連絡が途絶えた大切な人、あるいは債権回収のために転居先を突き止める必要に迫られたとき、どうすればよいのでしょうか。自力での調査は、手間や時間がかかる上に、法的リスクも伴います。
この記事では、自分で転居先を調べる方法の限界を解説し、安全かつ確実に目的を達成するためのプロフェッショナルな調査方法と、そのメリットを詳しくご紹介します。行方を捜している相手の転居先が知りたいという方はぜひ参考にしてください。
- 相手の転居先を自分で調べる方法と限界
- 弁護士か探偵かケース別依頼先
- 転居先調査を探偵に依頼するメリット
転居先を自分で調べる方法
親族や知人の転居先を知りたいと思ったとき、まずは自分でできる方法を試す人が多いでしょう。連絡が途絶えてしまった相手に再会したい、書類を送付する必要がある、または金銭の貸し借りを解決したいなど、理由はさまざまです。
自分で調べる手段は複数ありますが、どの方法にもメリットとリスクがあります。ここでは代表的な調べ方を解説します。
公的機関に問い合わせる

転居先の特定を考えたときに最初に浮かぶのは住民票や戸籍の情報です。しかし、住民票の閲覧や写しの取得は、原則として本人または同一世帯の家族に限定されています。親族であっても第三者扱いされるケースが多く、簡単には照会できません。
ただし、相続や法的手続き、あるいは債権回収など、正当な理由が認められる場合は、例外的に取得が可能です。その場合は必要書類を揃え、役所に正式に申請する流れが一般的です。この手続きは「住民票の第三者請求」(※1)と呼ばれ、申請理由が厳格に審査されます。理由が不十分な場合や、必要な書類が揃っていない場合は受理されないため、事前の準備が重要です。
SNSやインターネットを活用する
現代ではSNSやインターネット検索が有力な手段です。FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などでは、投稿内容や写真から居住地を推測できることがあります。とくに引っ越し直後は新しい地域の風景や生活をシェアする人も多いため、手がかりを得やすい時期です。また、Google検索で名前や過去の勤務先、所属団体などを組み合わせて検索すると、転居先の痕跡が見つかる場合もあります。
ブログや趣味のサイト、地域のコミュニティ掲示板なども有効な情報源となりえます。ただし、情報の信憑性を見極める慎重さが求められます。古い情報や意図的に偽装された情報に惑わされないよう注意が必要です。
共通の知人・友人に聞く
共通の知人や友人を通じて転居先を探るのは、昔からよくある方法です。とくに親しい関係者であれば、住所や近況を把握している可能性があります。ただし、プライバシーに配慮しながら「緊急で連絡を取りたい」「大切な書類を送りたい」など具体的な理由を伝えることが大切です。
理由が不明確だと「なぜ知りたいの?」と不信感を抱かれ、協力を得られないこともあります。相手が個人情報を無断で教えることをためらうケースも多いため、直接住所を聞くのではなく、「連絡先を知っていたら、私から連絡したいと伝えてもらえませんか?」と間接的な伝言を依頼する方がスムーズな場合もあります。
郵便物を転送しないよう手配する
郵便局の転送サービスを利用している場合、旧住所に送られた郵便物が新住所へ転送されます。そのため、あえて転送をかけないようにしておくと、返送されてきた封筒に転居先のヒントが記載されることがあります。具体的には、郵便物に「転居先不明」と印字されて返送されることで、対象者がすでに引っ越したことを確認できます。
ただし、個人情報保護の観点から詳細な住所は表示されない場合が多く、確実な方法とはいえません。また、不自然に見える手段を取ると相手に不信感を持たれるリスクもあります。郵便局の私書箱を悪用するケースもあるため、この方法だけで確実に転居先を突き止めるのは困難です。
自分で調べる際の注意点と限界
自力で転居先を調べる方法は一定の効果がありますが、同時にリスクや限界が存在します。調査を進める前に注意点を理解しておくことが、トラブル回避の第一歩です。具体的には以下のような注意点を把握しておきましょう。
プライバシーの侵害に注意

