配偶者に不倫されると、くやしい気持ちや不倫相手を「許せない」気持ちが込み上げ、仕返しをしてやりたくなりますよね。
しかし、この仕返しが「脅迫」や「誹謗中傷」に繋がることも。いくら不倫をされたからといって、脅迫や誹謗中傷は自分の身に不利益が及んでしまいます。
今回は「不倫されても、不倫相手にやってはいけないこと」をまとめました。問題行動によって発生するリスク、正しい対処方法をご紹介していきます。
不倫相手にしてはならない11個のこと
不倫されたとき、不倫相手にやってしまいがちですが「してはいけない行動」は以下の通りです。
- 脅迫
- 暴行
- 監禁する
- 無理矢理示談書を書かせる
- 無理矢理お金を払わせる
- 義務のないことを強要する
- 両親などの支払い義務のない人へ請求
- 会社へ押し掛ける
- 会社へ嫌がらせの電話や手紙を送る
- 無言電話などの嫌がらせ
- ネットで誹謗中傷
- 個人情報をばらまく
それぞれの内容や発生するリスクをみていきましょう。
不倫相手への脅迫
脅迫は、相手を脅す行為です。たとえば電話やメールなどで「殺すぞ」「子どもを誘拐するぞ」「不倫を会社にばらすぞ」などと告げると脅迫になります。
脅迫は違法なので、不倫相手を脅すと相手から損害賠償請求(慰謝料請求)される可能性がありますし、「脅迫罪」が成立して刑法による処罰を受ける可能性もあります。
脅迫罪が成立するケースとは
刑法上の脅迫罪に該当するのは、以下のように2パターンがあります。
相手や相手の親族に対する害悪を告知する場合
脅迫の対象は、相手または相手の親族です。「家に火をつけるぞ」「子どもや親を傷つけるぞ」などと告げると脅迫罪になります。
生命、身体、自由、財産、名誉に対する脅迫
生命や身体、自由、財産、名誉に対する害悪を告知すると脅迫罪になります。たとえば「殺すぞ」「殴るぞ」「示談書にサインするまで家に帰さないぞ」「財産を奪って破産させてやる」「不倫をネット上に公開してやる」などと告げた場合に脅迫罪になります。
脅迫罪の刑罰は…?
脅迫罪の刑罰は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。
不倫相手を脅迫すると、相手が警察や弁護士に相談してこちらが加害者扱いされてしまう可能性があります。示談交渉で不利になるだけではなく刑事事件になってしまうリスクがあるのでやってはいけません。
暴行
不倫相手に対する憎しみが募ると、相手に暴力を振るってしまう方もいます。
しかし暴力も違法行為なので、やってはいけません。
相手がけがをしなくても慰謝料請求される可能性がありますし、相手がけがをしたら治療費や休業損害などの費用も払わねばなりません。また暴力を振るった場合にも犯罪が成立し、暴行罪・傷害罪に問われる可能性があります。
暴行罪
相手に殴りかかったり大声で怒鳴り付けたり胸ぐらをつかんだりして暴力を振るうと暴行罪が成立します。相手がけがをしなくても罪になるので注意が必要です。
暴行罪の刑罰は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
傷害罪
相手に暴力を振るってけがをさせてしまうと傷害罪が成立します。相手に重傷を負わせて後遺障害が残ると、莫大な慰謝料が発生して刑罰も重く可能性が高いので注意が必要です。
傷害罪の刑罰は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑です。
相手に暴力を振るうと、慰謝料を払ってもらうのが難しくなりますし刑事事件に発展するリスクもあるので、絶対にやってはいけません。
監禁する
不倫相手が素直に支払に応じない場合など、相手を人気のない場所に連れてきて「慰謝料を支払うまで家に帰さない」などと言う人がいます。
しかし監禁は違法行為で刑法によっても処罰されます。刑罰は3か月以上7年以下の懲役です。
また監禁して無理矢理示談書を書かせても、次に説明する通り無効になってしまうリスクが高いので、意味がありません。
無理矢理示談書を書かせる
不倫相手に慰謝料請求をするとき、支払を拒絶されると無理矢理示談書にサインをさせようとする人がいます。たとえば不倫相手を人気のないところへ呼び出して数人で取り囲み、「サインしないと殴るぞ」「サインするまで帰さないぞ」などと言って署名押印を強要します。
しかし無理矢理書かせた示談書は無効になるリスクがあります。
強迫によって無理矢理書かされた場合、相手は「取消」ができるからです。
また示談書を書かせるときに相手を脅したら脅迫罪や強要罪などの犯罪が成立します。
暴力を振るったら暴行罪、監禁したら監禁罪が成立する可能性もありますし、次に説明する「恐喝罪」になってしまうリスクも発生します。
