別居中の浮気の証拠の集め方!慰謝料請求の注意点と相場とは?

別居中に夫の浮気を知ってしまった…。出産で一時的に里帰りしていたが、そのすきに浮気をされてしまった…。

別居中だからといって、婚姻関係がある中での浮気は許されるものではありません。そこで今回は別居中の浮気について、証拠の集め方や慰謝料請求のポイントなどを解説していきます。

別居中は相手の状況が分からないからこそ、浮気の証拠を掴みにくく、不利な立場に置かれがちです。ぜひこの記事を通して「今、自分は何をすべきか?」を考えるきっかけにしてください。

この記事を読んでわかること
  • 別居中の浮気の証拠の集め方
  • 別居中の不貞行為の慰謝料請求の可否と注意点
  • 別居中の不貞行為での慰謝料請求の相場

別居中に浮気の証拠を集める際の注意点

別居中は、同居に比べて相手の行動を把握しづらく、実は有力な浮気の証拠を集めるのは非常に困難です。だからこそ、具体的な証拠の集める方を見ていく前に、浮気の証拠を集める際の注意点をしっかり確認しておきましょう。

注意点①:まだ別居に至っていないなら、今のうちに証拠を集める

もし今まだ別居を考えている段階の場合は、別居前に浮気の証拠を集められないかよく考えてみましょう。

証拠を集める際、同居の場合は自宅や共有の車にボイスレコーダーやカメラを仕掛ける行為は違法となる確率は低いですが、別居となってしまえば、そうした行為はプライバシーの侵害など法に抵触する可能性があり、違法性のある証拠は裁判や慰謝料請求で用いることができません。

そもためもし別居を考えている段階であれば、まずは今のうちに証拠を集められるだけ集めておきましょう。以下は、同居が前提ですが自分で行える具体的な浮気調査方法です。気になる場合は、どんな方法があるかをチェックしておきましょう。

注意点②:婚姻関係の破綻を指摘されないように工夫する

別居中の浮気で慰謝料請求を考えている場合は「婚姻関係の破綻」を指摘されない工夫を行いましょう。

「婚姻関係の破綻」とは、すでに婚姻関係を継続する意思が互いになく、婚姻に応じた共同生活への回復の見込みがない状態を指します。

例えば離婚を前提とした別居の場合は「婚姻関係がすでに破綻している」と考えられることが多く、もし別居中の浮気が断定されたとしても、不貞行為が夫婦間に与えた影響は薄いとされ、慰謝料などが認められないケースがあります。

こういった事態を防ぐためには、調停員や裁判官に「別居はしているが、婚姻関係が破綻しているとは言えない」という印象を持ってもらう必要があります。

それには例えば、子どもの年中行事に夫婦で参加したり、夫婦二人で今後の関係修復のために話し合いを行ったり、家族旅行に出かけたりと、なんらかの交流を持つことが大事です。別居中の浮気だからといって、責任逃れをさせないためにも、まずはこうした逃げ道を潰しておきましょう。

注意点③:違法性が高い場所での証拠集めを行わない

別居中に浮気の証拠を集めるのが難しいとしても、違法性のある証拠の集め方をしないようにしましょう。

例えば別居中であれば自分の家だからといって、パートナーがいないうちに家に入り、中にカメラやボイスレコーダーを設置してしまうのは、プライバシーの侵害に当たる可能性があります。

別居をしてしまうと、自分で証拠を集めることが非常に困難になってしまいますが、その場合はプロの探偵事務所に依頼するなども検討し、法に抵触しない確実な方法を選びましょう。

別居中の浮気の証拠の具体的な集め方

別居中の場合、実は自分で行える浮気調査はほとんどありません。

同居の場合は洗濯の時にポケットを確認する、夫婦共有の車の走行履歴や目的地を確認する、夫婦共有のPCの閲覧履歴を見返す、部屋にカメラやボイスレコーダーを置く、など色々な方法がありますが、別居となってしまえば、こうした細かな調査を行うことも難しくなってしまうのです。以下はその中でも数少ない別居中の浮気の証拠の集め方です。

パートナーを尾行する

別居中であれば、パートナーを尾行して浮気の証拠を押さえられないか考えてみましょう。具体的に不貞行為を証明できる証拠とは、以下のように相手との間に肉体関係があったことが分かるものが必要です。

  • ラブホテルから出入りする写真・動画
  • 肉体関係があったことが分かる、メールやLINE
  • 不倫相手の家に出入りがあったことが分かる写真・動画
  • 探偵事務所の調査報告書

上記のような証拠が、不貞の証拠として有効になります。

このため、別居中に相手を尾行することでこうした決定的な証拠を押さえることができるかもしれません。ただし素人の尾行は、相手に気づかれていしまう可能性が高いので、まずは見つからないことを大前提に尾行を行いましょう。