無断で住民票を取得したり、違法な手段で個人情報を入手する行為はプライバシー侵害(※2)にあたり、法的責任を問われる可能性があります。とくにSNSで得た情報を不適切に利用すると、相手との関係が悪化するだけでなく、名誉毀損やストーカー規制法(※2)に触れる恐れもあります。
インターネット上の公開情報であっても、それを悪用して相手の生活を脅かすような行為は、法的な罰則の対象となることを忘れてはいけません。
転居先の特定には時間がかかる
自力での調査は効率が悪く、確度の低い情報に振り回されがちです。SNSの更新頻度が低い場合や、共通の知人に連絡が取れない場合は、数か月経っても有力な手がかりが得られないこともあります。その間に対象者が再び転居してしまうと、さらに追跡が困難になります。
時間と労力をかけたにもかかわらず、何の成果も得られない徒労に終わるリスクがあることを認識しておくべきです。
法的に有効な情報収集は難しい
裁判や法的手続きを見据えて住所を確認したい場合、自分で得た情報は証拠能力に欠けることが多いです。SNSの投稿や友人の証言は正式な証拠として扱われにくく、相手が否認すれば効力を持ちません。こうした局面では、弁護士や探偵といった専門家による調査が必要となります。
弁護士による転居先調査が適したケースと調査方法

転居先の調査は、場合によっては弁護士に依頼する方が適しています。とくに法的トラブルが絡むケースでは、弁護士が持つ職務上の権限が大きな力を発揮します。
相手と法的トラブルを抱えている場合は弁護士に相談
離婚調停、養育費請求、相続、貸金返還など、法的手続きに直結する案件では、弁護士に依頼するのが最も安全かつ確実です。自分で調査しても証拠能力が不十分な場合が多く、手続きが進まない恐れがあります。
弁護士であれば、正規のルートで住所を把握し、裁判に提出できる形で証拠化してくれます。
職務上請求や弁護士会照会で調査
弁護士は「職務上請求」と呼ばれる制度を使って住民票や戸籍の附票を取得できます。これは、弁護士法第23条(※4)に基づく特別な権限であり、依頼者の正当な利益を守るために行われます。
また、必要に応じて弁護士会照会により、金融機関や通信事業者、官公庁などから情報を得ることも可能です。これらは法的根拠に基づく手続きであり、個人が勝手に行うことはできません。とくに訴訟や強制執行において、転居先を確実に特定するために欠かせない調査手段です。
探偵による転居先調査が適したケース

法的手続きには至らないが早急に相手の住所を知りたい場合や、弁護士に依頼するほどではないケースでは、探偵に依頼するのが適しています。探偵は柔軟な調査力で転居先の早期特定を可能にします。
例えば、以下のようなケースでは探偵への依頼がおすすめです。
- パートナーの浮気相手に内容証明を送る
- 相手の行方を捜している
パートナーの浮気相手に内容証明を送る
浮気調査で相手の存在が判明しても、住所がわからなければ内容証明を送ることができません。離婚や慰謝料請求を進める上で相手の住所は重要な情報です。弁護士に依頼する前段階として、探偵が住所を特定するケースが多くあります。
相手の行方を捜している
音信不通になった親族や友人の安否を確認したいときも探偵の調査が役立ちます。行方不明とまではいかなくても、「どうしても再会したい」「借金を返してほしい」といった事情がある場合、専門的な技術と人脈を持つ探偵の力が有効です。
探偵が行う転居先調査の方法
探偵は経験とノウハウを駆使し、複数の手法を組み合わせて調査を進めます。いずれも合法的な範囲で行われ、対象者に気づかれにくいのが特徴です。
データ調査

