配偶者がダブル不倫している場合の注意点と対処方法

ダブル不倫のリスク

配偶者が不倫していることが判明したら、誰でも大きなショックを受けるものです。
まして浮気相手にも配偶者がいる「ダブル不倫」状態だったら、どう対応すれば良いのでしょうか?

ダブル不倫には通常の不倫とは異なる、さまざまなリスクがつきまといます。
不倫した当事者だけではなく不倫された配偶者としても、対処方法に注意が必要となるでしょう。

この記事では、ダブル不倫のリスクと対処方法について解説します。

ダブル不倫の定義とは?

ダブル不倫とは、当事者の双方に配偶者がいる場合の不倫です。
女性と男性が不倫関係となって交際しているとき、女性側に夫がいて男性側に妻がいたらダブル不倫と言えます。

一般的な不倫の場合、一方は既婚者で他方は未婚というケースが多くなっていますが、ダブル不倫の場合「どちらも既婚者」という特殊性があります。

ダブル不倫のよくあるパターン

そんなダブル不倫には、以下の2種類のパターンがあります。

割り切った関係

どちらも既婚者なので「将来の結婚」を視野に入ず、

「今の家庭を壊したくないけれど非日常を味わいたい」
「家庭に大きな不満があるわけではないけれど、刺激がほしい」

と、お互いが割り切った気持ちで付き合うことで、現実逃避やストレス解消を目的としてダブル不倫をする方が多いです。

本気になってしまうケース

ダブル不倫でもお互いが本気になってしまうケースがあります。その場合、両方が離婚しなければ再婚できないので、2組の夫婦を巻き込んだ大きな離婚騒動へと発展するリスクがあります。

ダブル不倫されたときのリスクは離婚だけじゃない!?

ダブル不倫の場合、一方当事者のみが既婚のケースにはないさまざまなリスクが発生します。

次に配偶者にダブル不倫されたときのリスクを解説していきましょう!

離婚リスク

配偶者がダブル不倫していると知ってしまったら、離婚を考える方も多いです。

しかし離婚となると慰謝料や財産分与、親権問題などいろいろなことを検討しなければなりません。
離婚後の生活の目処を立てる必要もあります。

またこちらとしては「できれば離婚したくない」と思っていても、ダブル不倫にのめり込んだ配偶者が不倫相手と再婚したいために「離婚してくれ!」と迫ってくるリスクもあります。

不倫相手の配偶者から慰謝料請求されるリスク

あなたの配偶者のダブル不倫が発覚すると、相手の配偶者からあなたの配偶者へ慰謝料請求されるリスクが発生します。
配偶者と離婚しないで相手の配偶者に慰謝料を払うと、家計へのダメージも大きくなってしまうでしょう。

相手の配偶者が不倫に気づいていなければ慰謝料請求されませんが、慰謝料請求権の時効は「不倫の事実と不倫相手を知ってから3年」あります。不倫に気づいた時点で慰謝料請求されてしまう恐れがあるのです。

一方、離婚する場合には、配偶者と家計が別になるので上記のリスクはありませんが、配偶者から財産分与や慰謝料をしぶられる可能性があります。

配偶者はあなたと相手の配偶者の両方から慰謝料請求されることになり、金銭的な余裕がなくなる可能性があるからです。

多額の離婚慰謝料を請求しても「向こうの配偶者からも請求されているので、君には多くを払えない」などと言われて支払いを拒絶されるケースも珍しくはありません。

相手の家庭を崩壊させるリスク

ダブル不倫の場合、相手にも家庭があります。

相手の配偶者に不倫を知られると、相手の家庭が崩壊する危険性も…。配偶者の身勝手な行為によって他人の家庭まで壊してしまうのは罪深い行為といえます。

相手の家庭に子どもがいたら、会ったことのない相手の子どもから一生恨まれるかもしれません。

不倫されたあなたも被害者なので、本当は罪の意識を感じる必要はないのですが、自分たち夫婦は離婚せずに済んで相手夫婦だけが離婚に至ったら、「相手の家庭を崩壊させた」という罪悪感を抱えてしまうこともあるでしょう。

