配偶者の不倫を疑い始めたとき、最も厄介なのが「相手も既婚者」というダブル不倫です。関係者が増えることで、慰謝料・離婚・相手配偶者とのトラブルなど、問題は一気に複雑化します。
本記事では、ダブル不倫の危険性、早期発見のポイント、発覚後の対処法までをわかりやすく解説します。感情だけで動く前に、まずは正しい知識を身につけてください。
- ダブル不倫が始まるきっかけ
- ダブル不倫の経験談や発覚パターン
- ダブル不倫を放置する危険性と対処法
ダブル不倫とは?

ダブル不倫とは、双方が既婚でありながら配偶者以外と恋愛関係・肉体関係を持つ行為です。通常の不倫の場合、当事者は不倫をしている加害配偶者、不倫相手、不倫をされた被害配偶者の3人ですが、ダブル不倫の場合は不倫相手の配偶者も加わった4人となり、発覚した際の混乱も大きく、問題が表面化しやすいという特徴があります。
不倫相手が既婚かどうかでリスクが大きく変わる
片方のみが既婚の不倫(一般的な不倫)では、慰謝料問題は基本的に「既婚者側の配偶者 vs 不倫相手」という形になります。しかしダブル不倫の場合は、不倫当事者双方が配偶者から慰謝料請求される可能性があるため、金銭面のリスクも倍増します。さらに相手家庭の状況や配偶者の性格によっては話し合いがこじれたり、社会的制裁(会社への連絡など)に発展するケースも珍しくありません。
また、ダブル不倫は「既婚者同士だからバレにくい」と誤解されがちですが、実際にはどちらか一方の家庭で違和感が生まれると、連鎖的に発覚する傾向があります。双方が家庭を持っているため、会える時間の制約や連絡の取り方に無理が生じ、怪しさが表に出やすいからです。
このように、ダブル不倫は当事者同士の秘密だけでは成立せず、4人の人間関係が複雑に絡む高リスクの行為だと理解しておく必要があります。
ダブル不倫が起こりやすい場面や状況
2020年に行われたインターネット調査によると、既婚男性の約5割、既婚女性の約2.5割は不倫経験があると回答しており、さらには不倫相手の婚姻状況のアンケートでは、約5割が既婚者同士で不倫をしているダブル不倫であることが判明しています。(※1)
ダブル不倫のきっかけになりやすい場面や状況は次のとおりです。
家庭や夫婦関係によるストレス
夫婦関係が冷え込んでいたり、育児・介護・家事の負担が偏っている家庭では、精神的ストレスから「誰かに癒されたい」という気持ちが強まり、異性に心が揺れやすくなります。配偶者に相談しても改善が見込めない状況が続くと、職場やSNS上で自分の悩みを聞いてくれる異性に親近感を抱き、関係が深まってしまうケースもあるでしょう。
同窓会やSNSでの再会

過去を知る相手には安心感があり、「いまの自分を理解してくれるかもしれない」という期待が生まれます。特に既婚者は、日常生活のなかで自分の弱音を吐ける相手が限られているため、昔の同級生と再会すると一気に距離が縮まりがちです。LINE交換後に毎日のように連絡を取り合い、不倫関係に発展するパターンは非常に多い傾向があります。
仕事や職場での人間関係
職場はダブル不倫が最も多く発生する場所です。仕事の悩みを共有したり、残業・出張などで長時間一緒に過ごすことで、「理解してくれるのはこの人だけ」と錯覚しやすくなるためです。上司と部下、同僚同士、プロジェクトメンバー間で距離が縮まり、不倫関係に発展するケースが繰り返されています。
近所付き合いや子どもの保護者としての関わり
子どもの習い事・学校行事・自治会などをきっかけに仲良くなり、ダブル不倫へ発展した例も少なくありません。家庭事情を共有しやすい環境であるため、悩みや愚痴を打ち明けるうちに親密になり、「同じ境遇の人」との距離が縮まってしまうのです。
このケースのダブル不倫は、普段から家族ぐるみの付き合いがある場合も多く、発覚した際に大きなトラブルに発展する可能性が高いでしょう。
ダブル不倫をしている初期サイン
配偶者の行動が「何となくおかしい」と感じたとき、それは勘違いではなく“初期サイン”である可能性があります。ダブル不倫は、通常の不倫よりも慎重に進められる傾向がありますが、それでも日常のどこかに必ず変化が表れるものです。
ここでは、依頼者の相談にも実際に多くみられる「典型的な初期サイン」を紹介します。
スマホやLINEの扱いの変化
不倫をしている人の多くが、まず最初に変わるのはスマホの扱いです。
- お風呂・トイレまでスマホを持ち歩く
- LINEの通知をオフにする
- 急にロックの桁数が増える
- スマホを下向きに置く
これらは不倫調査でも最も多い“目に見えるサイン”です。特にダブル不倫の場合、相手の家庭事情を考えながら連絡を取り合うため、深夜や早朝など、以前とは違う時間帯にスマホを操作するケースも増えます。
見た目の変化