聞き込みを行う

もう一つ自分で行える浮気調査として、パートナーの友人や同僚といった人に現在の様子を聞く方法があります。

直接的に「浮気をしているか?」という質問では、質問される側も身構えてしまうため、「実は最近別居しているんだけど、パートナーの健康面とか大丈夫そうかな?」「最近は残業続きだって聞いているけど、今仕事ってそんなに忙しいの?」など、ある程度相手が答えやすい質問で最近の様子を探ってみましょう。

特に残業などがないにもかかわらず、なかなか夜に連絡がつかなかったり、休みの日はどこかに出かけていることが多いなどの情報を得ることができれば、別居中でも相手の行動パターンを把握することに繋がります。

ただ、聞き込みを行った人が疑いを持ち、パートナーにしゃべってしまうことを避けるためにも、聞き込みを行う相手は慎重に選びましょう。

探偵事務所に依頼する

別居中の浮気の証拠を集める、最も確実な方法は探偵事務所に依頼することです。

別居中であれば、相手の細かな動きを把握するのは難しく、自ら浮気の証拠を集める際も、法に抵触しない範囲での活動はできることが限られてしまいます。

その点プロに依頼すれば、裁判や慰謝料請求にも使える確かな証拠を集めてもらうことができます。

「金銭的に負担になる」「大事にしたくない…」という気持ちでためらうこともあるかもしれませんが、確かな証拠がないなか、すでに別居をしてしまっているなら、婚姻関係の破綻を理由に逃げられないためにも、どの選択が自分にとってベストかをよく考えて決めましょう。

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このように別居中にできる、浮気の証拠の集め方を見ていくと、素人では相手に調査していることを悟られることなく、離婚や慰謝料請求に役立つ証拠を押さえる方法はかなり限られていることがわかります。

今後の自分が前向きに進むためにも、お金や手間そして気持ちを整理し、自分はどうしたいかという気持ちにしっかり向き合い、どんな方法で証拠を集めるかを検討してください。

別居中に浮気による慰謝料は請求できるの?

別居中に離婚や慰謝料請求ができるかは、婚姻関係が破綻していたかという点が重要になります。

婚姻関係の破綻とは、以下のような状態を指します。

  • 夫婦に婚姻継続の意思がない状態
  • 夫婦生活を共同で行える見込みがない状態

このように、たとえ本当に別居中に不貞行為があったとしても、すでに婚姻関係が破綻している場合は、不貞行為が両者の関係を悪化させた一因とは言えないとされ、慰謝料請求などがしにくくなる可能性があるのです。

またこれとは逆に、別居中であっても例えば単身赴任であったり、里帰り出産であったり、一時的事情による別居状態ではあり婚姻関係の破綻が認められない場合は、不貞行為があれば慰謝料請求や離婚について認められることが多くなります。

以下から具体的にどんな場合が「婚姻関係の破綻」になるかを詳しく解説していきます。

浮気で慰謝料が発生する別居とは?

慰謝料が発生する別居とは、「婚姻関係の破綻」が認められない別居を指します。例えば、

  • 単身赴任のための別居
  • 里帰り出産のための別居
  • 関係修復のための一時的な別居
  • 1年以内の別居

単身赴任や里帰り出産などの場合は、一時的な事情による別居とみなされ「婚姻関係が破綻している」とされることはほとんどありません。

夫婦の不仲が原因の別居でも、その後の関係を修復するためという前向きな別居である場合は、同じように「婚姻関係が破綻している」とは言えず、浮気をした場合は慰謝料請求が行えます。

また婚姻関係の破綻には、別居の期間も深くかかわっており「別居して〇年たつから婚姻関係は破綻している」という確定的なことは言えなくても、おおよそ1年以内の別居であれば、破綻しているとみなされることは少ないとされています。

以下は実際に別居後の浮気でも、婚姻関係の破綻が認められず慰謝料請求ができた事例です。

被告は、Bと不貞行為をした当時…(中略)原告との婚姻関係が破綻していたと主張する。しかしBは平成19年10月以降原告と別居を始めたものの、ほぼ定期的に自宅に戻っていたし…(中略)Bと原告の婚姻関係が破綻していなかったことは明らかである。 (引用:東京地裁 平成24年11月12日 判決より)

このように「婚姻関係が破綻していない」、とされる別居を見てみると、定期的に連絡を取っている関係であったり、まだ別居の期間が短かったりなど関係修復の可能性がある別居を指すことがわかります。

浮気で慰謝料が発生しない別居とは?

次に慰謝料が認められにくい別居とは、浮気や不倫などで夫婦仲が悪くなり別居に至ったというのではなく、すでに別の理由で夫婦仲は冷め別居に至っており、その後浮気に至ったという場合です。

こういった場合、浮気の前からすでに夫婦仲は破綻しているため、不貞行為はあったものの、その行為自体が婚姻関係の継続に影響はしていないと考えられてしまうのです。

具体的には

  • 別居期間が長くなっている(およそ3年~5年以上)
  • 生計が完全に別となっている
  • 互いに連絡を取り合うことがほとんどない
  • すでに離婚調停中・訴訟中である

