お金を貸した相手が音信不通!警察に相談できケースや対処法を徹底解説

友人や知人にお金を貸したものの、相手が音信不通で困っているという人もいるでしょう。警察に相談しようと考えているかもしれませんが、お金の貸し借りトラブルは原則「民事不介入」のため、動いてもらえないことがほとんどです。しかし、状況によっては警察が動く可能性もあります。

この記事では、警察が動かない理由から、自分自身でできること、そして専門家である探偵に相談するメリットなどを詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • お金の貸し借りトラブルについての警察の対応
  • お金を貸した人が音信不通になった場合の対処法
  • 逃げた債権者について弁護士や探偵に相談する際の注意点

お金を貸した相手が音信不通!警察は動いてくれる?

お金を貸した相手が音信不通!警察は動いてくれる?

友人や知人、親族にお金を貸したものの、相手が音信不通になってしまい対応に悩んでいる人もいるでしょう。なかには、警察に相談して居場所を突き止めようと考えている人もいるかもしれません。しかし、お金の貸し借りに関する問題は、原則として警察が動いてくれません。

ここではお金を貸した相手が音信不通でも警察が動いてくれない理由を解説します。

お金の貸し借りは民事不介入の原則

警察は、犯罪捜査や治安維持を主な役割としています。お金の貸し借りのような個人間のトラブルには原則として介入しません。これを「民事不介入の原則」といいます。

貸したお金を返してもらえない、連絡が取れなくなったといった問題は、当事者同士で解決すべき民事上の問題と見なされるため、警察に相談しても「弁護士に相談してください」と言われることがほとんどです。この原則は、国家権力が個人の私的な契約関係に不当に介入することを防ぐために設けられています。

相手に善意でお金を貸した行為は、法的には「金銭消費貸借契約」という私的な契約にあたります。そのため、契約内容が履行されないことによるトラブルは、警察ではなく、裁判所を介して解決することが原則となるでしょう。

お金を騙し取られた場合は警察が動く可能性も

単なる貸し借りではなく、最初からお金を騙し取る意図があった場合、警察が動く可能性があります。つまり詐欺罪が成立する可能性がある場合です。

例えば、最初から返済するつもりがなく、嘘の理由を並べてお金を借りた場合や、投資話など、架空の話でお金を騙し取った場合、あるいは明らかに返済能力がないにもかかわらず、返済する意思があると偽ってお金を借りた場合などが該当します。こうしたケースでは、相手の行為が「人を欺いて財物を交付させる」という詐欺罪の要件に当てはまる可能性があります。相手を詐欺罪に問えた場合、10年以下の懲役を科すことができます。(※1

しかし、詐欺として立件されるためには、単に相手が返済しないという事実だけでなく、「最初から騙す意図があったこと」を客観的に証明しなければなりません。

警察に被害届を出すための条件

詐欺として警察に被害届を出すためには、いくつかの条件を満たす必要があります。第一に、相手が最初から騙す意図があったことを示す証拠があることです。口頭での約束だけでなく、相手が返済するつもりがなかったとわかるようなメールやメッセージ、録音データなどが必要です。第二に、被害額が明確であることも求められます。いくら騙し取られたのか、金額をはっきりさせる必要があります。

最後に、相手の氏名や連絡先、住所がわかっていることも欠かせません。被害届を受理してもらうには、相手の身元が特定できていることが重要です。これらの証拠が不十分な場合、警察は「民事の問題」と判断し、詐欺事件として動くことが難しいと判断することが多いです。そのため、警察に相談する前に、可能な限りの情報を集めておくことが不可欠です。

警察に相談する前に!自分でできる対処法

警察は詐欺罪が認められない限り、捜索を進めてくれません。そのため、状況によっては自力での調査が求められるケースもあります。警察に相談する前に、以下のような自分でできる対処法を講じておきましょう。

  • 借用書や契約書などの証拠を整理する
  • 内容証明郵便を送付して督促する 
  • 相手の居場所を特定する手がかりを探す

ひとつひとつの対処法を詳しく解説します。

借用書や契約書などの証拠を整理する

借用書や契約書などの証拠を整理する

まずは、お金を貸したことを証明できるものをすべて集めて整理しましょう。特に重要なのは、借用書金銭消費貸借契約書です。賃借契約書は強力な証拠となり、返済期日や返済方法、利息、そして署名捺印がされているかを確認します。次に重要なのは振り込み履歴です。銀行振込でお金を貸した場合、通帳の履歴や振込明細書は重要な証拠となります。