公開情報やデータベースを横断的に検索し、転居先を割り出す方法です。過去の住所や勤務先、SNSの情報などを組み合わせて現在の居住地を特定します。
新聞の地域欄や不動産情報、公的な名簿などから手がかりを得る場合もあります。また、インターネット上の足跡を辿ることで、思わぬ情報が見つかるケースもあります。
聞き込み調査
対象者の近隣や関係者に聞き込みを行う方法です。直接的に「住所を教えてください」と尋ねることはせず、自然な会話の中で情報を得る技術が使われます。調査員は聞き込みの経験が豊富であり、プライバシーに配慮しながら情報を収集します。
近所の商店主や配達員、あるいは昔の同級生など、情報を持っている可能性のある人物に接触し、少しずつ情報を積み重ねていきます。
尾行・張り込み調査
対象者が利用する駅や職場、よく訪れる店舗を拠点に張り込み、生活パターンを観察する方法です。尾行と組み合わせることで、最終的な居住地にたどり着くことができます。専門的な技術と複数人のチームワークにより、対象者に気づかれずに調査が進められます。
張り込みは、ある地点で対象者が現れるのを待つ調査で、尾行は、対象者の後をつけて行動を追跡する調査です。両方を組み合わせることで、より確実に転居先を特定します。
転居先調査を探偵に依頼するメリット
自分や知人に頼んで調べるのと比べ、探偵に依頼することで得られるメリットは多岐にわたります。また、安全性や確実性の面でも大きな違いがあります。具体的には以下のようなメリットが期待できるでしょう。
- 専門的な調査力で早期発見につながる
- 裁判の証拠として利用できる情報が得られる
- 法律に則った安全な調査が可能
専門的な調査力で早期発見につながる
探偵は豊富な経験とデータベースを駆使し、効率的に転居先を突き止めます。個人での調査では数ヵ月かかることも、プロに任せれば短期間で成果が得られる可能性が高いでしょう。
時間の節約だけでなく、対象者が再び転居する前に情報を得られるという点でも大きなメリットがあります。とくに、夜逃げのように意図的に行方をくらまそうとしている場合、時間が経つほど追跡が困難になります。 プロの探偵は、張り込みや聞き込みなど、多角的な手法を同時に進めるため、情報が古くなる前に解決へと導くことが可能です。これにより、再会や問題解決の機会を逃すリスクを大幅に減らせます。
裁判の証拠として利用できる情報が得られる

探偵が作成する調査報告書は、裁判に提出できる証拠資料として有効です。例えば浮気相手の住所を特定した報告書は、慰謝料請求の基礎資料として活用できます。
報告書には、いつ、どこで、誰が、どのように行動したかが客観的に記録されており、その情報が法的効力を持つことが強みです。
法律に則った安全な調査が可能
探偵業法に基づき届け出を行っている事務所であれば、違法性のない安全な調査が保証されます。依頼者自身がリスクを負うことなく、安心して情報を入手できる点が大きなメリットです。自分で違法な手段に手を出して後で後悔するよりも、初めからプロに任せる方が賢明な選択といえるでしょう。
無許可の業者や悪質な業者に依頼すると、高額な費用を請求されるだけでなく、個人情報の不正取得など違法行為に巻き込まれるリスクもあります。 法律を遵守する探偵に依頼することで、プライバシー侵害や損害賠償といったトラブルを未然に防ぎ、精神的な負担を最小限に抑えられます。
転居先は自力で調べるのでなく探偵に依頼がおすすめ
転居先調査は、自分で手軽にできる方法がある一方で、プライバシー侵害のリスクや、法的に有効な証拠が得られないといった限界があります。とくに、相手が意図的に行方をくらましている場合、個人での捜索は時間と労力の無駄に終わりがちです。
安全かつ確実に目的を達成するためには、探偵に依頼するのが最も賢明な選択と言えます。探偵は、専門的な調査力と合法的な手段で、依頼者の代わりに効率的に転居先を特定します。また、裁判で通用する報告書を作成してくれるため、法的トラブルの解決にも役立ちます。自分で抱え込まず、プロの力を借りることで、精神的な負担も軽減できるでしょう。