慰謝料請求が交差してトラブルが拡大するリスク

ダブル不倫の場合、不倫された配偶者がお互いに慰謝料を請求するケースも多く、相手の夫や妻からあなたの配偶者を訴えられる危険性も高いです。

つまり夫婦単位でみると、慰謝料の「クロス請求(クロス払い)」の状況が発生します。

たとえばAさん(男性)とBさん(女性)が交際しており、どちらにも配偶者がいるとします。Aさんの妻はBさんへ慰謝料請求できますし、Bさんの夫はAさんへ慰謝料請求可能です。

夫婦間でお互いに慰謝料請求をして払い合っても経済的にはあまり意味がなく、トラブルだけが無駄に大きくなってしまうリスクがあります。

職を失うリスク

日本の法制度では、不倫を理由に解雇できません。しかし社内不倫の場合、異動などの措置をとられる可能性が高いでしょう。

また解雇されないとしても、周囲からの目線が厳しくなったり昇進が難しくなったりして、結果的に自主退職に追い込まれることも…。一家の大黒柱である夫がダブル不倫していたら、会社を辞めざるを得なくなって家族が生活に困ってしまいますよね。

信用を失うリスク

ダブル不倫をしていることが会社や世間に知られたら、大きく信用が低下するでしょう。

たとえ会社に残れたとしても部下などが今までのように指示に従わなくなる可能性があります。実家の両親や兄弟、友人知人との関係が悪化してしまうケースも少なくありません。

配偶者と離婚すれば関係なくなることですが、離婚しない場合には配偶者の信用低下にともない、被害者であるはずの自分自身の人間関係もおかしくなってしまう可能性があります。

不倫は家族だけでなく社会からの信用を損ねてしまう行為なのです。

不倫相手の子供を妊娠する(させてしまう)リスク

ダブル不倫で双方が割り切った関係と認識していても、不倫相手である女性が妊娠すると状況が変わってしまうものです。

中絶するか産むかで意見が合わずトラブルになるケースも多いですし、別れるとしても男性側が女性側へ誠実に対応しなかったために慰謝料トラブルが発生するケースもあります。

お互いの配偶者に妊娠が発覚し、離婚や不倫慰謝料も交えた大問題に発展してしまうリスクもあります。

ダブル不倫が行われると、双方に配偶者がいるので単純にリスクも二倍になります。配偶者にダブル不倫されたときには通常の不倫のケース以上に慎重な対応が要求されます。

ダブル不倫されたときにしてはいけないこと

配偶者にダブル不倫されたとき、してはいけないこと、すべきではないことがいくつかあります。

相手の配偶者へ連絡

ダブル不倫されるとくやしくなって不倫相手の配偶者へ連絡してしまう方が多数おられます。不倫相手の夫に「あなたの奧さんが私の夫と不倫していますよ」などと告げるパターンです。

しかしそのようなことをすると、相手の夫はあなたの夫に慰謝料請求してくるでしょう。

夫と離婚するにしても、夫婦関係を続けるにしても、金銭的なダメージが及んでしまいます。

ダブル不倫の場合、不倫相手の配偶者に「同じ被害者の立場」という共感を持ち、連絡したくなるものですが、長い目で見ると告げてもあまり良いことはないので控えましょう。

ネットでの悪口

ダブル不倫は通常の不倫よりも不道徳な印象を強く受けるものです。

そこで、ついついネットなどで不倫の事実をぶちまけてしまう方がおられます。たとえば「〇〇はダブル不倫している最低な女」と書いたりブログに延々と恨み言を書いてしまったりするパターンです。