さらに、お金の貸し借りに関する会話や返済の催促をした記録など、メールやLINEのやりとりも有効な証拠となり得ますので、スクリーンショットを撮って保存しておきましょう。最後に、返済の約束をしたときの会話や、お金を借りた理由を話しているときの録音データも証拠になります。これらの証拠は、後の法的措置において、主張が正当であることを証明するための根拠となります。もし借用書がない場合でも、他の証拠を組み合わせることで、お金を貸した事実を立証できる可能性は十分にあります。

内容証明郵便を送付して督促する

相手の住所がわかっている場合は、内容証明郵便を送付して返済を催促しましょう。内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれるサービスです。この郵便を送ることで、相手に法的手段に出るかもしれないというプレッシャーをかけ、返済に応じさせる可能性を高めることができます。

また、借金の返済請求権には時効があります。内容証明郵便を送ることで、時効の完成が6ヶ月間猶予されます。そして、裁判になった際には「いつ、どんな内容で返済を求めたか」という重要な証拠となります。内容証明郵便を作成する際は、貸した金額、返済期日、振込先などを明確に記載しましょう。この手続きは、自身の法的知識と行動力を示すことにもなり、相手に心理的な圧力をかけるうえで有効です。

相手の居場所を特定する手がかりを探す

まずは自分でできる範囲で、相手の居場所を探る手がかりを集めましょう。Facebook、X(旧Twitter)、InstagramなどのSNSで、相手のアカウントを探してみましょう。引っ越し先や、新しい仕事、交友関係に関する情報が見つかるかもしれません。

また、相手と共通の友人や知人がいれば、それとなく居場所や近況を尋ねてみるのも一つの方法です。ただし、個人情報の取り扱いには注意が必要です。相手の勤務先が分かっていれば、連絡してみるのも一つの方法ですが、個人情報保護の観点から、詳しい情報は教えてもらえない可能性が高いです。これらの方法は、あくまで手がかりを探すためのものです。無理な接触は避け、状況が悪化しないよう注意しましょう。

音信不通の相手に法的措置をとる

自分でできることを試しても解決しない場合、法的手段を検討する必要があります。専門家に相談する前に、どのような手段があるのか知っておきましょう。

具体的には以下のような法的措置をとりましょう。

  • 少額訴訟を利用する
  • 支払督促を申し立てる
  • 民事調停を申し立てる

少額訴訟を利用する

少額勝訴を利用する

貸したお金が60万円以下であれば、少額訴訟を利用するのがおすすめです。これは、原則として1回の審理で判決が出るため、通常の裁判よりもスピーディーかつ費用を抑えて解決できるメリットがあります。少額訴訟の手続きは比較的簡単で、裁判所の窓口で申立書を記入し、必要書類を提出するだけです。

ただし、相手の住所が分かっていることが前提となります。少額訴訟の最大の魅力は、その迅速性と手軽さにあります。通常の裁判のように複雑な手続きや長期間にわたる審理が必要なく、裁判の経験がない方でも比較的簡単に利用できます。

支払督促を申し立てる

支払督促は、相手に金銭の支払いを求める場合に、裁判所書記官に申し立てて督促状を送ってもらう手続きです。相手がこの督促状に対し、2週間以内に異議を申し立てなければ仮執行宣言がなされ、強制執行が可能になります。支払督促は、相手が異議を申し立てる可能性が低い場合に有効な手段です。特に、相手の住所が明確で、返済の事実を争う余地が少ないケースに適しています。

書類審査のみで手続きが進むため、裁判所に出廷する必要がないというメリットがあります。これにより、時間と費用を大幅に節約しながら、法的な強制力をもって債権回収を進めることが可能です。

民事調停を申し立てる

裁判所を介して、話し合いで解決を図るのが民事調停です。裁判官と調停委員が間に入り、当事者双方の意見を聞きながら、和解点を探ります。調停が成立すれば、その内容は判決と同じ効力を持ちます。ただし、相手が話し合いに応じなければ調停は不成立となり、解決には至りません。

民事調停は、あくまで話し合いによる解決を目的とするため、相手との関係を大きく損なうことなく解決したい場合に適しています。単にお金の返済だけでなく、返済方法や分割払いなど、当事者の状況に合わせた柔軟な解決策を目指すことができます。

自力で解決できない場合の選択肢

これらの法的手段を検討するにあたって、相手の居場所が分からない、どうやって手続きを進めていいか分からない、といった問題に直面するかもしれません。そんな時は、専門家の力を借りるのが一番の近道です。具体的には以下を検討してみましょう。

  • 弁護士に相談する
  • 探偵事務所に相談する

弁護士に相談する

弁護士に相談する

お金の貸し借り問題の専門家として挙げられるのが弁護士です。弁護士に依頼するメリットは多岐にわたります。まず、内容証明郵便の作成・送付から、少額訴訟、通常訴訟など、法的な手続きをすべて任せることができます。