服装や髪型に気を使うようになったタイミングは、非常にわかりやすい初期サインです。
たとえば以下のような変化が典型的です。
- 急に香水を変える
- 仕事用の洋服が増える
- ジム通いを始める
- 髪型を頻繁に変える
「既婚者同士」という関係性は刺激が強く、新鮮さがあるため、相手によく見られたい気持ちが強くなります。結果として、外見の変化が顕著に現れます。
残業や出張・休日出勤の増加
ダブル不倫では双方の家庭の目を避けるため、“仕事”が一番便利な言い訳になります。
- 残業が急に増えた
- 実態のない出張が増えた
- 休日に「会社に行く」と出かけるようになった
このような変化は要注意です。とくに、職場不倫の場合は仕事帰りに会いやすいため、定時で帰宅しなくなる傾向が顕著に現れます。
夫婦の会話やスキンシップの減少
ダブル不倫が始まると、相手への感情に気を囚われたり、外出が増えることで時間が奪われるため、家庭での会話が自然と減ります。
- 目を合わせなくなる
- 家族の予定に興味を示さない
- 夜の関係が減る、またはなくなる
また、感情が外に向いているため、些細なことでイライラしたり、逆に妙に優しくなるという“温度差の変化”も初期サインとして見られます。
その他の不自然な行動の変化
初期段階で出るサインは上記が中心ですが、次のような変化にも要注意です。
- 車の走行距離が増える
- クレジットの利用明細が不自然に増える
- 自分の予定を細かく聞いてくる
- 家族よりも「自分の時間」を優先するようになる
複数のサインが重なりはじめたら、ダブル不倫の可能性は高くなります。違和感は問題の入口であり、早い段階で気づけるほど対処も容易になるでしょう。
ダブル不倫をされた既婚者の経験談

ダブル不倫と単なる浮気との大きな違いは、「相手にも家庭がある」ことです。そのため、発覚したときのショックや混乱は想像以上に大きくなります。ここでは、実際に相談者から多く寄せられるケースをもとに、典型的な3つの体験談を紹介します。配偶者の行動に違和感を抱えている方にとって、状況を整理するための参考になるはずです。
体験談① 夫の同窓会を境に急に冷たくなった(妻・40代)
数年前から夫との会話は少なめでしたが、決定的に雰囲気が変わったのは同窓会の後でした。
同窓会から帰ってきた夫はやけに上機嫌で、その後スマホを手放さなくなりました。夜になるとベランダに出てコソコソ電話をしており、「仕事の相談」と言い張る夫に不信感が募っていきました。
やがてスキンシップが激減し、休日出勤が増え、家庭より自分の世界を優先するように。決定的だったのは、夜中にLINEの着信音が鳴り、それを見た夫が過剰に取り乱した瞬間でした。
その後、探偵に調査を依頼したところ、同窓会で再会した既婚女性と不倫関係にあることが判明。 相手にも家庭があるため、発覚後は双方の家族を巻き込む大騒動になりました。
体験談② 妻の“優しさ”が不自然だった(夫・30代)
妻が浮気しているとは思っていませんでした。むしろ、ある時期から急に優しくなり、家事も完璧、子どもにも以前より積極的に関わるようになったほどです。しかし、その「完璧さ」こそが不倫のサインだったのです。
遅く帰っても怒らず、スマホを肌身離さず持っているのにロックは絶対に解除しない。ある日、妻の車の走行距離が不自然に増えていることに気づき、問い詰めても「買い物」としか答えませんでした。
疑念がピークに達し調査を依頼したところ、同じ保護者の既婚男性と、平日の昼間にホテルで会っていることが判明。私に優しくなった理由は、「罪悪感を薄めるため」だったと知り、深いショックを受けました。
体験談③ 「仕事の仲間」と言っていた相手が既婚者だった(妻・50代)
夫は仕事熱心で、取引先の担当者と連絡を取ることも多い人でした。ある頃からその担当者(女性)の名前を頻繁に口にし、飲み会や出張も増えました。私は「単なる仕事仲間」と思っていましたが、夫がその女性との会話だけ妙に嬉しそうだったのが引っかかっていました。
ある日、夫が酔って寝てしまい、スマホにメッセージが届いたとき、画面に「早くあなたに会いたい」という文字が見えてしまいました。
調査の結果、その女性も既婚者で、2人は半年以上不倫関係にあったことが判明。相手の夫から連絡が入り、慰謝料請求の話まで進んだため、事態は大きな問題に発展しました。
体験談からわかるダブル不倫が発覚する4つのパターン
実際の体験談を分析すると、ダブル不倫が発覚するきっかけには一定の傾向があります。「偶然の発見」というより、日常の中の小さな変化が積み重なって明らかになるケースが多いのです。ここでは、相談者から寄せられる事例で特に多い4つの発覚パターンを紹介します。
スマホの通知やアプリから発覚するパターン