しかしこれは、「名誉毀損」などの違法行為になります。

またダブル不倫の場合、相手の配偶者がネット上の情報を見て不倫に気づいてしまい、あなたの配偶者へ慰謝料請求するきっかけになってしまうリスクも発生します。

暴力、脅迫

ダブル不倫されると、くやしくなって相手に暴力を振るったり「慰謝料を払わないと旦那さんに言うぞ」などと告げて脅迫、恐喝したりする方がおられます。

しかし暴行や脅迫、恐喝は違法行為であり、してはいけません。また不倫相手を傷つけると、不倫相手の配偶者が怒ってあなたの配偶者に対し、強硬な態度で通常よりも高額な慰謝料を請求してくるリスクもあります。

トラブルを大きくしないためにも、乱暴な言動はせずに冷静に対応しましょう。

慰謝料請求する際の注意点

ダブル不倫の場合、不倫相手に慰謝料請求をするときにも注意が必要です。

相手の配偶者に知られるリスク

ダブル不倫で不倫相手に慰謝料請求するときには、相手の配偶者に不倫を知られるリスクに配慮が必要です。相手の配偶者がすでに不倫を知っていたら気にする必要はありませんが、まだ知らない場合、慰謝料請求をきっかけに知られてしまう可能性があるからです。

たとえば内容証明郵便で慰謝料請求書を送ったところ、それを相手の配偶者に見られて不倫を知られるかもしれません。ダブル不倫で慰謝料請求するときには細心の注意が必要です。

離婚しない場合、慰謝料は低額になる

ダブル不倫でも不倫が違法行為であることには変わりないので、不倫された側は不倫相手に慰謝料請求できます。

ただし夫婦が離婚しない場合、不倫の慰謝料は低額になり相場は100万円以下です。
一方夫婦が離婚する場合、慰謝料の相場は最低100万円、高額になると300万円以上となります。

こちらの夫婦は離婚せず相手夫婦だけが離婚する場合、相手に支払う慰謝料の方が大幅に高額になり、経済的に大きな損失になってしまう可能性があります。

ダブル不倫が発覚したとき「こちらは離婚しない、相手の配偶者はまだ不倫に気づいていない」状況であれば、あえて慰謝料請求をせずトラブルを避けた方が良いケースも多々あります。

ダブル不倫されたときに考えるべきこと

配偶者にダブル不倫されたら、以下のようなことを考えてみて下さい。

そもそも離婚するかどうか

まずは配偶者と離婚するか考えましょう。以下のようなことを基準にして検討してみてください。

  • 配偶者がどのくらい不倫相手にのめり込んでいるか
  • お互いに夫婦関係を修復する気持ちがあるか
  • 小さい子どもがいるのか
  • 不倫関係は確実に清算されるのか

離婚するかどうかでその後のとるべき対応が大きく異なってきます。

慰謝料請求するかどうか

次に不倫相手に慰謝料請求するかどうかを決めましょう。

自分たち夫婦が離婚するのか、相手の配偶者がダブル不倫に気づいているのかによって対処方法が変わってきます。

自分たち夫婦が離婚しないなら、慰謝料はあまり高額にならないので「あえて請求しない」という選択肢もありえます。
反対に離婚するなら、できるだけ高額な慰謝料を請求した方が良いでしょう。

相手の配偶者が気づいていないなら、あえて慰謝料請求をせずトラブルを拡大させない方向も検討すべきです。
一方、相手の配偶者が気づいていてこちらへ慰謝料請求しようとしているなら、今更遠慮する必要はないのでしっかり慰謝料請求すべきです。

不倫慰謝料請求の時効について

ダブル不倫が発覚したとき、不倫相手に慰謝料請求しようかどうか迷う方が多数おられます。
ただ慰謝料請求はいつまででもできるわけではないので注意が必要です。時効が適用され「不倫の事実と不倫相手を知ったときから3年」で請求権が消滅してしまうためです。