といった場合は「婚姻関係が破綻している」とみなされることが多く、その後の不貞行為に対しては慰謝料請求が難しくなってしまいます。実際の判例では、

夫婦は結婚後2子をもうけたが、妻は夫の暴力に耐えかね、離婚を決意し行動に移したものの離婚届けの提出までには至らなかった。

しかしその後妻は、職場の同僚に相談するうえで仲が進展し、同棲を開始し夫婦は没交渉になった。その後、妻側は離婚調停を行うも夫側が拒否、夫側が男性に慰謝料請求を行った。

この判決では一審では男性側に100万円の慰謝料請求を認めたが、2審の高裁では妻と夫の婚姻関係は破綻を認定し、消滅時効を認め慰謝料請求が認められなかった。(引用:東京高裁平成17年6月22日判決)

このように夫婦ともに、離婚前に別の異性との関係を双方が認めている場合でも、すでにその前から片方が離婚の意思を示していたり、完全に夫婦関係の破綻が認められる場合は、慰謝料請求が認められないケースがあるのです。

別居中の浮気による慰謝料請求の相場はいくら?

別居中の慰謝料の相場は、50万円~300万円程度と、同居の不倫慰謝料の相場とそれほど変わりません。これはもともと、不倫の慰謝料については法的な相場があるためです。法的な相場とは、不倫の慰謝料請求裁判を起こし、裁判所が相手に支払いを命じる時に使われる金額の相場です。

50万~300万とかなり開きがあるのは、

  • 結婚年数
  • 相手の生活能力
  • 不倫の度合いが悪質かどうか

など様々な観点から、ケースバイケースとなるためです。

以下は不倫慰謝料について、相場や高額になるケースなどを詳しく紹介しています。慰謝料について知りたい場合は合わせて読んでおきましょう。

別居中に浮気をさせない3つの方法

ここまで別居中の浮気の証拠の探し方や、慰謝料請求についての詳しいことを解説していきましたが、それでは別居中に浮気をされないように気を付けられることはないのでしょうか?

①こまめな連絡と気遣いを忘れない

別居中の浮気の原因の多くは、パートナーが近くにいないことによる寂しさといわれています。このため、浮気をさせない一番の方法は電話やLINE、そしてビデオ通話などを頻繁に行い、相手の寂しさを和らげてみてください。

一緒にいられないことで、互いに不安に感じている部分を少しでも埋めることができれば、不貞行為などに及ぶ前に家族のことが頭をよぎるかもしれません。

また離れているからこそ、「体は大丈夫?」「なんだか最近疲れていない?」など、労わる言葉を忘れずにかけることで『あなたのことをちゃんと気にかけていますよ』というメッセージを伝えることにもなります。

②突然の訪問を行う

別居中であっても、たまにはサプライズ訪問を行うのも浮気防止に繋がります。

家族と同居している場合は、夜遅くに帰ってくれば「こんな時間まで何をしていたの?」「誰と一緒にいたの?」などを追及される可能性がありますが、別居の場合はパートナーにそうした追及をされることがないといった気楽さから、魔がさしてしまう場合があるのです。

こういったことを防ぐために、いつも相手の都合に合わせるのではなく、サプライズで訪問するなど、相手の意表をついた訪問の仕方をしておけば「いつも安心できるわけじゃない」「バレたらまずい」といった心理が働き不貞行為を未然に防ぐことに繋がります。

ただこうしたサプライズは浮気や不倫を疑っているからではなく、パートナーを喜ばせるために行ったとしておくことで夫婦間の関係もよくなります。

③家族の動画や写真を送りあう

離れて暮らしているからこそ、『今』を伝えることを大切にしましょう。

別居中だとしても、子どもの何気ない日常を送ったり、最近取れた綺麗な身近な景色を送るなど、動画や写真を頻繁に送りあることで互いのつながりを感じられるようにしておきます。

家族の温かみ溢れる動画は、別居中の寂しさや疎外感、家族がいないことによるよくない意味での解放感を和らげ、夫婦や家族が繋がっているという一体感を生み出してくれます。

また一方が送るのではなく、何気ない日常だとしても写真や動画を送りあうことで、言葉にできない互いの近況を知る手助けにもなり、離れて暮らしていたとしても気持ちまで離れていくことを防ぐことにも繋がります。


このように別居中に浮気や不倫をさせない方法を見ていくと、寂しさや油断が別居中の浮気に影響を与えていることを確認することができます。離れて暮らしているからといって、心まで離れていかないためには互いに努力し合う関係であることが大切です。

まとめ

別居中に浮気の証拠を集めることは、簡単なことではありません。また別居の原因が不倫に関係ないことの場合は、どんなに悲しくても慰謝料請求自体が通らない可能性もあります。

そのためこの記事を通して別居中でもできる不貞の証拠の集め方や、別居中の慰謝料請求の要である「婚姻関係の破綻」とはどういったことを指すのかを知ることで、正しい制裁を加えられるようにしておきましょう。

離婚や慰謝料請求には、多大な労力と時間がかかってしまうものです。だからこそ、別居中だったという逃げ道を許すことなく、次のステップに進むために、納得できる結末が描けるようにぜひ知識を蓄えておきましょう。