最も多いのが「スマホがきっかけで気づいた」というケースです。通知の表示名を非表示にしたり、急にロックを変更したり、深夜に着信が増えたことで不自然さが浮かび上がります。
特にダブル不倫の場合、相手も既婚者のため、連絡が深夜・早朝など家庭のスキマ時間に偏る傾向があり、通知音で異変に気づく人は少なくありません。
また、LINEのサブアカウントや特定のメッセージだけ非表示にする行為も典型的です。「スマホを肌身離さなくなった」という変化も重要な初期サインになります。
行動パターンの変化から発覚するパターン
次に多いのが、「これまでの生活リズムと明らかに違う行動」が現れた場合です。たとえば、急に残業が増える、出張が増える、休日に一人で出かけることが増えるといった変化が挙げられます。
ダブル不倫はお互い家庭があるため、どうしても“限られた時間”を作ろうとします。その結果、以前とは違うスケジュールが目立つようになり、パートナーに気づかれるのです。
車の走行距離、レシート、交通系ICカードの履歴など、日常の痕跡から行動の矛盾に気づくケースも多く見られます。
急に優しく/冷たくなるパターン
意外と多いのが「態度の急変」です。罪悪感から急に優しくなる人もいれば、逆に冷たくなり距離を置くようになる人もいます。
優しくなるケースでは、普段より家事を手伝う、子どもと過剰に遊ぶ、パートナーに感謝の言葉を増やすなど“取り繕う行動”が見られます。反対に冷たくなるケースでは、会話を避ける、スキンシップが減る、些細なことで攻撃的になる傾向があります。
どちらも「心ここにあらず」の状態で、気持ちが外に向いている兆候と言えます。
相手または相手の家族からの接触で発覚するパターン
ダブル不倫ならではの発覚理由が「相手の配偶者から連絡が来た」というケースです。相手側の家庭で不倫が先に発覚し、そこから自分の家庭に連絡が入るパターンは決して珍しくありません。
また、相手の配偶者が調査を依頼しており、その調査結果に自分の配偶者の名前が含まれていた…というケースも存在します。
ダブル不倫は2つの家庭を巻き込むため、発覚後は一気に事態が大きくなる傾向があります。
ダブル不倫発覚後に考えるべき4つのこと
ダブル不倫が発覚すると、多くの方が「怒り」「失望」「混乱」のなかで何から手をつけるべきか分からない状態になります。しかし、感情だけで動いてしまうと後悔やトラブルにつながるため、まずは冷静に状況を整理することが重要です。
ここでは、発覚後に最初に考えておくべき4つのポイントを紹介します。
離婚か再構築かをどう判断するか

最初に向き合うべきなのは「これから夫婦としてどうするのか」という根本的な選択です。
離婚を選ぶのか、再構築を目指すのかで、必要な行動も準備すべき証拠も大きく変わります。つい感情で決めてしまいがちですが、ダブル不倫の場合は相手にも家庭があるため、周囲の状況も複雑です。
夫婦関係を続けたいのか、離婚後の生活に不安はないか、子どもの環境はどうなるのかなど、複数の視点から冷静に判断することが求められます。
子どもへの影響を最小限に抑える方法を考える
ダブル不倫の問題で最も守るべき存在が「子ども」です。
夫婦間の緊張や喧嘩が増えると、子どもは敏感に変化を感じ取ります。また、離婚を選択する場合、親権・養育費・面会交流など現実的な問題も避けて通れません。
子どもが精神的に不安定にならないよう、家庭内での会話や態度に配慮しつつ、必要であれば専門機関のサポートを利用することも大切です。
慰謝料請求はできるのかを整理する
ダブル不倫の場合、「配偶者」と「不倫相手」の両方に慰謝料を請求できる可能性があります。ただし、相手が既婚者の場合、相手側の配偶者も同時にあなたの配偶者に慰謝料を請求してくることがあるため、金銭面でのリスクは通常の不倫より大きくなる傾向があります。
慰謝料請求には証拠が必要で、証拠の有無によって請求額が大きく変わるため、法律的に有効な証拠が揃っているかを早めに確認することが重要です。
証拠をどう押さえるか
最も重要なのが「証拠の確保」です。不倫関係を認めさせるにも、慰謝料を請求するにも、離婚を有利に進めるにも、証拠がなければ話が前に進みません。
しかし、ダブル不倫は相手も警戒しているため、自分で無理に証拠を集めようとすると関係が悪化したり、逆に警戒されて証拠を消されてしまう可能性があります。
冷静に状況を見極め、必要であれば専門家の調査を利用し、確実な証拠を押さえることが長期的に見て最も安全な選択になります。
ダブル不倫を放置すると危険な理由
ダブル不倫は、発覚した時点で早急に対処し、問題を解決する必要があります。「そのうち終わるだろう」「自分が我慢すれば家庭は壊れない」などと考えて放置していると、問題が深刻化し、取り返しのつかない結果につながる可能性が高くなります。相手にも家庭があるという点が、通常の不倫よりも事態を複雑にしているのです。
ここでは、放置すると特に危険な3つの理由を解説します。
相手の配偶者が動き出す可能性がある
ダブル不倫は、相手側の配偶者に気づかれると、一気に表沙汰になります。相手の家庭で先に不倫が発覚し、相手の配偶者が証拠を集めてあなたの家庭に連絡してくるケースは少なくありません。
また、相手側が弁護士を通して慰謝料請求を行うと、こちらの状況や希望に関係なく法的手続きが進んでしまうでしょう。「知らないうちに訴えられていた」「突然、内容証明が届いた」という事例もあり、放置すればするほどコントロールできない状況に陥るリスクが高くなります。
子どもに影響が出てしまう