2020年4月から改正民法が施行されて時効期間が変更されますが、不倫の慰謝料請求権の時効についてはこれまでと変わらず「3年間」です。

慰謝料請求を迷っていて3年が経過したら、法的に慰謝料を請求できなくなってしまいますし、時効が成立しなくても、時間が経つと証拠集めなども難しくなるものです。

慰謝料を請求するなら早めに行動を起こした方が良いですし、すぐに慰謝料請求しなくても早めに「証拠」だけは手元に固めておきましょう。

ダブル不倫されたときにすべきこと

配偶者のダブル不倫が発覚したら、以下のように対処を進めてみてください。

証拠を集める

「不倫の証拠」がなければ不倫相手に対する慰謝料請求も満足にできませんし、配偶者との離婚の交渉や調停・裁判でも不利になってしまいます。
不倫の証拠になるのは、以下のようなものです。

  • 性的な画像や動画
  • LINEやメール、SNSのメッセージ
  • ブログの記事
  • クレジットカードの明細書、領収証
  • スケジュール帳の記録
  • 交通ICカード、ETCカードの履歴
  • 浮気相手に書かせた「自認書」
  • 電話の通話履歴

自分で証拠を集めるのが難しい場合には探偵事務所に依頼して尾行調査してもらいましょう。
浮気現場を押さえることができれば、探偵事務所が「調査報告書」を作成してくれます。

きちんとした調査報告書があれば、将来慰謝料請求や離婚の裁判になっても有効な証拠として使えます。

ただし有効な方法で調査を行い信用性の高い調査報告書を提出してもらうには、探偵業者の選び方が大切です。
これまでの実績などを確かめて依頼前に調査方法を確認し、きっちり見積もりを出してもらって依頼する探偵事務所を選定しましょう。

離婚するかしないか、それぞれの対応は?

不倫されても一時の気の迷いで確実に相手と別れるのであれば、いったんは夫婦関係を修復するのも選択肢の1つとなります。一方配偶者が不倫相手にのめり込んで家庭に戻るつもりがない場合、子どもがいない場合などには離婚の方向へと傾くでしょう。

離婚は人生における一大事ですので、状況に応じて最善の選択をすべきです。一人で判断できない場合、弁護士に相談してみてください。

離婚しない場合は相手の配偶者に気づかれないように慰謝料請求する

離婚しない場合、相手の配偶者が不倫に気づいているかどうかで対応が異なります。

相手の配偶者が気づいていないなら、気づかれないように慎重に不倫相手に慰謝料請求を進めましょう。

ただし慰謝料請求がきっかけで気づかれるリスクがあるのと慰謝料もあまり高額にならないため、「慰謝料請求をしない」という選択もありえます。状況に応じて判断してみてください。

相手の配偶者が気づいていれば慰謝料について4者間和解をする

相手の配偶者が不倫に気づいているなら「4者間和解」がおすすめです。

4者間和解とは、両方の夫婦が離婚しないことを前提に「お互いに慰謝料請求しない」と4人で和解することで、夫婦がお互いに慰謝料請求をし合っても意味がないので、4人で「慰謝料を請求せず2人は別れてそれぞれの夫婦がやり直す」とする建設的な合意です。

4人全員が不倫の事実を知っており、2組の夫婦とも離婚せずにやり直す場合に非常に有効な対処方法です。

離婚する場合は慰謝料や財産分与についても検討しよう

ダブル不倫した配偶者に愛想を尽かして離婚するなら、きっちり慰謝料や財産分与をもらいましょう。子どもがいるなら親権についても話し合う必要があります。子どもを相手に任せられないなら、こちらで引き取って養育費もきっちり払ってもらいましょう。

ただしダブル不倫の場合、相手の配偶者からも慰謝料を請求されるため「お金がないから支払いたくても支払えない」などと言われる可能性があります。その場合、慰謝料や財産分与の分割払いを認めて公正証書を作成するなどの方法で対処する必要があるでしょう。

まとめ

配偶者のダブル不倫が発覚したら、まずは気持ちを落ち着けて証拠集めから始めましょう。必要に応じて探偵事務所や弁護士に相談しながら不利益を最小限度にとどめられるように対処してくださいね。