無理に示談書を書かせても慰謝料を払ってもらえないので、やってはいけません。
無理矢理お金を払わせる
不倫相手が慰謝料を払おうとしないとき、脅したり暴力を振るったりして無理矢理お金を払わせようとする方がいます。
たとえば「払わないと会社にばらすぞ」「払わないと殺す」などと脅して払わせたり、実際に殴ったり蹴ったりするケースです。
しかし、慰謝料を無理矢理払わせると「恐喝罪」が成立します。恐喝とは、相手に暴行や脅迫をして金品を巻き上げる行為です。
確かに不倫されたら相手に慰謝料請求できるので、慰謝料請求は正当な理由による請求です。
しかし法律上の権利があっても暴行や脅迫によって支払をさせると恐喝罪が成立します。恐喝は未遂犯でも処罰されるので、相手が実際には支払をしなくても、暴行や脅迫を行った時点で犯罪になります。
恐喝罪の刑罰は、10年以下の懲役刑です。相手が支払を渋っていても、暴行や脅迫の手段を頼ってはなりません。
義務のないことを強要する
不倫相手に対し、法律上の義務のないことを強要するとリスクが発生します。
たとえば以下のような行為です。
- 脅して土下座させる
- 「離婚しろ」と告げる
- 「会社を辞めろ」と告げる
不倫相手にも配偶者がいる「W不倫」のケースで自分たち夫婦が離婚することになると、相手夫婦にも同じ思いをさせようと「離婚しろ」と迫ったり、職場不倫で相手が仕事を続けていると、仕事をやめてほしいと思うかもしれません。しかし、不倫したからといって離婚しなければならない義務や、仕事を辞めるといった義務もありません。
暴行や脅迫によって無理矢理相手に法律上義務のないことを強要すると「強要罪」が成立する可能性があります。強要罪にも未遂犯があるので、相手が実際には会社を辞めたり離婚したりしなくても、犯罪になる可能性があります。
強要罪の刑罰は、3年以下の懲役刑です。
たとえ悔しい気持ちがあっても、相手に義務のないことを無理矢理させてはなりません。
両親などの支払い義務のない人へ請求
不倫相手が慰謝料を払おうとしないとき、不倫相手の両親など、法的な支払義務のない人へ請求する方がいますが、そもそも不倫相手の両親には慰謝料の支払義務がありません。
不倫相手の両親へ支払を強要すると強要罪や恐喝罪になってしまう可能性が高いです。刑法的な犯罪にならなくても、両親からは迷惑がられるでしょう。
しつこくしていると相手が弁護士に依頼して「これ以上連絡してこないように」などと警告書が送られてくる可能性もありますし、不倫相手がへそを曲げてますます慰謝料を払ってくれなくなるリスクもあります。
また両親が不倫の事実を知らなかった場合、両親に不倫を告げることによって不倫相手のプライバシーを侵害してしまう結果にもなりかねません。
慰謝料は、不倫した本人である不倫相手に支払わせるべきです。無関係な両親に支払いを求めるのは控えましょう。
会社へ押し掛ける
不倫されたとき、不倫相手の会社に押し掛ける方がいます。しかし会社で以下のような言動をとると違法行為になってしまう可能性があります。
他の社員がいる前で、「この人は不倫している!」と騒ぐ
不倫相手に対する名誉毀損になってしまう可能性があります。
会社の上司や社長などに「この人を解雇してください!」と告げる
不倫しても解雇理由にならないので、社長や上司などに解雇するように告げても意味がありません。また社長や上司が不倫を知らなかった場合、名誉既存やプライバシー侵害になる可能性があります。
不倫相手に対する誹謗中傷の発言をする
会社で不倫相手に対し「不倫女!」「あばずれ!泥棒猫!」などの誹謗中傷の発言をすると、周囲の人に聞かれて名誉毀損になる可能性があります。
会社で不倫相手を脅す、暴力を振るう
会社に押し掛けて不倫相手を脅したり暴力を振るったりすると、脅迫罪、恐喝罪や暴行罪、傷害罪が成立する可能性があります。
不倫相手がのうのうと仕事を続けていてくやしい気持ちがあっても、会社へ押し掛けるのはやめましょう。
不倫相手の会社へ嫌がらせの電話や手紙を送る
会社へ行かなくても、不倫相手の勤め先に連絡をして「御社の〇〇さんは不倫しているので解雇してください」などと告げる方がいます。電話をかけたりメールを送ったりなど、手段はさまざまです。
しかし、このような行為も違法になる可能性が高いのでやってはいけません。
まず、不倫の事実を知らない会社の人に不倫を知らせると「名誉毀損」になる可能性があります。
また、不倫しても会社には不倫相手を解雇する義務は無いので、このようなことを言っても意味がありません。迷惑がられるだけで終わってしまいます。不倫相手が気分を害し、慰謝料を払ってくれなくなる可能性も高くなってしまいます。
会社へ嫌がらせの連絡をしてもリスクしかないので、こういったことはすべきではありません。
無言電話などの嫌がらせ