夫婦関係が不安定な状態が続くと、真っ先に影響を受けるのは子どもです。
前述のとおり、家庭内の空気がぎくしゃくしたり会話が減ったりすると、子どもは敏感に変化を感じ取り不安定になります。さらにダブル不倫は「相手の家庭」も巻き込むため、トラブルが長期化しやすく、家庭全体のストレスが増す傾向があります。
PTAや自治会などを通して知り合ったダブル不倫の場合は、特に注意が必要です。子ども同士が顔見知りであるパターンも多く、発覚すれば子どもの交友関係に大きな溝を作ったり、いじめにつながる可能性も出てくるでしょう。
夫婦関係の修復が遅れれば遅れるほど、子どもの精神状態や学業に影響する可能性も高まるため、早期に方向性を決めることが重要です。
夫婦関係の再構築が難しくなる
ダブル不倫を長期間放置すると、配偶者の気持ちがさらに相手へ傾き、夫婦関係の修復が難しくなります。不倫相手との関係が深まるほど、こちらとの会話やスキンシップが減り、距離が広がってしまうためです。
また、相手も既婚者であるため「お互いの家庭で不満を共有し、結束が強くなる」というケースもあります。その結果、戻るタイミングを失ったり、「自分の気持ちはもう戻らない」と一方的に離婚を切り出されてしまうことも。
ダブル不倫は放置すれば自然に収まるものではなく、むしろ問題が進行しやすいのが特徴です。早期に状況を把握し、冷静に対処することが問題解決の第一歩となります。
ダブル不倫を理由に離婚や慰謝料請求をする際の注意点

ダブル不倫を理由に離婚や請求をする際、特に重要なのは 「証拠の有無」 と 「どこまで責任追及できるか」 を冷静に判断することです。
慰謝料が認められる・認められないケースの違い
慰謝料請求が認められるためには、不貞行為(肉体関係)が客観的に確認できる証拠が必要です。ラブホテルの出入り写真、肉体関係を示すやり取り、継続した関係が分かるメッセージ履歴などが該当します。一方で、食事や親しげなLINEだけでは慰謝料が認められないケースもあります。また、「夫婦関係の継続性」も重視されるため、夫婦関係が既に破綻していた場合も請求が否定されることがあります。
さらにダブル不倫では、不倫相手だけでなく 相手の配偶者とのトラブルも発生しやすく、請求する側が逆に慰謝料を請求される可能性もゼロではありません。
法的判断はケースごとに異なるため、感情だけで動くのではなく、証拠を整理し、専門家に相談したうえで進めることが安全です。
証拠は削除されない形で時系列管理を
証拠はできるだけ時系列で、削除されない形で保存することが重要です。LINEの画面キャプチャ、ホテルの出入り写真、行動記録などは、後から追補しやすいよう整理しておきましょう。
ダブル不倫が発覚したら早期の判断・対処が鍵
ダブル不倫は、関係者が多い分だけ問題が複雑化しやすく、放置するほど状況は悪化します。感情的になる前に、まずは事実関係を冷静に確認し、証拠の確保や今後の方針を整理することが大切です。
離婚・再構築・慰謝料請求など、どの選択肢を取るにしても早期の判断が鍵となります。一人で抱え込まず、探偵事務所や弁護士など専門家のサポートを受けながら適切に対処することで、将来のリスクを最小限に抑えられます。

