探偵業の届出をしているか

探偵は特別な資格はないものの、管轄の公安委員会に探偵業の届出が必要です。届出をしていない悪質な探偵の場合、相場を大幅に超える費用の請求や違法な手段での証拠収集をしかねません。その結果、依頼者がトラブルに巻き込まれる恐れがあります。

探偵業の届出をしているのであれば、以下の内容を記した標識がオフィスやホームページに掲示されています。(※2

  • 届出書を提出した公安委員会
  • 届出書の受理番号
  • 届出書を提出した年月日
  • 商号、名称又は氏名
  • 営業所の名称
  • 営業所の所在地
  • 営業所の種別
  • 広告又は宣伝をする場合に使用する名称

依頼を検討している探偵が標識を掲示しているか確認しましょう。

行政処分が下されていないか

探偵が探偵業法に違反すると、営業停止・営業廃止などの行政処分を受け、都道府県警察のサイトで3年間公表されます。契約前に「探偵業法に基づく行政処分 + 都道府県名」で検索し、候補の業者名が一覧に載っていないか必ず確認しましょう。行政処分歴がない業者を選ぶことが、トラブル防止の第一歩です。

依頼前に都道府県警察のサイトで状況を確認しておきましょう。

誇大な広告を出していないか

「成功率100%」「必ず慰謝料が取れる」といった断定的な表現や、相場とかけ離れた極端な低料金を強調する広告には注意が必要です。経験豊富な探偵であっても証拠が集められない恐れは少なからずあります。

また、景品表示法は根拠のない優良誤認表示を禁じており、誇大広告は法令順守意識の低さを示すシグナルでもあります。料金体系・調査方法・成功条件を具体的に示し、根拠を開示できる業者を選びましょう。​

無料相談に対応しているか

探偵を選ぶ際は無料相談に対応しているかの確認もポイントです。無料相談を利用することで、契約前に費用や調査の流れ、探偵の対応力をノーリスクで確認可能です。

まず、相談時のヒアリングによって自分の状況を客観視でき、調査が本当に必要かどうか冷静に判断できます。さらに概算見積もりを得られるため、予算感や追加費用の有無を把握でき、後から高額請求されるリスクを避けられるでしょう。また、応対の丁寧さや説明の分かりやすさを体感できるので、複数社を比較すれば契約を急かす悪質な業者を排除しやすくなります。

適切な浮気調査をすれば相手に費用を請求できる

浮気調査にかかった費用は相手に請求可能です。しかし、すべてのケースで請求が認められるわけではありません。浮気を証明するために探偵調査が不可欠だった、探偵の調査で浮気が証明されたなどの因果関係が認められれば請求が可能です。

浮気調査にかかった費用を相手に請求するためには、調査を成功させる必要があります。失敗してしまうと相手に浮気調査がバレてしまい、証拠収集や離婚、慰謝料請求に影響が及んでしまうでしょう。また、夫婦関係の悪化につながりかねません。

調査を成功させるためには調査対象者に知られないようにする、余裕をもったスケジュールを組む、浮気調査に実績がある探偵に依頼するなどのポイントを押さえておきましょう。

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