不倫されると、相手に嫌がらせのメールやメッセージを送ったり無言電話をかけたりする人がいます。
相手の住所がわかっている場合には、つきまとったりピザなどの出前を注文する嫌がらせをしたりするケースもあります。このような嫌がらせも違法になる危険性があるのでやめましょう。
たとえば無言電話などでプレッシャーを与えて相手がノイローゼになると、それだけで「傷害罪」とされる可能性があります。
相手が怖がると弁護士や警察に相談し、トラブルが大きくなってかえって慰謝料の支払を受けにくくなるリスクも発生します。不倫されたら、嫌がらせではなく法的に正しい方法で対応しましょう。
ネットで誹謗中傷する
不倫相手が平穏に暮らしているのがくやしいため、以下のような相手の悪口をネット上に投稿するのも名誉毀損にあたる可能性があります。
- ブログに相手の悪口を書く
- TwitterなどのSNSで相手が不倫している事実を公表する
- ネット掲示板に相手の悪口を投稿する
- Youtubeなどの動画配信サイトで相手の不倫を糾弾する
ブログやネット掲示板、SNSなどのインターネットサイトは、世界中の誰もが閲覧できます。
こういった場所に相手の不倫の事実やその他の悪口を書くと「名誉毀損」になり、慰謝料を請求されたり刑事告訴されたりするリスクが発生します。
匿名でブログや掲示板での投稿をした場合でも、相手が法的手段をとれば投稿者が特定されてしまうので「ばれないから大丈夫」などと考えてはいけません。
個人情報をばらまく
不倫相手に仕返しをしようと思い、ネットなどに相手の個人情報をばらまく方もおられます。たとえば相手の住所、電話番号やメールアドレスをネット掲示板に貼り付けたり、出会い系サイトに登録したりする場合などです。
しかし相手の個人情報を勝手にばらまいたら「プライバシー権侵害」となり、相手から慰謝料請求をされてしまいます。示談どころではなくなり、不倫慰謝料も払ってもらえなくなるリスクも発生するのでやってはいけません。
不倫相手に対する正しい対処方法
不倫相手に対し、感情的に嫌がらせなどを行うとかえって高いリスクが発生します。
そうではなく、以下のように正しい方法で対処していきましょう。
証拠を集める
不倫されたら、相手に慰謝料を請求すべきです。法律上、無理矢理会社を辞めさせたり離婚させたりはできませんが、不倫によって精神的苦痛を受けたらお金で賠償をさせるルールになっているからです。
そして慰謝料請求のためには証拠が必要です。証拠がなかったら、相手にしらを切られて泣き寝入りさせられてしまうかもしれません。不倫が発覚したら、まずは慰謝料請求のための証拠集めをしましょう。
- 不倫しているときの画像や動画
- 不倫相手と配偶者が交わしているLINEやメール
- 配偶者が不倫相手のところへ通っていることがわかる交通ICカードの記録、ETCカードの記録
- クレジットカードの明細書
- 不倫相手から贈られたプレゼント
- デートの予定などが書かれているスケジュール帳、日記
- 映画やテーマパークの半券など
- 探偵の調査報告書
内容証明郵便で慰謝料請求する
証拠が集まったら、不倫相手に慰謝料請求をします。
このとき、相手を脅したり暴力を振るったり監禁したりして、無理矢理支払をさせてはなりません。あくまで話し合いにより、自らの意思で支払わせましょう。
そのためには内容証明郵便を使って請求書を送る方法をお勧めします。内容証明郵便は手渡し式の郵便で特殊な書式になっているので、相手に強いプレッシャーを与えられるからです。
「支払をしない場合には訴訟や強制執行に進む準備があります」と書いておくと効果的です。
示談を成立させるコツ
内容証明郵便で慰謝料請求の通知書を送ったら、相手と示談金について交渉をしなければなりません。その際、重要なポイントを示します。
感情的にならない
こちらが感情的になると、相手も感情的になって示談が成立しにくくなります。
相手をなじらない
相手をなじると、相手が頑なになって支払いに応じにくくなります。
ある程度は妥協も必要
相手にお金がない場合、一定までの減額や分割払いに応じるなど妥協も必要です。ただし譲りすぎると不利になるので、判断に迷ったら弁護士などの専門家に相談してアドバイスしてもらうことをオススメします。
公正証書にする
示談書ができたら公正証書にしましょう。相手が支払をしないときにはすぐに差押えが可能となって、回収しやすくなります。
まとめ
不倫されたら、正しい方法で相手に対する慰謝料請求を進めましょう。当社は長年不倫や浮気調査に取り組んでおり、ノウハウも蓄積しております。配偶者の浮気で悩んだときには、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。親身になって最適なアドバイスをお約束いたします。