また、証拠の有効性や、どの法的手続きが最適かなど、専門的な観点からアドバイスを受けられるのも大きなメリットでしょう。また、弁護士が代理人として間に入ることで、相手は返済に応じやすくなるという利点もあります。

弁護士への相談は、事態を法的に整理し、解決への道筋を明確にできます。しかし、弁護士は相手の居場所を突き止めることはできないため、依頼する前に相手の住所を特定しておく必要があるでしょう。

探偵事務所に相談する

音信不通で相手の居場所が全く分からない場合、探偵事務所に相談することも有効な手段です。探偵事務所は専門的な調査で居場所を特定したり、裁判に必要な情報を収集したりすることが可能です。

探偵は、依頼者の代わりに行動し、解決の糸口となる情報を見つけ出してくれます。探偵事務所の強みは、情報収集の専門性にあります。特に、相手が意図的に身を隠しているようなケースでは、個人の力では居場所を特定することは非常に困難です。

探偵であれば、専門的な知識を用いて、行方が分からなくなった相手の居場所を探し出してくれるでしょう。

探偵事務所に依頼するメリットと流れ

音信不通の相手を自力で見つけ出すのは非常に困難です。そんな時に頼りになるのが探偵事務所です。ここでは探偵事務所に依頼するメリットと流れについて、詳しく解説します。

メリット1:専門的な調査力で居場所を特定できる

メリット1:専門的な調査力で居場所を特定できる

探偵事務所は、個人では不可能な調査を専門的に行います。対象者の居場所が分からなくても、氏名や顔写真、わずかな手がかりから、専門的な調査を実施します。具体的には、対象者の行動パターンを把握し、住んでいる場所や立ち寄る場所を特定するための尾行・張り込みを行います。また、対象者の関係者や近隣住民から情報を集める聞き込み調査も、探偵による調査方法のひとつです。

さらに、SNSやブログ、公開されている情報から、居場所の手がかりを探るインターネット上の情報収集も駆使します。これらの専門的な調査によって、相手の新しい住所や勤務先を特定できる可能性が高まります。探偵事務所は、長年の経験と実績に裏打ちされた独自の調査手法と情報網を持っています。

メリット2:裁判に必要な証拠収集をサポート

相手の居場所が特定できても、それだけでは解決には至りません。法的手段をとるには、裁判で有効となる証拠が必要です。探偵事務所は、単に居場所を突き止めるだけでなく、その後の手続きに役立つ情報も収集してくれます。例えば、相手の勤務先を特定することで、給与の差し押さえが可能になる場合があります。

また、相手が財産を隠していないか、家族構成はどうなっているかなど、弁護士が法的措置を進める上で必要な情報を集めるサポートも行います。探偵が収集した情報は、裁判で証拠として提出できるよう、法的要件を満たした形で報告書にまとめられます。

探偵に依頼する際の流れ

探偵事務所に依頼する際は、一般的に以下のような流れで進みます。

  • 無料相談で現状を伝える
  • 面談を行い、依頼内容や費用について打ち合わせ
  • 解決に向けたアフターフォローを受ける

まず、無料相談で現状を伝えます。このときに、お金を貸した経緯や、相手に関する情報(氏名、生年月日、旧住所など)をできるだけ詳しく伝えましょう。次に、面談を行い、依頼内容や費用について打ち合わせをします。納得できれば契約を交わします。契約に基づき、調査員が調査を開始し、調査中は適宜進捗状況を報告してもらえます。調査が完了したら、報告書として結果を受け取ります。報告書には、特定した住所や勤務先、調査で得られた情報などが記載されています。

その後の解決に向けたアフターフォローを受けることも可能です。安心して依頼するためにも、事前に複数の探偵事務所に相談し、信頼できる事務所を選ぶことが重要です。

お金を貸した相手が音信不通なら探偵に相談しよう

お金を貸した相手が音信不通になり、自力での解決が難しい場合、探偵に相談することは非常に有効な手段です。警察は民事不介入の原則から動いてくれないため、法的措置を検討するにしても、まずは相手の居場所を特定する必要があります。

探偵事務所は、氏名や顔写真、わずかな手がかりからでも、専門的な調査力と独自のネットワークを駆使して、相手の新しい住所や勤務先を突き止めることができます。また、裁判に必要な証拠収集もサポートしてくれるため、その後の弁護士との連携もスムーズになるでしょう。一人で悩まず、専門家に頼ることで、早期解決への道が開けます。